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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
49/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 三十四球目


  三十四


 莉乃の歩みが止まり、たじろいだ。場に一気に緊張感が漂い始める。


「怯えるなとは言わない。だって夜夏てきがそこにいるんだからな」


 そう言って僕を一瞥。段々と腹が立ってきたな。当てつけにもほどがあるし。もうジョークで済ませていい雰囲気じゃない。どうしてくれよう。

 莉乃は続ける。


「安心していいぞ。もうあいつを近づけさせないから。もし話しかけたりしてきそうだったら、遠慮なくあたしや周りに助けを求めてい――」


 そこまで莉乃が言った瞬間、雪華が遮った。


「――必要ないです! なんのことを言っているかわかりませんけど、ご主人さまはあたしみたいな子どもにも失礼なことをしたら頭を下げて謝ってくれた。そんなご主人さまを悪く扱う人の信用なんてできないのは当たり前じゃないですか?」


 拒否し、まっすぐ述べる。

 個人としては嬉しい反面、莉乃には申しわけない気持ちも生まれた。詫びはいらないのかもしれない。


「色々ツッコミたいが、ああそうかよ。……なんだよ、まるであたしが悪者みたいじゃんか。余計な節介は南雲だけでたくさんだな」


 ガキのような拗ね方で引き下がった莉乃。のタイミングを見計らったかのように、大きく手を叩いたニセ金髪さん。


「はーい。ここまでのことは、一旦忘れていただきますわ。でないとせっかくお呼びした助っ人のレディーに申しわけが立ちませんもの。まずは助っ人の皆さんから自己紹介よろしくて」


 ヒメの強制エンドにより、尻切れトンボとなるがやはりそう易々と割り切れない。

 小想も真卯も雪華もまったくドアから離れようとせず、自己紹介が行える雰囲気ではないのは一目瞭然だろう。


 だからってここで僕が口出ししようものなら再燃しそうだった。


「まあまあ、姫夏ちゃんの話を聞いたかぎりは誤解みたいだし、わたしたちがギクシャクさせていたら仲良くできないよ、きっと。姫夏ちゃん、わたしから自己紹介してもいいかな?」


 見かねた通常モード(?)に戻った冬葉が先陣を切る。ヒメは若干渋る感じで「いいですわよ」と返した。


「?」


 なんとも言えないヒメへの違和感を積み重ねつつ、冬葉の動向を見守る。あ、久しぶりのセリフ。


「わたしは北松冬葉きたまつふゆはって言います。さっき殴ってしまったのが、兄です、双子です。夜夏くんとは同級生でその……友だち……です。……いまのところは……」


 ぎこちない感じに言い終わると顔を少し俯かせる。

 いまのところ、か。誤解とわかってもらえたとはいえ、そんなにも幻滅されてしまっていたらしい。

 明日の試合で名誉挽回に尽力するしかないな。


 と、一人決意していると、今度は小想つのりが指を差し、


「冬葉さん……でしたっけ。ま、まずは夜夏さんに謝るべきではないでしょうか。悪いことや誤解してしまっても、すぐ謝ることができるのが、友だち……じゃないですか?」


 キレイな感性。


 やはり、うやむやにするには無理があったようだ。


 僕のためか、それとも自分たちのためなのか。は置いといて。

 最初から震えていた。言葉も、指、身体も。


 それでもほかの誰かが傷ついたと思ったら、たとえ相手が年上で、初対面であろうと臆せず立ち向かう勇気。

 試合の助っ人うんぬん関係なく、彼女らのバックアップをしたい気持ちだ。


「さっきのお姉さんもです。まずは、仲直りしてください!」

「お姉さん……」


 小想の注意に嬉しそう――て感じではない。怖がらせたのが僕でなく、自分だったと実感したのだろうか。


「わかったよ。ったく。悪者よりかはマシって考えるか。夜夏、掴みかかって悪かっ」

「待って莉乃ちゃん」


 莉乃が謝ろうとすると冬葉が止める。僕が目を見開くのと同時に、小想が怪訝そうに不安そうに聞く。


「わたし、なにか間違ったこと言ってますか……?」

「言ってないよ。あなたの主張、わたし好き。この中で嫌い人いないんじゃないかな」


 とくに確認を取ることなく言ってのける。まばゆいほどの思想観念。嫌いになれるわけがない。


 僕が感じた小想かのじょへの核心こたえ。できれば告げたくないものだ。


「じゃあなんで、謝ることを止めるんですか?」

「そう、だね。簡単に言えば夜夏くんのため、かな?」


 要領を得られず、小首を傾げる小想。莉乃も同様の反応を見せる。


「もしここでごめんなさいをすると、二度と同じ注意ができなくなるんだよ。少なくとも今後ちょっとためらっちゃうと思う。わたしは、夜夏くんに遠慮したくない。それだけ」

「……でもそれじゃ夜夏さんのやることなすこと全部注意できませんか? 極端な考えですけど、言えば勝ちの精神は耳を失ったも同然です。なによりフェアな関係じゃない気がします」


 間違っていない反論なのだが、小想の解釈にはたった一つ重要な情報が抜けていそうだった。


 なんとも言えない純粋ピュア、と感心している場合じゃないが、莉乃や冬葉が僕に怒りを向けた説明は必要そうだ。


先月ぶりです。ちょっとの間で更新できて、嬉しかったりもっと早く書けたらなーとか。とりあえず一悶着が続く感じになりました。南雲と真卯が黙ってますね。次回あたりからしゃべらせたい。説明したり説教食らわせるキャラじゃないんで、仕方ないですが。頑張ります!

今年中にあと1、2回ぐらい更新できるよう座る!


友城にい

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