また会おう、その時は絶対ナツ! 三十三球目
「「「よろしくお願いします!」」」
自己紹介を済ますと皆の前で頭を下げた。ほんと礼儀正しい。
「ふふふ、ふが三つ。そして、私が依頼主であり、ここ中野家の当主――」
ヒメがそこまで言ったところで一回止める。ギャグは滑った。
「なんですか、夜夏」
「いや、その……」
三人が不思議そうにこちらを見ている。
「じつは、あの娘たちには僕が主人ってことで紹介してしまった。詳しくはあとになってしまうが。とりあえずあの娘たちの前だけ僕が主人の体で振る舞ってほしい。……でないと、僕の好感度ガタ落ちになる……」
「なるほどね、完全に理解しましたわ。由諸正しき紳士の願望を守るためでしたら、協力しましょう」
物わかりがいいなー、と思ったらわかってなかった。
「なんでさっきから僕がロリコンに仕立て上げられてんだよ」
「失礼しましたわ。私が依頼主であり、ここ中野家の当主の姉でございます、中野姫夏ですわ。呼び方はよければ『姫夏お姉ちゃん』か『ヒメちゃん』で」
無視されたのち、ヒメも呼ばれたい愛称を提示した。
そもそものロリコン呼びの起因が三人の僕への呼び方が原因だろう。
――食堂に入る直前、やはり知らない人と会うのが怖いらしく、僕の服を掴んできた。警戒心を向けるのは僕とかでは……。信頼置くの秒だな。
小学生からすれば高校生は大人に見えるもの。気持ちはよくわかる。
「大丈夫。このでっかい屋敷のインターホンを押せたんだ。三人はすごいよ。立場が逆だったら、押せずに帰るだろうな。どうせ明日会うわけだし、って。それに――安心しろ。あいつらは絶対、三人を歓迎してくれる」
僕は開けない。三人は来客じゃなく、〝メンバー〟なのだから。顔を見合わせた三人が同時にドアを開ける。
と。
「半年も玄関でなにしてましたの? 新シナリオのグランドライブが始まりましたのに」
「おかえり、夜夏くん。三年ぶり、だね」
「待ちくたびれたぜ、早く三年越しの野球やりたいわー」
「南雲はあと一年寝てチョウノーリョクが使いたかったですね~」
「もうじき二十六にでもなりそうな感覚がおれを襲うっ! くっ……まだ、まだおれは大人になりたくねぇーっ!」
「お兄ちゃんはなんか違う。ペナルティで黙ってて」
開けた瞬間、超絶なメタフィクションが飛び交う。まじごめんて(友城)。
ヒメ、それなんてウ○娘だ。冬葉、故郷で再会した幼なじみか。莉乃は正直者で好きだ。南雲ちゃん、そのネタ(こ○亀)もう無理ある。暖うるさい。
ひと通り心の中でツッコミを済ますと、莉乃が鬼の形相で僕の襟に掴みかかってくる。食堂の壁に軽く詰められ、顎まで襟を上げる。凄まじいパワーだ。
「夜夏っ! お前、お前ーっ!!! いくら同年代にモテないからって、小学生に手ぇ出すとは見損なったぞっ!」
あ、ヤバい。目がマジだ。いや……誤解だって。ヒメはわかって……。
「ごめんなさいヨル……。私がちゃんと導いてあげていれば、小児愛に目覚めることはなかったはず。まだ遅くないですわ、今から病院に。うぅ……」
おい、ヒメが交渉したんだろ。なに嗚咽漏らして……ってまた目薬使うなーっ!
完全に悪ノリしている。こうなったら冬葉に頼って……。
「夜夏くんは寿命まで稼ぎに出ていたほうがいいんじゃないかな。わたしがそうさせるけど」
怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖柿怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖……。
冬葉の眼が据わっていた。おぞましいぐらいの悪寒が走る。
要するに結婚してお父さんになっても子育てに参加するな、ってこと……だよな。いやだ、僕は親の権利で手塩にかけてあげたい!
こうなったら南雲ちゃん、南雲ちゃんだけでも僕側の……
「愛でることと~毒牙にかけることは~違うと思うので~……とりあえずサツに通報しておきます~」
スマホを取り出し、三桁目を押そうしていた指をかろうじて止める。ダメだ、完全にデッドエンドまっしぐらだ。
使うしかない最後の一手――ラストの最終クライマックスフィナーレのとっておきを。いでよ暖。僕の味方であってくれ!
「おれやっぱ思うんだわ。本物ロリとの恋愛はリスクまみれだが、ロリ体型とだったらすべて許されるんだ、って。よかったな夜夏、おれの妹がロリ体け――」
真顔で意味不明なことを語ったあとに二本の拳が暖の頬を襲った。
冬葉・莉乃「お兄ちゃん(お前)がロリ体型のなにをわかってるんだー(じゃー)ぁぁぁ!!!」
プレスみたいに頬が潰れた暖はその場でダウンした。非力な二人のパンチだし、すぐ戻るだろ。
「それと夜夏くん、心の声で好き勝手しすぎじゃない? 怖いくらなんでも多いし、類語辞典で調べたみたいに最後をつなげてもそんなに面白くないよ」
まじごめんなさい(中野)。
取りつく島がなくなり、どう弁解していくか頭を抱えた僕と皆に、
「あ、あの……わたしたちお邪魔だったでしょうか。気に障ったのでしたら明日だけの交流でも……」
急いで目をやると、小想含め、雪華と真卯が委縮していた。
完全に後ろ向きだった。
そりゃそうだ。新参者、おまけに内輪ネタの悪ふざけはさすがに度が過ぎる。
ロリコン疑惑の弁明より先に三人に君らのせいじゃない、と言いたくて僕が行こうとすると、莉乃に止められる。
「もうあの子らに夜夏を近づけさせることはできないからな。あたしがやる」
なんだそれ。
いつにも増してジョークがキツくないか? ヒメが止めないのもおかしいが。
そんな違和感を持ったのも束の間、弁明しに来た莉乃に対し、雪華が叫んだ。
「こっち来ないでください! あなたは……信用したくない!」
三ヶ月ぶりです。もうなに書いているのやら(汗)
予定どおり序盤はギャグに特化させましたが、思いつきで揉め事、起こしてみました(爆)
次回もいつになるやら。それまでお待ちいただければ、と。
では。
友城にい
追伸
小想って名前、気に入ってます。




