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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
42/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 二十七球目

 仏頂面な莉乃が話しだす。


「南雲はあとで来る。けど、みんなとわいわいお泊りするのは許してもらえなかった。ごめん……」


 深々と頭を下げた。


 それを僕たちは止める。


「なんで莉乃が謝る必要があるんだよ。謝るのはむしろ僕のほうで――」

「いやいいんだ、あたしで。これは仕方のない、わかってたことで。ただの……ただのあたしのわがままだからさ」


 昨晩は泣き喚きでもしたのだろうか、少し日が当たると目元に跡が残っていた。


「あたしが聞き分けのないガキだっただけ。夜夏もみんなも悪くない。昨日は悪かったな。頭に血が上ってた。家の決まりなんだってさ。すげえ謝ってきてさ、まるで、あたしが悪者みたいだった」


 しんみりと淡々と話をしだした莉乃。


「実際、はたから見ればあたしが悪者だよな。どこの馬の骨ともわからない男がいるとわかってて『いいよ』なんて普通の親なら言わないよな。はは」


「莉乃はどうなんだ。いい、って言われたのか?」


「あたしの家は……まあ、半分放任されてるからな。好きにやれ、って。だから好きにやってる。迷惑かけなきゃいっか、って。冬葉は兄ちゃん同行してるし、問題ないけどさ、南雲はやっぱ、親なら心配だよな」


 冬葉も暖がいなければ了解は得られなかっただろうな。それだけ暖の信頼は厚い。ド○えもんみたいなもんだ。頼りになる。


 重苦しい空気の中、冬葉が口を開く。


「――野球は、一緒にできるんだよね」

「あぁ、それは問題ないって」

「なら、今日から南雲ちゃんの家で合宿する。いいよね?」

「冬葉……」


 驚く莉乃だったが、驚いたあとに口を開けて笑い始めた。


「ははは、いいんじゃねぇか。ちょうどあたしもそうしようと思ってたし。わりいな、姫夏。いいか?」


「そうですわね。南雲だけ除け者にするのも気が引けますし、私は反対しませんわ」


「じゃ、じゃあ、僕も泊まって――」



「「「それはダメ(です)」」」



 ですよねー。


 反対される三人の後ろで暖が笑う。


「さて、今夜のおれはどうすっかな。冬葉いねぇんじゃお役御免だし。夜夏と談笑すんのもいつものことだし。夜夏はどう思うよ」


「女の子三人いて、三人ともいないんじゃな。虚しいだけだな。暖が決めていいよ。僕はどっちにしろ、この宿舎で生活せにゃならんし」


 真ん前に一週間で完了予定のリフォームが行われている屋敷。周囲は埃などが舞わないため布で覆っているため、どんな仕上がりになるのか見当もつかない。奇抜じゃなければいいが……。


「そうだなー。親にも一週間ダチん家に泊まってくるって言ったしな。おれだけ世話んなっていいか?」


「私はかまいませんよ。それより話も済みましたし、さっさと朝ご飯食べてから練習に入りますわよ」


 そう言って、六人で食堂に移動した。


 各自、テーブルに位置づいてから違和感に気づく。


 うん? 六人?


 僕、ヒメ、冬葉、莉乃、暖……。


 って。


「南雲ちゃんいつの間に!?」


 気づかぬうちに僕を除く四人の中にふわふわ髪を靡かせる南雲ちゃんの姿があった。


「えっと~。夜夏くんが『今夜は暖で暖を取るよ。夜だけにw』のところ~から聞いてました~」

「言った覚えないんですが、それは。あとなんだよ、夜だけにwって。寒いよ、夏なのに」


「「「「「…………」」」」」


 現在、氷点下何度だったっけ……。


 わいわい食べたわけじゃないが、スタミナのつくものを食べたのちグラウンドに行った。


 食後すぐ運動は良くないと聞くが、過度じゃなければ血糖値を抑えられるらしい。


 なんだか久しぶりすぎる気がする野球描写。


 まるで……四年五ヶ月ぶりぐらいな感覚だった。


「おいよせ。それ以上メタいこと言い続けると金属バットで金的を近鉄バッ○ァローズにするぞ」


「なにそれよくわからんが超怖い」


 莉乃が笑顔でバットを目の前で振るので作中感覚で物を語ることにした。


「うむ」


 最初は素振りを百回している途中で、ヒメが呻っていた。


「どうした?」


「いえ、あまり気にすることではないのでしょうけど、みんながみんな右打ちだと戦略に偏りが出るのでは? と思いまして」


「なるほど。補充の三人も右打ちなのか?」


「私もそこは知りませんが。たとえ補充の方が左だとしてもこの六人のうち一人くらいは左打ちの練習を兼ねたほうがいいのでは? とふと考えまして。どなたかできますか?」


 まだまともに右打ちで固定していない状態のほうが左に転向しやすい。なのでこのタイミングで募ったのだろうか。はたまた夜に野球漫画でも読んでいたのだろうか。どっちでもいいが、悪い案ではない。


「暖、できないか?」


 初心者だらけで聞くだけでは意味がない。やってないんだから。


「できねえことないが、変に左打ちを練習すると癖がついちまうからな。できれば遠慮したい」


 もっともな意見だ。せっかく右打ちで固定している野球部員でもある暖にこの話は、リスクが大きい。


「仕方ありませんわ。ここはピッチャー同様『左打ち才能テスト』を開催するとしましょう!」


 まあ、こうなりますよね。

今回は早めになりました。極端ですね。

ようやく、わだかまりもなくなって野球練習(四年五ヶ月ぶり)に戻りました。この調子で試合までこぎつけられたな、と思っています。


友城にい

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