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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
38/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 二十三球目

 始まりから強烈なインパクトのパンチをモロに受け続けて、もうお腹がいっぱいになってしまって、早一分。

 となりで、つばめの巣を慎重に焦らすように一口サイズにカットし、箸で運ぶ冬葉の様子をとりあえず僕は見ていた。


「おいおい……無理だけはすんなよ。明日も練習するんだし」


 そんな僕の忠告よりも冬葉は、口ぐせになったかのように「……コラーゲン……たっぷり……」と呟きながら、


 あむっ、


「どうだ……? 不味かったら、ぺっ、していいからな」


 もぐもぐ咀嚼する冬葉。世紀の瞬間を逃さないようにただただ見守る三人がここにいた。

 ある程度、砕いたところで喉を鳴らした冬葉。

 そして、


「……しい」

「え?」


「おいしいよ、これ」


 まさかとも取れる感想に面食らった僕。


「ほ、本気で言ってるの?」


 疑問に思い聞き返す。


「ホントのホントだよ。これならいくつでも食べたい」


 一口を境目にサクサク口に運びだす冬葉。

 そのおいしそうに食す姿におもわず僕の喉も鳴る。


 ご、ごくり……


「僕も一口いい?」

「うん。いいよ」


 笑顔で了承してもらい、箸を差し入れる。


「では、遠慮なく」


 鍋のスープで紫色に染まっているものの、巣に挟みこむと中は黄金とも見える中身が覗かせた。

 や、やわらかい感触。

 しっかり口に入るサイズを箸で挟み、舌に乗せる。


「うおっほっ!」


 途端、匂いもさることながら、歯で噛んだとき、巣の内部から放出されたとは到底考えられないレベルの旨味が口腔を犯した。


「どう、おいしいでしょ」

「あ、ああ。うまい」


 これは認めざるをえない美味だ。

 あまりのおいしさに冬葉は、ヒメに問う。


「ねぇ、姫夏ちゃん。これどこで売ってるの?」


 近所のスーパーにでも見つけて買うつもりなのだろう。


「うん? ああ、それ。おそらくですが売ってないと思いますわよ」

「え? 通販かなにかなの?」

「いえいえ、レストランから特別におひとつだけ買いつけてきたので」

「そ、そうなんだ。高いの、つばめの巣」

「ええ、そうですわね。だいだい一万円くらいじゃなかったかしら」

「い、一万円!?」


 値段を聞いて、冬葉の目から希望が消えた。


「お、おい、そうガッカリするなよ。僕も、高いの知らなかったしさ」


 どうにか慰めようと言葉をかけていると、俯かせていた顔を上げて、


「ねぇ、ほかにコラーゲンとかに効く食材とか、入れてない……かな」

「うーん。どうだったかしら」

「なんだ、冬葉。お肌の具合を気にしてんか。よーし、ここはお兄ちゃんにまかせなさーい」

「べつにお兄ちゃんに聞いてないんだけど」


 まったく頼りにされていない暖が妙に悲しくなってくるが、当の本人は妹のためにと、ごそごそ鍋に入り切れなかった食材を漁くり回したのち、ひとつの食材を差しだす。


「ほれ」


 差しだしてきたのは、牛乳だった。


「え、あ、うん、ありがとう」


 しどろもどろになりながら、500のパックの牛乳を受け取った。


「牛乳はいいぞー。なんてったってカルシウムたっぷりだからな!」


 だからなんだよ、と言いたくなったがやめた。


「そ、そうだね、ははは……」


 渇いた笑いを出す冬葉。

 そんなやり取りの最中、ヒメがひとこと。


「なんか違いますわね」

「なにが」

「なんかこう、一口食べて気絶、とか見てみたかったんですけど」

「うーん、漫画とかだとありがちなシーンだけど、現実じゃ、厳しいんじゃないかな」


 冬葉が説明する。


「やっぱりそうですわよねぇ。せっかく蜂とか蟻とか入れてみましても、結局、お腹を壊しでもしたら、と安パイの食用にしてしまうところが私の可愛いところでしょ」

「なに急に自分褒めてんの」

「まあ、なんにせよ。私たちでは、真のやみなべは作れないってことですわ。と、いうことで」


 ヒメは立ち上がり、手を一回叩く。


「これはスタッフがおいしくいただきますんで、皆さんは各自で出前でも取りましょうか。よろしいですか」

「ああ、最初から無難に食べれるやつにしたらよかったんじゃないのか」

「それじゃ面白くないでしょ」

「さいですか」

「わたしは、ウナギがいいな、いい?」

「もちろんですこと。なんでも頼んで」

「ホント! やった!」


 ウナギが食べれるだけで無邪気に喜ぶ冬葉、マジ天使。


「おれは男だからな。丼モノでいこうか」

「ほほう、ちなみになにに致しますの」

「やっぱりここはウナ丼だな!」


 ウナギかよ!


「あら、なら私は寿司にしようかしら。たまにはカップラーメンより奮発して贅沢な食材を使った料理を食べたくなったので」

「ふーん」


 僕が興味ないように反応するや、こちらをちらちら見てくるヒメ。

 様子をうかがい冬葉と暖を確認したところ、二人も僕の反応を見ていた。


 ……。

 …………。

 ………………。


「はあ……」


 このままじゃ、埒が明かない。気がした。

 しょうがない乗ってやるか。


「で、なにをメインに頼むんだ」


 すると目をダイヤモンドのように輝かせながら、


「夏バテ防止のために旬のウナギを多めに頼みますわ」

「こっちもウナギかよ!」

「「「お――――――っ!」」」


 僕に三人が拍手喝采。


「なにが『お――っ』だよ」

「では、最後にヨルはなににしますの」

「あ、えっと、そうだな。うなぎパイ」

「それウナギじゃないですわよ?」

「……わ、わかってるよ。乗ってやったんだよ」

「ふふ、相変わらず優しいですわね、ヨルは。そういうところ、お姉さんとして、嫌いじゃないですわよ」

「なんだよ、急な姉貴面は」

「だって、姉ですもの。さあ、食べて、明日に備えますわよ」

「……ったく、困った姉だ」


 さあて、食べるか。





みんなが入れた食材一覧


ヒメ。くまの手。つばめの巣。かいこ

暖。ショートケーキ。コーラ。牛乳。カツオのささみ

夜夏。中野牛。ヒメのカップ麺(醤油味)

冬葉。チョコアイス。シュークリーム。レモンの煮付。ここで!?

以上。


9か月ぶりですが、通常運行に思えます。

来年は、もっとマシな投稿スピードを心掛けつつ、ほかに新作発表などや公募の挑戦数を増やしていって、お仲間の作品を読んだり、絡みの機会を自分でアピールしていけるような年にしていきたいと、言うだけ言ってみる。


今年も捨てずに僕をフォローしてくれている方々、ありがとうございます。

来年もよろしくお願いされます。


友城にい

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