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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
35/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 二十球目

「あれ?」


 おそらくだが、「食堂」と一語を聞くとイメージするのはずらりと並んだテーブルに、カウンターを挟んだ調理で、調理師さんが料理を作っているイメージだったりする。現に僕の通う学校の食堂はそうだ。


「やっときたな、リア充」

「誰から聞いた、その呼び名」


 どんとかまえたようにあぐらをかいている暖。


「姫夏ちゃん、これってもしかしてだけど、お鍋?」

「それってつまりは、闇鍋なんじゃないの~♪ そういうことですわ♪」

「どういうことだよ」


 状況を呑みこめないまま、ツッコミを入れる。


「友と一夜を明かすのですから、サイコーのサプライズを考えた末ですわ。漫画とかですと、定番中の定番でしょ?」

「そりゃそうだが」


 呆れつつ、周りを整理してみる。

 がらんと真っ白い空間の中央に、ぽつんと目立つように畳みのシートを敷いて、どこで手にいれたのかわからないちゃぶ台。その上にわりと大きめの鍋がコンロに置かれていた。


「ヒメと暖、その袋なんだ?」


 並んで座る二人の横には、なにやら怪しい感じしかしない黒いレジ袋があった。


「闇鍋と言えば、主役はなんといっても『材料』だろ。無論、中身は食べるまでのお楽しみさ」

「そうですわ。安心なさい。きちんと『食べられる物』を混入されますから」


 安心できねぇ……。


「でもわたし用意してないよ? 知らなかったから」

「事前に知らせますと間違いなく、ヨルに止められますから、ヨルと保険に冬葉にだけ伝えておりませんでしたので」

「そらそうだろ。こんなこと」

「なんでわたしにも? わたし口軽くないよ?」

「まあまあ、そんなことよりただちに食材を二個、三個でいいですので用意してくださいな。原則として通常『鍋に入れない物』をお願いしますわね」

「なんじゃそりゃ……。ああ、わかったよ。ちょっと待ってろ。行くぞ、冬葉」


 冬葉の手を取り、引き返すように合宿所を出るほかなかった。

 とはいえ、もう夜も遅い。

 近所のスーパーで売っているような物は大概がヒメの規定する食材だろう。

 選択肢の少ない中、ひとしきり悩んだ末、ある場所が思い浮かんだ。

 ものは試しにと、工事中である屋敷のキッチンの勝手口を開けると、予想どおり鍵がかかっていなかった。まあ、管理は僕がやってるんだけどな。ズボラな姉でよかった。


「よかった。電気もつくし、食品も腐ってない」


 合宿所が電気が通っているわけだし、ここだけつかないわけがないか。

 そうわかると、もはやここで寝泊まりしたいどころだが、今さら冬葉に告げる勇気はない。

 なにか特殊な食材の一つや二つあるだろうと、冷蔵庫を開けていると、横に立つ冬葉がもじもじ言い難そうにしていて、


「あのね。じつはわたし、ここに朝来たときに姫夏ちゃんに頼んでクーラーボックス借りたんだ。そこに鍋の材料になりそうなのがあるから、本当はここに来る意味なかったんだけど」

「え? それは悪いことしたな僕。ついなにも用意してないだろうと思って、強引に連れてきてしまったが」


 冷蔵庫を漁りつつ、冬葉のほうを見る。


「いいよ。こうして夜夏くんとお話できる時間が増えたから」

「そう言ってもらえると僕としても、助かる」


 ヒメにもらった黒いレジ袋に、通常は鍋に入れるはずのない食材を詰めこんで取っ手を結んだ。


「用意できた?」

「ああ、じゃあ戻ろうか」

「あんまり変なの選ばないでね」

「ヒメじゃないんだから心配するな」


 冬葉と同じ歩幅でいま来た道をたどる。

 他愛のない会話を交わしながら、ゆったりと。

 多少なり時間をかけて、食堂に戻ったのだった。


まとめようと思っていたのですが、思いのほか長くなったので分割しました。

鍋の後編はまだ書きあがってません。

近日更新。

冬葉、かわいいね。自分で言うのもなんですが。


友城にい

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