また会おう、その時は絶対ナツ! 二十球目
「あれ?」
おそらくだが、「食堂」と一語を聞くとイメージするのはずらりと並んだテーブルに、カウンターを挟んだ調理で、調理師さんが料理を作っているイメージだったりする。現に僕の通う学校の食堂はそうだ。
「やっときたな、リア充」
「誰から聞いた、その呼び名」
どんとかまえたようにあぐらをかいている暖。
「姫夏ちゃん、これってもしかしてだけど、お鍋?」
「それってつまりは、闇鍋なんじゃないの~♪ そういうことですわ♪」
「どういうことだよ」
状況を呑みこめないまま、ツッコミを入れる。
「友と一夜を明かすのですから、サイコーのサプライズを考えた末ですわ。漫画とかですと、定番中の定番でしょ?」
「そりゃそうだが」
呆れつつ、周りを整理してみる。
がらんと真っ白い空間の中央に、ぽつんと目立つように畳みのシートを敷いて、どこで手にいれたのかわからないちゃぶ台。その上にわりと大きめの鍋がコンロに置かれていた。
「ヒメと暖、その袋なんだ?」
並んで座る二人の横には、なにやら怪しい感じしかしない黒いレジ袋があった。
「闇鍋と言えば、主役はなんといっても『材料』だろ。無論、中身は食べるまでのお楽しみさ」
「そうですわ。安心なさい。きちんと『食べられる物』を混入されますから」
安心できねぇ……。
「でもわたし用意してないよ? 知らなかったから」
「事前に知らせますと間違いなく、ヨルに止められますから、ヨルと保険に冬葉にだけ伝えておりませんでしたので」
「そらそうだろ。こんなこと」
「なんでわたしにも? わたし口軽くないよ?」
「まあまあ、そんなことよりただちに食材を二個、三個でいいですので用意してくださいな。原則として通常『鍋に入れない物』をお願いしますわね」
「なんじゃそりゃ……。ああ、わかったよ。ちょっと待ってろ。行くぞ、冬葉」
冬葉の手を取り、引き返すように合宿所を出るほかなかった。
とはいえ、もう夜も遅い。
近所のスーパーで売っているような物は大概がヒメの規定する食材だろう。
選択肢の少ない中、ひとしきり悩んだ末、ある場所が思い浮かんだ。
ものは試しにと、工事中である屋敷のキッチンの勝手口を開けると、予想どおり鍵がかかっていなかった。まあ、管理は僕がやってるんだけどな。ズボラな姉でよかった。
「よかった。電気もつくし、食品も腐ってない」
合宿所が電気が通っているわけだし、ここだけつかないわけがないか。
そうわかると、もはやここで寝泊まりしたいどころだが、今さら冬葉に告げる勇気はない。
なにか特殊な食材の一つや二つあるだろうと、冷蔵庫を開けていると、横に立つ冬葉がもじもじ言い難そうにしていて、
「あのね。じつはわたし、ここに朝来たときに姫夏ちゃんに頼んでクーラーボックス借りたんだ。そこに鍋の材料になりそうなのがあるから、本当はここに来る意味なかったんだけど」
「え? それは悪いことしたな僕。ついなにも用意してないだろうと思って、強引に連れてきてしまったが」
冷蔵庫を漁りつつ、冬葉のほうを見る。
「いいよ。こうして夜夏くんとお話できる時間が増えたから」
「そう言ってもらえると僕としても、助かる」
ヒメにもらった黒いレジ袋に、通常は鍋に入れるはずのない食材を詰めこんで取っ手を結んだ。
「用意できた?」
「ああ、じゃあ戻ろうか」
「あんまり変なの選ばないでね」
「ヒメじゃないんだから心配するな」
冬葉と同じ歩幅でいま来た道をたどる。
他愛のない会話を交わしながら、ゆったりと。
多少なり時間をかけて、食堂に戻ったのだった。
まとめようと思っていたのですが、思いのほか長くなったので分割しました。
鍋の後編はまだ書きあがってません。
近日更新。
冬葉、かわいいね。自分で言うのもなんですが。
友城にい




