また会おう、その時は絶対ナツ! 十八球目
強引に同室となった部屋に戻ると、僕は無性に緊張していた。理由は定かでないが、言うなればとなりに立つ女の子が、緊張の一因に繋がるだろう。
「ねえ、なにか、話そうよ」
どくん――
またひとつ心臓が大きく跳ねた。
なんでだ?
普段、二人っきりになることはそう珍しくない。それなのに僕は、下唇を持ち上げるほど身体を強張らせている。
「夜夏くん? どうしたの? 顔、赤いよ?」
「そ、そう? 暑いからじゃないか。ほら、ここ冷房ないし。ったく、ヒメもヒメだ。これじゃ夜、蒸し暑くて寝れないな」
「やっぱり夜夏くん、すこし変。もしかして……」
「え?」
あまりの挙動ぶりに不信感を持たせてしまっただろうか。べつに僕はそんなつもりじゃ。
「さっき負けたの怒ってる?」
よかった……。
「あ、いや」
「もし怒ってるなら、いまからわたしともう一回、べつのゲームをしよ」
「怒ってないから、べつにホッケーの件は気にしてないから心配するな」
「そうなの? それならなんで、わたしと目線を合わせてくれないの?」
「うっ……そ、それは……」
冬葉と同じ空間にいるから緊張してる、なんて口が裂けても言えない。
「じゃあ、夜夏くんが勝ったらさっきの勝負を夜夏くんチームの勝ちにして。もしわたしが勝ったら――理由を教えて?」
「……わかった」
「約束ね」
「わかったけど、勝負内容はなに?」
「う~ん。早くお話もしたいから、簡単ですぐに勝敗がつくのがいいよね。なら、『漢字の読み』の問題でいいかな?」
「あんまり難しいのは勘弁してくれよ。知識は人並みだから」
「わかってるよ。わたしもそこまで漢字を知ってるわけじゃないよ」
そう言って冬葉はニコッと笑う。
どくん、どっくん――
その笑顔に胸が揺れた。
まただ。
冬葉のはにかみは、今まで幾度なく見てきているのに、なんだろう、この感覚は。
庭でのお茶会でも。屋敷の大広間でも。放課後の教室でも。
どこでも僕に微笑みかけてくれる癒しのような笑み。けど、この瞬間はどこか違った。いや、違和感に思っているのは僕だけで、冬葉からしてみれば同じなのかもしれない。
だとすれば、この気持ちはなんなのだろう。
わからない……。
言えるとすれば、決して、いやな気分じゃないことだろうか。
「じゃあ、だすよ」
冬葉は一枚の紙を僕に渡す。
とりあえず、この気持ちを晒すわけにはいかない。
「どれどれ」
書かれていた漢字は――
わたしも夜夏くんと同じ気持ちだよ
えっ――。
「こ、これって……」
思わず冬葉を見る。
そこには恥ずかしそうに俯かせている冬葉がいた。
「わたしだって、すごく、緊張してるんだよ」
声に甘さが含まれている。すると冬葉はおもむろに僕の手を取った。すごく温かい。それに鼓動も鮮明に聞こえてくる。
顔はよく見えない。
しかし、これだけは言えて、きっと冬葉の顔も僕に負けないくらい赤くなっているはずだ。
「僕はべつに緊張なんか……」
「いいよ。恥ずかしがらなくても。だって夜夏くんの手のひら、汗がびっしょりだもん。手のひらの汗は緊張してるときしか、かかないんだよ」
僕の強がりを冬葉は即座に否定せず、受け入れて優しく包んでくれる。
どんどん激しさを増す心臓の鼓動。
どくどくどくどく、
「この部屋に戻ってきて、ずっと緊張してる。でもなんでかわからないんだ。冬葉とこうして二人っきりの空間を所有したことは何度だってあったはずなのに、今日の僕、おかしいのかも――」
次の言葉を発する直前、僕は思考が停止する出来事が起こった。
どたん、
「――えっ」
唐突なラブコメ臭。自分でも「あ、これいけんじゃね?」と思ってしまいました。どうでしょうか。
次回もこんな感じの空気で、続きます。
友城にい




