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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
27/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 十二球目

 ランニングに素振り、キャッチボールなどの練習をこつこつと休憩を取りつつ、やっているうちにお昼になり、ご飯を食べて、朝やったメニューにノックや玉拾いをやった。

 こうして、汗の数だけ秒針は進んで、あっという間に日は傾く。


「では、今日の練習を終了する。なにか質問があるやつはいるか」


 暖の解散宣言に行う質疑応答にヒメが手を挙げる。


「はい」

「はい、姫夏殿」

「今日から試合までの日数があまりありません。なので、今日からここに泊まりませんか? もちろん、ご両親の了承があってのことですが」


 ここに泊まる?

 たしかに屋敷は広いが、この人数が泊まれるだけの部屋はないぞ。おもにあなたのせいで。


「ヒメ。まさかリビングで雑魚寝でもする気なのか。修学旅行じゃあるまいに」

「大丈夫ですわ。考えはあります」


 ヒメのことだ。なんの考えもなしに発言するとは考え難い。対策があって、初めてヒメという人物は自信を持つのだ。

 だが、あんまり期待せず「そうか」と返す。


「おれは宿泊に関しては慣れっこだ。皆の者はどうだ」


 暖は野球合宿で親の承認は、容易いだろう。


「一度帰って、着替えを持ってきていいか?」

「南雲もいきまぁ~す」


 莉乃と南雲ちゃんは、半分いいみたいだ。


「かまわんぞ。いってこい」

「よし、なら南雲、一緒にいくぞ」


 莉乃が南雲ちゃんの腕を掴む。「ゆっくりでお願いしますねぇ~」ととことこ歩いていく。

 その姿を見て、ヒメが声を上げる。


「り、莉乃さぁぁぁぁぁぁあああああああ…………」


 迫真の演技で地面に倒れこむ。

 でももうそこに莉乃はいない。声は聞こえなかったのだろう。


「ああ、これが……終わりは突然に、ってやつかしら」

「いや、ただ荷物を取りに行っただけだから」


 どこかからハンカチを持ち出し、目元を拭う。おい、涙出てな、って目薬使うな!


「姫夏ちゃん、かわいそう……」

「冬葉まで世界に入るなよ……」


 横を見るとヒメとは違い、本当の涙で、って冬葉も目薬かよ! 三文芝居のオンパレードか。


「ほら、冬葉も荷物を取りにいくぞ」

「あ、うん。じゃあ、二人ともちょっとまっててね」


 暖に言われ、後ろをピ○チュウみたいについていった。


「その姿を見て、僕は無性に悲しくなり声を上げる」

「冬葉ぁぁぁぁぁああああああああ…………。ってなにを言わすねん」


 背後に立って腹話術をやるヒメの頭をツン。普段絶対使わない関西弁も出たぞ。


「ノリツッコミもたまにはいいですわね」

「そうかい」


 僕もいろいろ用意があるし、屋敷に戻ろうとする。


「ちょいおまち」


 どこぞの人かみたいな止められ方をされ、振り返る。


「なに」

「用意なら事前に私がやっておきましたから、心肺ゴム用」

「心肺ゴム用ってなんだよ。死ぬのか?」

「なので、来るまで私と漫才でもどうです?」

「日常会話がすでに漫才みたいなものだろ。今更すぎる」

「では、ヨルヒメの漫才をノーカットでお見せします」


 それがこれだぁあああ、

 1、2、3



「ってまたベス○ハウスの始まり方か。とヨルヒメとか、ううわあああ、ツッコミどころが多すぎる!」

「となりの家に囲いができたんだってねぇ」

「かっこいい」

「違いますわ。そこは『へい(塀)』でしょ。たしかに囲いとは言ってますけど」

「自分で説明して虚しくないか?」


 話聞けや!


「となりの家に家ができたんだってねぇ」

「いえーい」

「だ・か・ら! そこは『ハウス・トゥー・ハウス』が通常ですの!」

「マウス・トゥー・マウスみたいに言うな!」

「私としますぅ~?」

「や、やめんか」


 僕の顔を鷲掴みにして、顔を近づけてくる。口をタコにするな。


「となりの家でくつ下が見つかったんだってねぇ」

「は! くつ下っ!」

「ヨル……いい加減にしてくださいな。そこは100人に聞いても全員が『発掘した』と答えますわよ」


 ヒメの呆れ顔。

 つか、くつ下が見つかったんだってねぇ、ってなんだよ。


「はいはい。気をつけ――」

「となりの家が散髪したんだってねぇ」

「ど、床屋! (どこや)」

「違いますねん。そこは例年の『家を刈(買)ったら、豚と友が来ますやん』が模範解答や」

「わかりづら!」

「ナイスツッコミ」

「そろそろ、となりの家シリーズを……」

「ヨル、○○を買うシリーズがいいですか?」

「本当に買わないぞ?」

「ヨル、二次元の嫁を買う」

「失礼だろ! いろいろと!」


 そういう路線か。


「ヨル、パンティーを買う」

「下着売り場に行けば買えるぞ? ネットでも」

「エ!?」

「いや、マジで引かないでくれ……買ってないから」

「ヨル、頭髪を買う」

「ハゲてないからな! もさもさだから!」

「ヨル、服を買う」

「僕、今現在全裸!?」

「ヨル、相手の怒りを買う」

「現金購入じゃなくなった!」


 まあ二次元の嫁は買えないけど。


「ヨル、なにかを買う」

「決めとけよ、いいかげんにしろ」


「「ありがとうございましたぁ」」


 仲良くお辞儀。



「どうでした?」

「ただただ勢いが欲しい。これじゃ漫才じゃないし」

「しょうがないでしょ。行き当たりばったりでしたし」

「考えなしか」


 さて。暇つぶしをしているあいだに四人は戻ってきて……


「ごめんね。またせて」


 冬葉。


「莉乃ちゃん、ほら、元気出せよ。これは、どうしようもないことなんだ」


 意味深な言葉で慰める暖。


「……ああ、そうだな。これが普通だよな」


 そして、元気のない莉乃。


「どうしましたの?」


 暖に尋ねるヒメ。


「じつは――」


 少し言いづらそうにする暖。


「南雲ちゃんは――」


 そうだ。お泊りというのは、一つの弊害があって、それを簡単に乗り超えられる人とそうでない人が世の中にいて、


「お父さんに反対されて、泊まることができないそうだ」


 自慢の娘を男のいる家に一晩どころか一週間近くの宿泊で、


「なので、南雲ちゃんは今日同様の練習参加になる」


 暖の説明が終わると、同時に莉乃が、


「やっぱり……いやだ!」


漫才って難しいですね。思い知らされました……。今度、漫才をするときまでにレベルを上げておきます。


友城にい


次回は6月10日に更新です。

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