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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
24/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 九球目

「ええ!? 草野球チームと!」


 驚きの声を上げたのは、僕だけ。だが、ほかの四人もきっとそんな顔をしていたはず。


「素人な私たちには、ぴったりな相手でしょ? おまけに誘ったのは、たまたま近所で遊び程度にやっていた小学生ですのよ」


 自慢できる話じゃないのに、それを自慢げに語れるヒメがすごい。尊敬する。

 そこに、さっきまでゆりゆりんを展開していた莉乃が口を挟む。


「まて、姫夏。そこは物語的に『プロレベルの大学生チーム』を相手に選ぶべきだろ。わかってねぇーなぁー、姫夏は」

「あら。そっちのほうがよかったかしら? なら、今すぐにでも手配しますが」


 子機を手にしたヒメが電話をかけようとする。でもそれは僕的に嫌なので、阻止させていただきます。やめろ! ってね。


「あたしは、そっちのほうがいいね。そんでもって、超能力なんちゃらを駆使して、一振りホームランを乱発。そのボコボコバットを相手に売り払って、帰りに打ち上げもしたいね」


 とんだハ○ヒだな、それは。莉乃最近みたのかな。


「まあ、もし私たち同様の素人の子供たちに勝てたら、次は大学生だろうとメジャーリーガーだろうと来訪していだたくとして。試合は来週ですので、早急に鍛える必要がありますわね」


 なんかとんでもないことをかるーく言うあたり、恐ろしいな、姉よ。


「ところで暖。明日は、何時に来れますの?」

「おれか? そうだなー。試合まで毎日来れないが、明日は朝から練習はできるぞ。嬉しく思いたまえ」


 がっはっはっは。とガキ大将みたいに笑う暖。そこまで嬉しく思えないのはなぜだろう。


「皆さんも朝から練習に参加できますか?」

「もちろん」

「わたしも来れます」

「南雲も、だいじょ~ぐ~」


 南雲ちゃんだけ独特の合図。なぜ親指を突き出した、エド○るみ風?


「それでは朝十時に。水筒はともかく、着替えは各自用意をよろしくお願いしますわね」

「「「はーい」」」と女子三人の声。

「それでは、解散」


 ヒメがパンと手を叩く。

 ぞろぞろと莉乃と南雲ちゃんは、並んで帰っていった。

 ヒメに声をかけようとすると子機を手に取って、誰かに電話をかけだしたので、遠慮しておく。

 片づけて、帰ろうかな、と考えていると僕の肩を誰かがぽんと呼ぶように乗せてくる。振りむくと暖だった。


「なに?」

「明日も頼むぜ、あいぼー」

「もちろん。こっちこそ」


 それを確認すると暖は後ろ手に振りながら、ザッザッと歩いていく。

 暖と入れ替わるようにまた今度は、背中をツンと突く人が現れる。


「夜夏くん。ちょっといいかな」


 冬葉だった。


「早くしないと暖帰るぞ」

「うん。あのね、明日、レモン漬け、持ってくるね」

「レモン漬け? ああ、えっとたしか、疲労回復にいいんだっけ」

「そうだよ。楽しみにしててね。ばいばい」

「おう。また明日」


 はにかみながら、手を振る冬葉に手を振り返す。

 さて、と屋敷に戻ろうとすると背後からがさがさ、と忍び寄る音がし、瞬間――お尻に、


「カンチョーっ!!!」

「あじゃあああああ!」


 肛門に激痛が走る。か、かんちょーって……今時の学校は禁止やぞ、それ。

 のたうち回る僕にフゥーやったりとした犯人――ヒメは、気づかうこともなく、普通に話しかける。


「ヨル。夜、ゲームを――」


 そこでなぜか止まり、一人で笑いだした。


「プッ! ヨルが夜ゲーム。プププッ」


 なんかすごいむかつく。

 尻の痛みに耐えて、立ち上がると共にヒメに総裁を加える。


「まずは謝らんかー」

「ぶふっ……」


 脳点チョップでお返し。



     ☆



 入浴と食事を済ませて、テレビの前に腰を下ろす。


「で。なんのゲームするんだ?」

「ふふふ、私の情熱は、朝昼晩問わずですわ。なので! これをします!」


 ずさっと僕の顔の前に突きだす。


「『熱血魂 プロ野球』か」


 今も毎年発売が続く人気シリーズ。


「今年のか? たしか買ったよな」


 僕がそういうと「ちちち」と甘いな少年のように指を振る。

 そして、年号をずらす。


「2002年?」


 よく見れば、パッケにま○いがいた。


「そういうことか?」


 コクンとヒメは頷いた。

 ハードにCDを入れて、起動。コ○ミと出る。スキップで飛ばしていき、フリー対戦を選択。進んでいき、チーム選択。


「僕は、ダ○エーにしよう」


 無論、ヒメはジ○イアンツを選ぶと思っていたのだが。


「私は、カ○プにしますわ」


 予想外だった。


「え、なんで? ま○いのために2002をするんじゃないのか」

「私いつそんなこと言いました?」

「え、だって、パッケで」

「私は頷いただけですわよ」

「それならなぜ○ープ? 今年のほうで選ぶならわかるが……」


 去年は、強かったからな。


「なぜかって? 私がカー○女子ですからですわ」

「ジャイ○ンツ愛はどこにいった!」

「私は波に乗る女ですので」

「流行のためなら、愛も捨てるのかよ!」

「みんなもそんなものでしょ?」


 まあ大半の人が流行りを気にするけど、ヒメは今更な気が……。


「ヒメが赤ヘルを選ぶのは、勝手だが負けても知らね――」


 僕は言っているあいだにキャンセルし、いつもどおりジャイア○ツを選んでいた。


「……」

「冗談ですわ。ギャグです、いつものギャグに決まってますでしょ」

「ああ、そうだな」


 ヒメはにっひっひと気味悪く笑う。ふひひだったかな。

 打順なども調子の良い選手を先行させて、不調の選手はベンチや下位打線に移動。投手は、運よくエースがとびっきりのにっこりマークだったので、そのまま。

 対するヒメも強力打線を網羅し、調子がよかろうと悪かろうとバッティングセンスを優先に打線を組んだ。うわ、当たったらホームラン級の選手しかいねぇ。


「さて、試合だ。ヒメ先攻でいいのか?」

「かまいません。大差をつければ、逆転などありえませんので」

「そうかい。僕も甘くみられもんだな」

「甘くなど見ていません。見ていたら、こんな打順にしませんし」

「そうかい」


 こうして始まったゲーム。

 一回。二回。三回と順調にエースが抑える。そして、僕の攻撃の回になってもヒメの不調なのに出てきたエースを木っ端微塵に打ち砕いて、二回KO。

 このまま、次の本来いい選手に抑えられしもしたが、そのまま押し切り……。


「よし!」

「くっ……」


 捕って、一塁に送球。ゲームセット。


「僕の勝ちだな」

「くっ……あそこで九者連続ホームランが打てていたら」

「ないだろ、それは」


 どんな場面でも勝てちゃうよ。


「ヨル! もう一度お願いしますわ!」

「ええ~」


 嫌がった。本心じゃないけど。


「私の裸を見てもいいですから!」

「腐るほど見たことあるけど」

「おこづかいをあげますから!」

「べつにいらないが」

「四番にさせてあげますから!」

「荷が重いので却下」

「あのおもちゃ買ってあげますから!」

「僕なにか頼んだか?」

「莉乃のブロマイドあげますから!」

「いつ撮ったんだよ……」

「南雲のおっぱい触りまくり券をあげますから!」

「前にもらったな、たしか。使えねぇーよ」

「冬葉の秘蔵ブロマイドをあげますから!」

「そ、それは、なんか欲しい……」

「よっしゃー。あとであげますわ」


『秘蔵』という言葉につい折れてしまった。


 そうして、夜中に入るぐらいまでゲームは続いた。



     ☆



 早朝。

 外からなにやら騒がしい機械音で意識が覚める。

 ぶいーん、という草など刈っている音だと思う。

 身体を起こし、窓から外を確認すると四、五人のおじさんたちが芝刈り機で庭の芝を整備していた。

 今度はなんだ。と思うつつ、昨日ヒメが電話している相手がわかっただけで、再びうるさいと思いながら、寝た。



     ☆



「な、なんじゃこりゃー……」


 十時集合だったが、早めに庭に出ると。

 そこにヒメが仁王立ちで僕に説明を入れる。


「もちろん試合もここでしますので、まずはっと『ダイヤモンドベース』を作成いたしましたわ」


 説明の通り、庭が朝の整備で完全に草野球場と化していた。

 本当になんでもやるな、この姉は。

冬葉のブロマイドどんなんだったんだろうと思いながら書きました。


友城にい

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