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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
22/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 七球目

 最初に言っておく。

 これはギャグコメであり、決して「百合」作品でないこと。そして、間違えていないことを確認して先にお進みください。

 ではどうぞ。



「莉乃。腰が出ていてよ」

「あ、ごめん……でも姫夏もあごが上がってるぞ。気をつけろ」

「あら、これは気がつかなかったですわ」

「お互いさまだな、これは」

「そうですわね」



 完全な百合展開を繰り広げている莉乃とヒメを尻目に。

 あのあと冬葉と南雲ちゃんには、着替えてもらい、いつもお茶をするところに集まった。


「暖。次あんなことを勝手にやったら、アレ、だからな」

「わかってるって。楽しみは分け合うものだもんな」

「わかってるならよろしい」

「?」


 男同志の誓いの交わすのを見て、冬葉が首を傾げる。


「それはともかく、なにやるんだ?」

「そうだな。バッティングもいいが、まずはボールと友達にならないと野球もできないし、つ○さくんや○ン○ンマンみたいに強くもなれない」

「なんでその二つなの?」

「べつにいいだろ、なんでも」


 僕の返しを適当にあしらうと冬葉が暖に聞く。


「それでなにやるの?」

「野球と言えば、攻撃も大事だ。無論、それを引き立てるのが『守備』。というわけで基本的なグローブの使い方を教えようと思う。いいかな」

「なーるほど・ザ?」


 僕のボケに、


「ワ○ルド!」


 と、暖。

 だが、


「違うよ、お兄ちゃん。そういうときはね」


 冬葉の訂正。


「ザ! ワー○ド! だよ」

「いや、どっちでもいいけどね」


 スタ○ドに詳しくないけどね。僕は。


「よし。前振りもいいが、自分たちのポジションは覚えてるか」

「僕がライト……」

「ノベル~」


 の南雲ちゃんの滑りこみをあしらいたいが、


「なんでここで?」

「ダメですかぁ~」

「べつにいいが」

「わたしはレフト……で。有名なのが松井○喜だよね」

「なんでやねぇ~ん」


 南雲ちゃんの可愛らしいツッコミ。


「わたし間違ってた?」

「なぜ僕に聞く? 野球なら暖に……」

「あ、それはダメ……」


 冬葉が咄嗟に止めに入る。


「お。野球を語らせたらおれの右に出るものがいないと言われているおれに、野球に関しての知識を披露してほしい?」


 え、なにこれ。


「遅かった……ごめんね、しばらく我慢してね」


 冬葉が覚悟した顔になる。

 あ、まさか……。


「うんうん、いいだろう。なら始めに。ああ、あれは遡れば、おれが野球をやるきっかけとなった五歳のとき――」


 その後、僕たち三人は延々と暖が野球を始めた発端と最近、格下の弱小高に完敗した話までをおよそ二時間に渡り、聞かされるとはこの時は知らなかった。

 終わったころには。


「――おれは決心した。もう妥協しないと。そして、仲間を信じると」

「まだか?」

「それだけじゃない。おれは野球に燃えているんだ、って」

「聞けやあああああ!」


 暖の耳元で吠えた。


「なんだ。これからが良いところなんだぜ。あのな、これを皮切りにおれたち野球がなんと、あの有名な――」

「もういいから」

「どうした」


 素っ頓狂な顔で僕に問いかける。


「どうしたじゃない。今ここに誰がいる」

「夜夏がいる。なにか問題が?」

「冬葉と南雲ちゃんはどうしてると思う」

「屋敷のリビングで涼んでるんだろ」

「知ってて話してたのかよ!」

「当たり前よ。おれを誰だと思ってる」

「バカでバカで大バカで野球バカの北松暖」


 友達にかける言葉ではないが、この場では的確に暖を射ている攻撃だろう。言いかえれば、報復。二時間黙って聞いていた僕の寛容さの分を。

 本当は二人の分もやりたいが、二人は五分聞いたらへんで屋敷に避難させておいた。

 今の僕の言葉を暖は、呑みこむように口を大きく開けて、


「罵倒は甘んじて受け入れてやる。そう、おれは野球部員で来年からキャプテンの就任が決まっている暖長である」


 お前がキャプテンかよ。こりゃ来年の野球部を棒に振っているようなもんだな。


「キャプテンに必要なのは、まず仲間たちの声だ。それをいつも心がけている」

「そうかい」

「だから、二人を寄り戻してこい。話はそれからだ」

「あいよ」


 暖の相手をするのは、けっこうダルい。ケータイでメールをし、五分後に二人が見える。


「終わった?」

「まあ途中で聞いてなかったけどね」

「夜夏も聞いてなかったのか」

「そうだけど。悪い?」

「悪い。おれだけがみんなの声を聞いて、それなのに夜夏はおれの話を聞いてなかっただと! 許さん!」

「あ、もう無視していいよ。また話長くなりそうな予感がするから」


 冬葉がそう言うので、許さん、から耳を外した。暖になると冬葉が強気だ。これからは暖に絡まれそうになったら、冬葉に頼ろう。


「守備練だっけ。暖がいなくてもいいだろ、手で投げればいいだけだし」

「それは断じて許さんぞー! 暖だけに!」


 あ、抜け出してきたな。


「手じゃダメなのか?」

「打つのと手で投げるのでは、球の力や回転に限界がある。守備練をするなら断然バットで打ったのを捕るほうが実戦向きだ」

「なら早く無駄話はやめて暖がノックやってくれよ。もう陽が傾いてきてんだから」

「なにが無駄話だ! あれはだな!」

「お兄ちゃん?」

「……はい」


 冬葉に脅させて、暖は小さくなった。冬葉グッド!

 こうして遅かれ、僕たち四人は次なる練習に取りかかる。


「冬葉レフトだ。でも。いきなり外野フライを捕れというのは無理がある。だから最初は内野で捕ってもらう。いいな。夜夏も一緒だ。冬葉と反対側だ」


 あいよー、と合図。

 冬葉が左に僕が右。南雲ちゃんが真ん中に立った。


「ほら始めは低くいくからなぁー、うら!」


 キン、と軽い音。

 打球は冬葉の頭上に上がった。


「冬葉ー、いったぞー」

「わ、わかってるよー、で、でもぉ……ひあ!」


 おどおどして、最後は球さえ見ずに身をかがめた。


「冬葉! それじゃ、莉乃ちゃんが安心できんぞ!」

「お兄ちゃん、わかってるけど、やっぱり……」


 喝を入れる暖だが、冬葉はかなり弱気だ。それに負けた暖が、


「わかった。まずはおれが捕り方を教えてやる。最初からそうすればよかったんだな」


 そうなると代わりに打つのが僕になり、暖からバットを受け取る。


「冬葉。グローブはな、硬くつけるんじゃない。やわらかく、あたかも自分の手のように球を優しく包みこむように収めるんだ」

「お兄ちゃん、それじゃなにもわかんない」


 ですよね。僕でもわからん。


「たとえを変えよう。そうだな、球を恐れないために自分を守る盾。そうは思わないか」

「そうなの?」

「いや、僕に聞かれても」

「夜夏にもグローブの役目を知っててほしい。もちろん南雲ちゃんにもだ」

「ほえ?」

「夜夏。一球打ちあげてくれ。振り上げ打法でいいから」

「わかった……」


 突然、言われても困るが、バッターボックスに入って、自分でトスしてバットを振り上げた。

 運よく一球で当たり、狙いどおりの暖の頭上にボールがいく。

 手慣れた動きで「オーライ、オーライ」と球の落下地点に着くとグローブをかまえる。

 スパッとグローブにキレイに収まった。


「カッコいい……」


 冬葉が思わず、そうこぼす。


「そうか? 照れるぜ」

「わたし、頑張る。頑張ってお兄ちゃんみたいにボール捕れるようになるよ」

「おう。おれがみっちり教えてやる」


 新たな決心がついたようです。


野球というスポーツを通して、どんどんキャラたちの心に変化が訪れているようです。

まあ二人を除いて……。


友城にい

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