また会おう、その時は絶対ナツ! 三球目
「ピッチャーは莉乃ちゃんで行く。異論は許さん」
「まあ、ないけど」
僕の言葉に続く人はいなかった。みんな納得ということだろう。
「負けた時は莉乃の責任にしていいってことですわよね。そういうことですわよね。ねぇ暖」
「それは、ノーコメントで。一概にピッチャーの全責任とは言えないからな」
暖にそう言われて、少し動揺するヒメ。そこまで責任を押しつけたかったのか?
「あれ。試合するつもりなのか?」
「しないんですの?」
「どこと? あと九人いないだろ」
「…………」
僕の指摘にヒメは黙りこんだ。
「…………」
待ってもなにも言わない。
この人……。
「考えてないのかよ!」
「…………」
「なにか言えよ! 僕はてっきり今日だけの遊びかと」
ヒメのだんまり。
「そういうつもりだったのか夜夏。おれとも遊びだったのかよ!」
「ややこしくなるから、今は引っこんでてくれ! それと言葉を選べ!」
ああもう三人ほど冷ややかな目で見え始めたじゃないか! 僕にそんな趣味はない、けして。
「くすん……」
「嘘泣きよせ!」
「あーい」
ガ○モちゃんかよ。最近はフジ○ンのパクリのほうが印象高いけど。
「わかりましたわ。明日までに対戦相手をさがしておきます。それでよろしくて、ヨル」
「いや、試合したくないんだが……どうせ負けるし」
ど素人と試合を申し込むとすればそれなりのチームと戦いそうだ。ヒメのことだし。これじゃまるで運動神経悪いうんたらと少年野球チームとやりあうのと同レベル。途中から回最初から満塁。ファイブアウト。相手はワンアウト制度になるに決まってる。
「だまらっしゃい! 負けるのが怖くてなにもできますか! 私はやりますわよ、やるならとことん最後まで諦めずに!」
ヒメが熱い。金髪なのに赤髪に見えてきた。これじゃ莉乃とキャラ被りだな。
「わかったよ。やればいいんだろ、やれば。で、あとメンバー足りないが?」
「そこは心配いりませんわ。こんなこともあろうかと助っ人を呼んでおきましたから。入ってらっしゃい」
手をぱんぱんと叩く。すると奥のほうからすたすたと走ってくる人が三人。あれ?
「紹介しますわ。この人は――」
「ストーップ!」
「なんですの?」
「なんで新○ょうに城○まに清○ら、なんだよ!」
「清は○はファーストではなく、サードをやってもらうよう頼んであります。彼はこれでも西武時代はサードをやっていたんですのよ」
「そこじゃねえよ! いいのか、出して!」
なんかもうアウト臭が半端ない。大丈夫か、僕の姉。
「問題ないですわよ。コレもそこいらのバラエティより多めに出しておきましたんで」
ヒメは指で輪っかを作る。ああ、あれね。うん、あえて言わない。
そのあと三人にはホテルに帰ってもらった。試合の日に呼ぶらしい。それまで帝○ホテルに泊まってもらうのか、もらわないとか。
「凄かったね……でもわたし桑○さんを見たかったな」
「南雲は、よくわからないですけどぉ~。ドカ○ンという人を見たいですねぇ~」
いや、実在しないから。架空の選手だから。
二人の微笑ましい会話もいいが、次のステップに移行する。
「よし。ポジションは決まったな。本当ならここで体力を作ってほしいが、そんな余裕も時間もなさそうだ。なので、守備練習を行おうと思う。いいか」
暖に言われるがままに五人は、それぞれの位置についた。
当然、僕のいる外野は反対側に冬葉がいるだけでガラガラ。暖がその通りのところに打てるのかも不安だ。だってそこにいかなかったら捕りにいくのは僕だし。
ここから暖の場所は遠い。
暖が「いくぞー」の声も大きいはずなのに小さく聞こえた。
瞬間にキーン、と弾く音がし、二塁近くにいる南雲ちゃんのところにいく。
「捕りますよぉ~」
ぼてぼての当たり。南雲ちゃんは腰を低くしてグローブを差しだす。
だがボールは南雲ちゃんの股のあいだを抜けて、僕のところにくる。まあ初心者ならそうなるよな。
「あれれ~? おかしいなぁ~いめーじとれーにんぐぅー(親指を立てる)は、完璧だったのにぃ~」
途中のなに? エ○はるみ?
そこに。
「夜夏ー」
暖がこっちに走ってきた。なにかあったのか?
「なに?」
「夜夏。おれ、衝撃の事実。いや、新境地を発見した。聞いてくれないか」
「なんだよ」
「あのな」
溜めに溜めを作る。
暖の顔は真剣そのものだ。いったいなにを言う気なんだ?
「南雲ちゃんのおっぱいがそこいらのグラビアよりエロい」
「…………」
ゴッツンコ、
「あいたっ!」
暖の旋毛あたりをグーでどつく。ヒメとか女性ならパーで、乗せる程度だがな。
「なにをするんだ。夜夏も好きだろ、おっぱい」
「そりゃ好きだが……」
「聞いてくれ。南雲ちゃんのおっぱいはな。天然なんだよ」
「あの歳で整形のほうが嫌だがな」
南雲ちゃんのおぱーいが整形なら、僕はあそこまで執着してないだろう。なんてったってなぐおっぱいだし。
それにしても暖が熱い。いや、たしかに外気も暑いが、暖は、体温じゃなく、魂があつ……暑苦しい。
「おれな、見たんだよ!」
「なにを……!」
ま、まさか、僕でさえ見ていない南雲ちゃんのち……。
「ばいんばいんに揺れるのを。ありゃエロを超えた新の芸術だな。絶対」
「ほっ……」
「なんで安堵してんだ?」
「いや」
よかった、谷間か。本当によかった、初めてがこんなバカ(暖)じゃなくて。
「いや~。これが終わったら語らね? おっぱいでさ」
「ああ、わかったから練習早くやれ。暑いんだよ、こっちは」
「あいよー」
みんなから訝しみの目で見られていたが、場所が場所なだけに話は聞こえていない。
そんなことはどうでもいいのか、何事もなかったかのように暖は大声を出して、ノックを再開した。
次はファースト。
「私ですわね。まかせて……あれ?」
ヒメもトンネル。南雲ちゃんと同じ結果になった。
僕はこっちに来ないことを察して、南雲ちゃんのすぐ後ろに着いた。
「ぷぷ。姫夏ヘタだなぁ。あたしを見てろ。さあこっちにこい、暖」
案の定、喧嘩がおっぱじめそうな雰囲気。
「おっ。さすがエースだ。いくぞ、莉乃ちゃん!」
暖が目の前の投手に軽めにバットに当てる。
「きたきた。見せてやる。あたしの華麗な捌きを!」
できる気満々の莉乃の前に立ちふさがったのは、ボールじゃなかった。
「させますかーっ!」
ヒメのドロップキックだった。高らかに決めるライ○ーキックにも見える。
避けることはできない。そのため、キックが捕球中の莉乃の弁慶にクリティカルヒットゥー。
「ぎゃあああああ! き、姫夏……。馬鹿野郎ーっ!! 姫夏、誰を蹴ってる!? ふざけるなーっ!!」
莉乃のどこかで聞いたことがあるような叫び。
その隣でニヤニヤするヒメ。
「蹴つならあたし以外の人間の足を蹴て!! なにをやってる。せめて暖だろ!!」
莉乃の言ってることが滅茶苦茶だ。
「なんでおれ? まあいいけどよ。野郎じゃないし」
いいのかよ。美少女限定の罵られて興奮する、ドM体質なのか。なんか僕の中の暖がどんどん変態になっている気がする。
「莉乃。あなたは私をバカにしました。それの報いです」
「はは、ならこっち(暴力)じゃなくて、こっち(野球)でこいよ」
「ふふ、それもそうですわね。私としたことが。まあ攻撃して反撃されてません。――し、半分は私の勝ちですわよね……」
後半小声のつもりで言ったヒメ。こっちまで聞こえてるぞ。
「なにか言ったか?」
「いいえ。なにも」
外野の僕にも聞こえたのに、目の前の莉乃が聞こえていないはずないだろうよ。あれはわざとだな。
「じゃあ、バッティング勝負をしようぜ。どちらがより遠くに飛ばせるか勝負だ」
「いいでしょう。それなら私にも勝ち目ありそうですし」
勝てるのか? それ。
投球のときは、それなりに力がありそうに窺えたが、素人がそうバットに当てられるものじゃない。
「五球で勝負! いくぜ」
「ええ」
こうして、また寄り道が始まった。
暖も男。ヨルも男。ならやはり南雲ちゃんのおぱーいはロマンです。
それよりまたバトルになりました。
友城にい




