お祝い企画 人気キャラランキング結果発表 十四個目
莉乃に問う。
「ここで勝って、次も勝つ。ジャンルは『男性』でいく」
「ほう。でもあたしも負けられない戦いだからね。手を抜く気は一切ない」
「それで頼むよ。選ぶのは――『中野夜夏』だ」
ヒメは「やっぱりですわ」と見破っていたみたいだ。
僕の対戦相手――高西莉乃は、「ふふふ……」と不敵な笑みをこぼす。
「なにかおかしいこと言ったか、僕」
「いいや。夜夏らしいな、って。ちなみに自分がどれぐらいの人気か、自分で自覚はしてるのか?」
「そうだな。よくわからない。さらに言えば、本当に僕はこの物語の主人公なのかもわかっていない」
主人公っぽいこともしてないしな。
「じつに夜夏らしい。今からあたしの言う夜夏の順位は本音で評価だ。文句は認めるが、反論は認めない。それを覚悟で発言したのか?」
「もちろん。それも覚悟の上だ。莉乃なら正直に答えてくれると思ってるから」
莉乃は「そうか」と言って、息を吸って吐く。
「あたしの予想する夜夏の順位はおそらく姫夏以下。つまり二十位」
本当にそれだとすると僕は『建設会社の電話相手』以下になる。
「理由も聞いていいか」
「いいよ。まずは『影が薄い』からだ。夜夏は基本的に前に出ることのない。なんでか、それは姫夏を立たせるため。違うか」
「私のためですの?」
「当たってる。僕は主人公の肩書きであっても実質の主人公じゃない。いわば『予備』か『形』の存在」
「それがまず一個目。二個目は『特徴がない』。見てのとおり夜夏はただの一高校生。スペックも勉強もまあまあ運動もそこそこ。顔も普通かそれの少し上。ただ運よく金持ちの家に養子として入って不満のない生活を送っている。だけ」
「運よくは失礼だろ」
「そうですわ。ヨルは運なんかじゃありません。運命として私の弟兼ツッコミをこなしておりましてよ」
「そこも失礼だろ。あってるけども!」
顔のことはよくわからんが、莉乃の基準の少し上でよかった。
「三個目が」
「まだあるのか?」
「あるよ。十五個ほど」
「全部話すのはよせ! 尺押してるから」
「しゃあねーな。これが最後の理由だ。ズバリ――『必要性』」
「必要性?」
僕は聞き返す。
「つまりヨルはこの物語にいなくても、問題なく進行すると言いたいんですの?」
「その通りだ。さっき姫夏は夜夏の役目はツッコミだと言った。だが、実際夜夏がすべてのツッコミに回ることはまずない。たまにあたしや最近じゃ冬葉がボケ兼ツッコミを勉強しているみたいだし」
「うん。してるよ。夜夏くんに指導してもらってる」
「もし冬葉が完全にツッコミを物にできたら、それこそ夜夏がいる意味がなくなってくる。違うか?」
なぜだろう。最初はいくらでも弁解の余地があると思っていた。けどいざ聞いてみると反論の隙間さえないほど莉乃は言葉を並べてきた。
本当に僕がいなくてもこの物語は動くんじゃないだろうか。そう思えてきた。
「莉乃ちゃ――」
「反論は認めないと言ったはずだ」
「う、うん。そうだったね」
冬葉が席を立ち、僕の擁護に入ろうとしてくれる。それを莉乃が一刀両断。
ヒメもなにか言おうとしたがやめた。その行動だけで嬉しい。
「では冬葉。ランキング発表〝だけ〟頼むよ」
「うん……。じゃあ言うね。夜夏くんの順位は……」
莉乃の今までの予想に大外れはない。
しかし、冬葉が言った順位は驚くもの――
「十七位です。このラウンドは夜夏くんの勝ちです」
これを聞いて、莉乃はイスにもたれかかった。
「そっかー……」
「なんだ、不満なのか」
「いいや。これじゃ丸っきりあたし悪者だなぁ……って。あたし正義が好きなのにさー」
莉乃は天を仰ぐ。
これでまだ僕と莉乃は同率のまま。勝負は最終決戦へと持ちこまれた。
「莉乃は立派な正義だ」
「ええ、私の次に正義の魂を持っていますわ」
「わたしも莉乃ちゃんは正義の化身とも呼んでるよ」
「莉乃ちゃん、お肉食べますかぁ~」
南雲ちゃんを除く三人の言葉。
「へっ……そうか? 姫夏はともかく元気が出たよ。それと――」
「ん?」
莉乃が涼しそうな顔を浮かべて、
「やっぱり夜夏は必要なのかもな、って」
「どういうことだよ」
「ははは、気にすんな。それで夜夏が十七位の理由ってなんなの?」
「理由は、『キャッキャッウフフ』が乱立してます。2ちゃ○ねるみたいに」
「結局そこかあああああっ!」
僕は小さな世界で叫ぶのだった。
さて、最終対決。
「あたしか。それと残ったのが『物』か。これはいい。姫夏に勝ち目がないとはいえ、ここまできて最後に一勝されるのもなんか癪だし。徹底的に0勝にしてやる」
「あーら、鬼畜鬼畜。どんなに莉乃が攻撃しようと私は倒れませんわよ。あなたと違って私には《守りたいもの》がありますから」
どこの少年漫画の主人公だよ、それ。
「もういいから続きしようよ」
「ヨルは」「夜夏は」
「黙ってなさい!」「黙ってろ!」
すごい気迫。ずてーん、と後ろに転ぶ。
「ぜってーに当てさせねーからな、覚悟しろ! いくぜ『水鉄砲』これでどうだ!」
人に黙ってろ、なんて言っておきながらきちんと寄り道せずに勝負を続行。よくわからん。
「そんなの簡単ですわ。なんてったって水鉄砲は、私の案ですからね。四十位」
「順位は何位だ。冬葉」
「サバゲー思いだすねー。ねっ、南雲ちゃん」
「う~ん? 南雲よく覚えてません。なんでだろぉ~」
それは違う人格でやったからでは? 言わないけど。
「あ、順位だったね。ああ、姫夏ちゃんおしー! 三十九位です」
「あら。二度目のニアピンがここで。まあいいですわ。これで私の初勝利が見えてきました」
ヒメが両手で「1」を作り、天を衝く。
「むー。まあいい。姫夏が勝てば夜夏と同率。これでもサイン色紙はもらえるし、いいっちゃあ、いいんだけどよ」
僕はそれでは困る。
けど、僕には勝利の方程式がすでにできている。
そう――
「ヒメ。次のチャンスで出す問いはもうわかっている」
「ふふ。そうでしょうね。そうですわ。私が出す問いは一つだけ――」
ヒメは微笑む。
「最後の問い。『チャンス』で残された主要キャラはただ一人――『北松冬葉』の順位を当てよ」
ヨル最高の好機がここで!
次回決着。
明日も更新します。
友城にい




