お祝い企画 人気キャラランキング結果発表 十三個目
燃える魂。叫び立つ心臓。震えだす膝。
まさにバトルという名に相応しい展開と空気。そして、厨二――
「ここで一気にたたみかけてやるぜ。あたしに残されたジャンルは、なにがある」
冬葉がボードでチェック。
「莉乃ちゃんはあと食材と物だよ。姫夏ちゃんが女性とチャンス」
僕があと、食材と男性。
「あら。私チャンスを使ってませんでしたの? これは、一勝は確定ですわね」
なんでそうなる。
「なんでそうなる? まだわかんねーだろ?」
莉乃と言葉が被る。なに、僕と莉乃は意思疎通なの?
「夜夏。べつにあたしはお前のことは好きじゃないぞ?」
また読んだよ、この人。斉木○雄かよ。
「莉乃ちゃ~ん、つんでれ、ですか?」
「あら、莉乃がツンデレのテンプレを吐くとは。これは空を気にかけたほうがよさそうですわね」
南雲ちゃんが茶化すと、ヒメが天井を仰ぐ。照明しかないけど。
「莉乃ちゃんも、夜夏くんのことが……」
「あたしなにか失態を犯したのか? みんなの雰囲気が変わったぞ?」
莉乃が僕を見る。て、照れるじゃねぇか、おい。みんな見てんだぜ。
「ほっぺを赤めるんじゃねぇー! キメェーよ、今のお前サイコーにキモいよ!」
「あんなにバトーしてぇ~。あれが俗にいうぅ~。『てれかくし』なんですねぇ~」
莉乃の貶しは、じつは愛なんです、と言わんばかりの南雲ちゃんの解釈。
「違うよ! 南雲だけはあたしを信じてくれよ!」
「莉乃。残念ながらヨルには先約がいますの。潔く諦めてくださいな」
「そうさせてもらうよ! べ、べつに夜夏のこと好きじゃねぇし!」
「莉乃ちゃん……」
「冬葉! なに暗い顔してんだよ! なに『わたし負けたよ』みたいな顔してんだよ!」
慌てふためく莉乃。
なんだか楽しそうだ。
「本当に好きじゃないの?」
「本当だよ! こんなやつふ……こんなやつ別のやつにいくらでもくれてやらー!」
「なんで一回言い直したの?」
「ここで物語が終わるからだよ! あたしが暴露したら、冬葉の立場がなくなるからだろ」
すごくメタい。そして、いつにも増して冬葉がしつこい。なにかあったのか?
「莉乃なにか世界の秘密でも握ってんの?」
鈴と理樹とで、探しているんだろうか。羨ましいなぁ、莉乃。
「夜夏まで入ってくんなよ、大変なんだよ、あたしは。交じる前にあたしを助けろ!」
「あらら、ヨルを巻きこむとは。さすがテンプレートツンデレ。略してテンツレ」
「なんだよ、テンツレって! 意味がわかんねーよ」
莉乃がんばる。全部にツッコミって律儀だよな。一つくらい無視すればいいのに。挙げるならヒメのとか。
それと『テンツレ』って流行らないだろうか。
「いい加減始めようぜ! いつまでもやってらんねーよ、こんなの。あたし疲れたし」
そのときヒメがごそっとなにか言った「計画通り」――と。
「ヒメ、なにか言った?」
「?」
いい笑み。だが不気味。とんでもないことを企んでいる顔に見える。
この予感は当たってほしくなかったが。
「あたし行くぞ。ジャンルは『食材』。うーん、あんまり覚えてねぇからな。たしか……あれは出たよな、よし『チーズケーキ』だ」
「そんなの出ました?」
ヒメと同意見。思わず頷く。
「出たぜ。一話で。名前だけだけどな!」
なぜか自信満々。高らかに笑う莉乃を横目にヒメは眉間を寄せる。
「むぅ。まあいいですわ。ではいきます。チーズケーキですか。私は好きですけど」
そこは関係ないだろ。ちなみに僕はレアチーズのほうが好きです。
「わたしも好きだよ。いちごタルトの次に」
「南雲も好きですよぉ~。シュークリームの次にですけどぉ~」
「いや、これ南雲の発言だからな!」
莉乃が南雲ちゃんにツッコムとは珍しい。
あとなんで二人とも二番目なの?
「私もじつはショートケーキのほうが好きですわ。まあチーズケーキはせいぜいベスト20位以内くらいですわ」
「せいぜいってなんだよ。誰か一人でもいいからチーズケーキを一位にしてやれよ!」
力説。
僕は三人を見渡した。
しょうがない。
「僕がチーズケーキを一位にするよ」
「そ、それならわたしも一位にする」
「南雲もぉ~」
「仕方ありませんわね。私も一位の座を譲りますわ」
四人は手を挙げた。
下ごしらえは整った――あとは、
「莉乃はどうなんだ?」
僕が爽やかに仲間に誘うように言う。
「もちろん。あたしもさ。これで――」
「「「「どうぞどうぞ」」」」
「え?」
僕たちは、莉乃にチーズケーキ一位の権利を遠慮なく譲った。
莉乃は呆然としている。
「え? お前たち、チーズケーキをう、裏切るのか?」
「滅相もございません。僕たちはチーズケーキの意思を尊重しただけの話です」
ほかの三人も力強く頷いた。
「チーズケーキの尊重って?」
「僕たちがチーズケーキを選んじゃない。チーズケーキが莉乃を選んだってことでございます」
「チーズケーキが、あたしを?」
「そうですわ。私の中じゃ、チーズケーキはいつも二番ですもの」
ヒメがそう言った瞬間――
「チーズケーキは圏外です」
「ちょ!? 冬葉、今のは、ちが……」
「ち、違うの!? わたしてっきり解答したのかと……ごめんね、姫夏ちゃん」
冬葉がマジ落ちこみ。
そんな聞き間違いするのか? と本気で疑問。
「まあいいですわ。次、行きますわよ、ヨル」
「おう、かかってこい」
「あたしをチーズケーキが、なんか……照れるな」
莉乃は自分の世界に入り浸っていた。
「莉乃は置いておいて、いきますわ。ジャンルは『女性』選ぶのは『水着を買いにいった際にいた女性店員』ですわ」
えらく細かい。
「なぁ、もしここで僕が『圏外』と答えた場合はどうなるの?」
「姫夏ちゃん、どうなるの?」
「うーん、ノーカウントかしら」
「それでいいか。仕切り直しで」
僕は悩んだ。
ここで大きく外すわけにはいかない。
叶えたい夢のために。
「圏外は選ばない。勝負だ。七十……四位」
僕はすぐさま冬葉を見た。
「あのときの女性店員は、ランクイン、しています。発表します。第……七十……七位、です」
「よし。三つ差」
十分に勝ち目はある差だ。
莉乃を見ると、まだ世界に入り浸っていた。
ここで、ヒメが。
「今のうちに問題を言っちゃいなさい」
「え?」
「莉乃は自己判断ができる状態じゃありません。このままヨルが問題を出す。そのままタイムアウト。そうなればヨルは三勝。莉乃は二勝。ヨルに負けはなくなりますわ」
悪魔の囁き……そう受け取る。
「ヒメ。本気で言ってるのか?」
「見るかぎり叶えたい夢があるようでしたから。違いました?」
「ああ、あるよ。けど、ズルしてまで叶えたい夢じゃない」
ヒメの目は、いつも見るバカで楽しそうな目でも。真剣になにかに取り組む目でもなかった。
僕の知らない第三の目。
新たな一面だが、はっきり言って見たくなかったかもしれない。
「でもこのまま莉乃は勝ちますわよ。私の勘は鋭いんですのよ。今の莉乃に勝てる者はいませんわ。女の勘じゃない。勝負師の血が私の血管を疼いています」
ヒメは腐ってもあの方の娘。
世界を占める大会社の社長の娘。忘れてはいけないことだった。
「さすが、興味がないとはいえ、金の匂いはわかるんだな。参ったよ」
「ふふ、では――」
「せっかくだけど、断るよ」
僕がそう断言する。
するとヒメはわかっていたように、目を閉ざした。
「そうでなくてはいけませんわね。こうでなくては私の弟など務まりません」
僕は負けない。そう夢に嘘をつかないために。
莉乃の肩をゆする。
「おい。問題出すから戻ってこい」
「チーズケーキ……ふえ、あたしは今までなにを……」
「よかった。じゃ、いくぞ」
ヒメが見ていてくれるかぎり、僕は誰にも負けない。絶対に。
チーズケーキ好きです。とくにレアチーズケーキは。
やっぱり諦めきれない『テンツレ』
友城にい




