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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
人気キャラランキング結果発表編
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お祝い企画 人気キャラランキング結果発表 一個目

『第一回中野家主催人気キャラランキング結果発表』




 真っ暗にされていた室内でステージの真ん中にだけスポットライトが照らされた。


「さぁいよいよ、今年も始まりました。ランキング発表ですが、皆さんはどの人に票を入れましたかしら?」


 悠々と立ち尽くすヒメこと中野なかの姫夏きなつは、派手目の真っ白なドレスまで着ていて、右手にはマイクを握り、そう開催宣言をする。

 その姿は、○ーチ姫みたいだった。碧眼じゃないけど……。

 ならば怪物にさらわれて、ヒーローが助けに来るのか! 赤いおじさんが見当たらないけど……。

 屋敷の庭にいつの間にか造られていた、某野球スタジアムぐらいの大きさはあるだろうこの大型ホールみたいな場所。つうかどんだけ外に出たくないんだよ、こんなの造るぐらいなら贅沢に武道館やら安く行くなら近所の結婚式会場を借りればいいのに……。このエコ反逆者め!

 それはともかく……。


「今年〝も〟って去年したっけ?」

「第一回と書いてあるでしょ?」


 ごもっともです。でもヒメが〝も〟とか言うからさ、ね?


「あと大丈夫。心配すんな、誰も姫夏に票入れないから」

「んな!?」


 莉乃が腕を組み、自信満々に言う。

 円形のテーブルに四人が並んで座っている。ほかにもテーブルが十個ほど後ろに設置しているが、僕たち五人以外この会場内にいない。


「り、莉乃ちゃん、それはあんまりなような……」と冬葉。

「そうですわ! 見てなさい、莉乃。最後にカスなのはあなたになるのですから!」

「?」


 莉乃が首を傾げた。

 どうやら「カス」が聞こえなかったようだった。


「え? 姫夏、どう……ゆうこと? え? 姫夏負ける気でいんの?」


 莉乃がわなわなとそう口にすると、ヒメはすぐに把握したようで口元をニヤリとさせる。


「そうですわ。莉乃が私に勝てなくて、誰が私に勝つ者がいるのです?」

「あ、そ、そうだよな……うん。そうだ、あたしが勝つのさ!」


 その反応を見て、ステージ上に立つヒメが笑いを堪えきれずに後ろを向いて、ぷぷぷ、と笑っていた。正直ひでー……。

 それを横目に莉乃は、一人で頬を染めているのだった。

 なにか事実を伝えるのが怖いなあ、と僕が思っていると莉乃の横に座って肉料理を食べていた南雲ちゃんが突然、口に指を当てながらに言う。


「莉乃ちゃんは~《カス》になりたいの~?」

「あ」


 と僕が言葉をこぼすと、莉乃は南雲ちゃんに問い詰めずに僕に顔を向けてカッと目を開かせると。


「ど、どゆことだよ……」

「え、えっと……莉乃が勝手に聞き間違えただけの話であってですね」


 すると莉乃の目のかたきはもちろんだが、


「ど、どゆことだよ……」と同じ質問をヒメにする。

「? なんのことを言ってますの?」


 ついにヒメはとぼけだした。

 それを聞いた莉乃が「て、てめぇ……」と身を乗り出そうとした時、横の南雲ちゃんが莉乃を左手で制する。


「な、南雲なんだよ」

「……莉乃ちゃん」


 やけに神妙そうな顔つきで莉乃を見つめ出す南雲ちゃん。

 莉乃も蹴落とされそうに「南雲、なんか怖い」と呟く。

 横に座る冬葉が「えっと……」とさせる中、次に南雲ちゃんが発した言葉は……



「食事中は~、席を立っちゃ~ダメなんだよ~」



 正論だった。

 僕は「ほっ」と胸をなでおろした。


「そ、そうだな。それはあたし悪かった。けど、あたしごはん食べてないんだが」

「ほえ?」と南雲ちゃんは可愛らしく首を傾げる。


 莉乃はなにかを察したように浮かせた腰をまた落とす。

 僕には少し「?」な会話に思えた。

 そこに冬葉が一言、僕に耳打ちをしてくる。


「このお肉って、なんのお肉なの?」

「エ?」


 突然、耳元で囁かれたものだから、日常生活では絶対使わないであろう、マヌケな裏声が出てしまった。

 僕はすぐに「ううん」と誤魔化すかのように喉の調節を行ってから、冬葉に改めて返事をする。


「気になる?」


 そう言ったのに冬葉は耳打ちをやめずにまた僕の耳に囁きを入れる。


「だ、だって南雲ちゃんがすごくおいしそうに食べるから……ね? でも、莉乃ちゃんも夜夏くんも食べてないからなんか食べづらくて、その……」

 もごもごしだした冬葉に「ちょっと」と止めて顔を離す。


「ど、どうしたの?」

「いや、そろそろくすぐったくてヘンな声が出そう」

「ヘンな声って?」

「え? ……えっと、たとえば……『たとえば~♪君がいるだけで心が強くなれること~♪』んじゃなくて。ほ、ほら『うおっ!』とかだよ、わかるだろ?」

「ん、うん……」


 と冬葉は納得していないみたいに一つ頷く。


「納得いかない?」


 僕がそう聞くと冬葉は「ふふ」と頬を緩ませた。


「あれ? なんで笑う?」


 でも冬葉は笑いを抑えられないのか、しばらく「ふふ」と口と腹を押さえていた。



「なにを想像して笑ってたんだ?」


 僕は改めてそう聞いてみる。


「し、知りたい?」

「まあ、そこまで面白いものなら」


 僕がそこまで言った時、また冬葉が思いだし笑いを始めた。そんなに面白い想像をしたのか?


「ちょ、ちょっとまっててね……ふふ」

「お、おう」


 最後、笑い声が漏れてたぞ。

 しょうがないので横に視線を移し、なにかをしている莉乃たちを見る。


計画性もなく、続編を書いてみました。

楽しめましたのなら作者としては幸いです。


感想や評価などなんでもおまちしています。


友城にい

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