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ぱんどら  作者: 星川宙
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序章―昔話―

 御影島(みかげじま)


 時の権力者が気まぐれで作ったという日本で唯一、国からの干渉を受けない治外法権の島。

 すでにいつ頃からそのシステムが創られたのかはわからない。それぐらい昔から独立し、独自の文化や法が作られて、根付いていた。


 ある時、1人の旅人が御影島を訪れた。旅人は何日もかけて島全体を探検した。

 そして、村人でさえ知らなかった洞窟を発見する。

 旅人は好奇心に後押しされて、最低限の食料や水をリュックに詰めて洞窟へと足を踏み入れた。

 それから2日の間、旅人の姿を見た者は誰もいなかった。心配になった人々は旅人が発見したという洞窟を探し始めた。


 しかし、人々は旅人どころか洞窟すら見つけることができなかった。

 人々は為す統もなく途方に暮れていた。

 そして、旅人が行方不明になってから3日が経った時だった。不意に旅人が人々の前に姿を現した。

 旅人は人々に向かって叫んだ。


「あそこは――あの洞窟は!!私の様な者が入っていいような場所じゃなかった!!まさに『パンドラの箱』を具現化したような場所だ。あそこにあるのは、この島への、人類への絶望だけだった!!」


 そう狂ったように叫ぶと、旅人は力尽きたように意識を失った。

それに不気味な何かを感じた村人達は『洞窟を見つけても絶対に入ってはいけない』というルールを作った。


 しかし、ここで1つ不思議な話がある。何人かの好奇心旺盛な若者たちは旅人が『洞窟があった』と言っていた場所に出向いたのだ。しかし、その場所には洞窟などありはしなかった。

 それどころか、その辺り一帯は平野で何もなっかたのだ。


次第にその事実が広がり、時の流れとともにそのルールは忘れられてしまった。

 旅人は亡くなる間際、自身の子供に言ったという。


「あそこは‥‥‥御影島は『パンドラの箱』だ。部外者は絶対にあれには‥‥‥あの――には触れてはいけないんだ」


 狂ったように元旅人はそう呟いて亡くなったという。

 旅人が言った『あれ』の正体は結局誰も知ることはなかった。



    《御影島語りより一部抜粋》

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