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ALLFO星機構 続書薄物収容施設  作者: セクシー大根教教区長ミニ丸語
シリーズ:外華内貧ラスボス系悪役令嬢の英傑列伝~このアホみたいな世界ブッ壊す~
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8:取り巻き強化に向けて


 あの授業の、アジュウェル脅迫後。

 呆気に取られて言葉を失っていた教師だったが、流石にやり過ぎだったらしくこの私相手に叱責をしようとした。

 なのでこちらに来る前に同じく炎の龍をぶつけてやった。

 そして言ってやった。先生は私よりも上手く炎の魔法が扱えるのかしら?変えてもらった方がいい?と。

 一度やったら二度目はあまり難しくなかった。動いている相手でもコントロールできたので教師に傷一つついていない。けど、その心には深い傷(トラウマ)が刻まれただろう。炎から出てきた時の顔と言ったら。


――――――傑作だったわ。絵画にして飾っておきたいくらいに。


 このドブカス(クルァウティ)も楽しめる程度には、面白い顔をしていた。

 上級学院の生徒は帝家の血筋も通う事があるのだから、上位の身分にも叱る事は出来る。というより、上級学院の教師も皆ここのOB、つまり貴族の血筋から選出されるのだ。だからいきなり無礼討ちなんてできない。

 だからと言って、はき違えられては困る。それは私よりも上手く魔法を扱えてからの話だ。教師が生徒よりも魔法の扱いが下手なら、それはもう教師ではない。だから教師として扱ってやらない。


 実力主義を排した弊害だ。こんな惚けた人材を使うなんて。

 

 家柄はならともかく実力でも生徒より遥か下。貴方に何が言えるの?

 そう私は嗤ってやった。


 そこですかさず拍手するロキュメス。

 よくわかっている忠犬。本当に良い子。つられてアジュウェルも拍手。追うように取り巻きも。

 するとウチのカミラヴィンチ家の子達も拍手して、事なかれ主義の子も拍手する。あっという間に趨勢はこちらに傾く。

 革命はこのクラスから始める。

 実力足らずの教師は心をへし折り砕く。大事なのは実力。実力があれば良いのだと周囲に教える。


 この授業を機に、学校全体の空気が少しずつ変わっていった。





「クルー様」

「見せて頂戴………うん、良くなってきているわね。大切なのは観察力、そしてそれを頭の中で展開する想像力よ。模倣はまず観察から始まるの」

「わ、わたくしも、ご覧にいただけますか?」

「いいわよ」


 学校に通い始めて1週間。面白くない、つまり実力不足と判断した教師の心を片っ端から私は潰していった。

 教師陣は怯え、反発しようともしていたが、舐めてはいけない。実力ある者は寧ろ厚遇することで結束を挫いた。

 美麗至上主義のこの国において、私の発言力は私が想像していたよりも強かった。

 容姿も良ければ実力にも家柄にも優れる相手に彼らは手も足も出ない。

 この国の頂点は皇帝だが、その下には帝国が帝国になる以前、前ゼンプラウ王国の呼びかけに賛同して吸収された6つの王国がある。その元王族の家が六大公王。この6つの家は皇帝の親戚である公爵家を超えるパワーを持っている。その六大公王の第一席、吸収以前に前ゼンプラウ王国に唯一匹敵する国力を持っていた王家こそが私の祖先、カミラヴィンチ家だ。

 カミラヴィンチ家は家柄的にも本当に皇帝以外匹敵するもののない大貴族なのである。


 だから木っ端貴族の教師ごとき、実力で勝るならまだしも実力すら生徒に負けているのだから発言権はない。

 

 なので一通り実力のある教師と無い教師を家柄関係なくより分けた後、実力不足と判断した教師の授業を私はボイコットするようにした。勿論取り巻き達も私の方に付く。これ幸いと私は取り巻きの強化をすることにした。

 教師たちは私に反抗されているが、免職をくらったわけではないので授業はしている。

 けど、これで授業の質ですら私に負けたら?

 彼らはいよいよ追いつめられるはずだ。


 私は実技の時間になると、講義室に取り巻き達を残らせて模写をさせた。

 ついでにロキュメスも。全くの0からやってみるのも面白そうだと思ったから。

 

 私の魔法の強さは自我の強さと言うより、転生前に腐るほどやった模写とかから来ている気がする。

 貧弱なイメージからは貧弱な魔法しか起こせない。私はそう思い、取り巻き達に兎に角イメージ力を鍛えるように促した。


 そのせいか、魔法の授業なのに彼女達はずっと絵を描かされている。これでは本当に芸術の授業だ。


 実験の為、ロキュメス以外にも取り巻きの護衛達にもランダムで選んだ者達にも魔法を教えており、彼らも不思議そうな顔をしつつも仕えている主人よりも遥かに偉い女の命令には従うほかなく、釈然としない顔をしながら絵を描いていた。

 今日の御題は蠟燭と灯る炎。

 アジュウェルはそこそこ絵心があって良く書けている。

 ロキュメスはデコピンしないくらいのクオリティ。要練習。まずペンの正しい持ち方から教えることになるとは。

 取り巻き達の中で1人壊滅的な絵心の持ち主が泣きべそをかきながら書いている。けど理不尽に罰しても意味ないので、杖で一度だけ軽く突いてやった。それだけで炎に包まれたアジュウェルを思い出しのか青ざめて涙を流しながら絵を描いていた。

 一方で、取り巻きの護衛の中で1人かなりよく書けている者も居た。この女はかなり観察力がある。覚えておこう。


「よく細部まで見て。その後は全体を見て。細部に拘り過ぎると全体のバランスが崩れるから、常に全体のバランスを頭に置きながら描いていくのよ。絵を描いた後は、それを現実に模写するように魔法で作り出しなさい。絵と違って三次元的な構造を形作る必要があるわよ」


 私は魔法で蝋燭の横にそっくりの物を炎で作り出した。うん。これくらいなら杖無しで作れるようになってきた。それを信じられないものを見るように皆が見ている。甘い甘い。こんなの構造的に非常に簡素なんだから。炎一つで某夢の国を作れるように今は練習中だ。それと比べたらこの程度。

 




「次は意志力を鍛えますわよ。わらわが魔法を撃つから、全力で撃ち返しなさい。わらわを傷つける心配などしなくていいわよ。お前達の魔法では無理だから。本気でやらないと死ぬくらいの威力でやるから遠慮なんてしていると大怪我する事を忘れないように。使う魔法は………【フラメンヴェルファー】ね。使い続ける限り持続性のある魔法よ。私が良いと言うまで撃ち続けなさい」 


 念力系統の魔法で机や椅子を退かしてスペースを確保。黒板を背に私は立つ。

 トップバッターに選んだのは、結局模写が全然ダメだった取り巻きA。蠟燭の棒の部分を真っすぐ書くのも苦手そうにしていたからちょっとひどすぎる。だからこれは罰。ガタガタ震えて顔は真っ青。泣きはらして目も赤い。縋るように杖を握りしめて、生まれたての小鹿の様な足取りで私の前に立った。


「3つの合図をしたら同時に撃ちますわよ。いい?3、2、1………ハイ」

「フ、【フラメンヴェルファー】!」


 こちらは無詠唱なので一拍を間をおいてから魔法を発動。

 両方の杖の先端から噴き出す炎。それが彼女と私の中央でぶつかり、一瞬で彼女の方まで押し寄せた。途中でコントロールして勢いを抑えなかったらそのまま彼女は丸焦げの大やけどだった。彼女の側仕え達が冷や汗ダラダラでこちらを見守っている。本当は彼らは職務的には主人を守らないといけないが、私から命令されて板挟みにあい動けないのだ。


「そんなものですか、なんてか弱い」  

「くっ、くぅぅぅぅ!!」  

  

 また泣き出したが、一気に炎が強まった。やはりアレだけ忠告しても無意識に手加減をしてしまうのだろう。万が一私にケガをさせたらごめんなさいじゃすまないから仕方ない。けど、舐めすぎだ。お前ら如きの魔法に押し切られるとでも?

 私は手加減を少し弱めた。それだけで簡単に拮抗し、ほんの少し力を入れればまた波が彼女まで迫る。


「死にたいのですか?生きたいのでしょう。目を瞑るな。死ぬその時まで目を開いて見せろ。ゼンプラウの貴族の血筋はそんなものかしら?」

「くっ、あああああああああああああああ!!」

  

 歯を食いしばり、恐怖に震え抵抗する姿にはゼンプラウ帝国の大事にする分かりやすい美しさはない。

 涙に汚れ、死の恐怖で鼻水すら薄っすら出ては熱で干からびてみっともない。しかし彼女は生に必死にしがみつく。死にたくないと。

 そう。それでいい。

 分かりやすい外の美しさは無いけど、内面から生の輝きが噴き出していた。

 

「もっとよ。それが本気?もっと怒りを込めなさい。絶対に殺してやるくらいの気概を見せなさい。本当に殺すわよ」


 激を飛ばす。

 静かに、声を荒げず。熱血教師も良いけど、淡々と。私に色んな事を教えてくれた私の実母はもう少し人間味のある感じだったけど私に何か教える時に言葉を荒げたことは一度も無かった。

 炎の波が真ん中迄押し返されては、また私が炎を強めて先端の直ぐ先まで簡単に押し返す。


 上級学院ではこんなスパルタなやり方で教導しない。だから彼女達を身をもってどれ程自分と私の実力が開いているか理解していない。甘すぎる。こんな程度で満足されていては私の格が落ちる。この様ではクルァウティが周囲に関心を失うのも少し理解できてしまう。本気を出したら容易く消し飛ばせる連中なんてどうでもよく感じてしまうのだろう。

 なにが悲しいと言えば、取り巻きとしていられるだけ彼女はまだマシな部類という事だ。


「ふぅ、ふぅ、がああああああああああああああ!!!」

 

 もうそこには貴族の淑女とかその他諸々を捨てて獣のように吼える女がいた。

 ようやく、本気で魔法を撃ってきたみたいだ。

  

 貴族の子女にとって、本気で足掻くというのは美しくない。だから彼女達は、本気の出すのに慣れていない。だから本気の出し方がとても下手くそなのだ。

 だから荒療治でも感覚的に学ばせる。生命の危機に瀕して、人は本当の本気の出し方を学ぶ。火事場のバカ力の出し方を。

 22世紀、VRMMORPG全盛期の世の中、私は幾度となく母親に戦闘を挑み殺された。母は最強だった。どうやったら敵うのかわからないくらいに強かった。母は安易な手加減を良しとしなかった。私の娘ならできると、私を真っすぐな目で見ていた。ちゃらんぽらんで変な母親だけど、その強さだけは絶対に揺らがない本物だった。

 死んで死んで、数えきれないほど殺されて、私は学んだ。

 必死になる方法を、学んだ。


「甘い」

  

 また炎のつばぜり合いが真ん中まで来た。それでも甘い。欠伸が出る。

 この取り巻きAが極端に軟弱と言うわけではない。この()の魔法出力がイカレているのだ。

 少し力を上げたら簡単にまた趨勢は傾く。

 いよいよ追いつめられたのか目を血走らせて杖を両手で持ち踏ん張り始めた。よしこの子はこれくらいでいいだろう。

 私はちょっと本気を出すと簡単に鍔迫り合いを押し込み業火で彼女を包んだ。


 火を散らせば、そこには恐怖で泡を吹いてぶっ倒れている以外は無傷の取り巻きAがいた。


「次」

  


 私の一言で、取り巻きだけなく護衛達もが全員震えあがっていた。


 


 

イカレた母と父にしてこの子あり

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