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鬼事  作者: 水蓮
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走れ

壁ができた部屋からだいぶ離れたが、今まで通ってきた部屋もこれから通る部屋からも笑い声が聞こえる。

笑い声はどんどん大きくなっていて、頭が痛くなってくる。

ふと、笑い声で聞こえにくいが何か話している声が聞こえた。

何処から聞こえるのか周りを見渡すと、庭の花に顔があることに気がついた。

色んな花が話しているが、会話をしている訳ではなく自分が話したいことを話しているようだった。

何を喋っているのか耳を近づけると、

「あの子走んない。」「壁が来る。」「笑い声うるさーい。」「走れ♪走れ♪」「急げー急げー。」「アイツらも潰してよー。」

等と言っていた。

…壁が来る?潰して?

そう疑問に思った瞬間、後ろから地響きが聞こえた。

振り返ると壁がこちらに動き始めていた。

壁が動いた付近の部屋から人形たちの悲鳴が聞こえてきた。

間に合わなかったら自分が潰される。

私は走り始めた。

壁はどんどんスピードを上げて迫ってくる。

廊下の突き当たりに門が見える、やっぱりあそこまで行けばここは抜けられるようだ。

廊下の突き当たりまではあと10部屋程、ギリギリ間に合うかと言ったところだ。

あともう少し、門が勝手に開いた。

壁はもう腕を伸ばしたら触れる距離ほどに迫っていた。

ギリギリで門を抜けられた、何とか間に合ったようだ。

後ろでは轟音を立てながら壁がぶつかっていた。

「「「「「「「「「「「…もう少しで一緒になれたのに。」」」」」」」」」」」

そんな声がしながら門が閉まっていった。

あの壁に潰されていたら、私は取り込まれてしまっていたようだ。

もしかしてあそこの花や人形たちは私たちのようにいつの間にかここに来ていた人たちだったのかもしれない。

…本当にここはなんなのだろうか。

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