広場にて…続き
それまで黙っていた緑のインナーカラーの少女が言いづらそうに問いかけた。
「みんな門の外にいるときここに来た記憶がないって話してたじゃない?私は来た記憶もなんだけど、自分の名前が思い出せないの…。何か手掛かりがないかポッケを探してみたけど、何も入っていないの…。」
聞いた瞬間とても驚いた。
言われてみれば確かに自分の名前が分からないし、手掛かりになるようなものも何も無い。
「どうして、今まで疑問に思わなかったんだ…」
赤いメッシュの少年が呆然と呟いた。
「私たち元の生活に戻れるよね…?」
緑のインナーカラーの少女が泣きそうに言った。
その問いには誰も答えられず沈黙が落ちた。
しばらく後、青いピアスの少年が言った。
「どうなるか分からない。そもそもここでの生き残り方も終わりも分からないんだ。分かっているのはあの怪物たちに捕まったらゲームオーバーだって言うことだけだ。生き残っていれば元の生活に戻れるって信じて行動するだけだ。」
私たちも同意するように頷いた。
緑のインナーカラーの少女も泣きそうになったまま頷いた。
「多分まだ時間は大丈夫だよね?もうちょっと休憩したら進もっか。」
私はみんなにそう言った。
自分の名前も分からない、ここに来た記憶もない。
分からないことばかりで不安しかないけれど、この5人なら生き残れるんじゃないか。
そんな気がしていた。