始まり
『____________。』
何かの音がしたような気がしてふと周りを見渡すと見た事のないところにいた。
寂れた墓地のようだ。
周りには同じように自体が把握出来ていない同じ年頃と思われる少年少女がいた。
「ねぇ、ここって___」
1人の少女が周りにそう話しかけた時だった。
ぎゃあああああああああ
離れたところから悲鳴が聞こえた。
声の方を見るとトラック程ありそうな蜘蛛のようなものが見えた。
「く、食われてる…!」
その声を聞いてわけも分からず逃げようとみんな動き始め、私も逃げようと後ろを振り返った。
しかし、その時ドスンッと何か重い物が落ちてきた音が複数聞こえてきた。
落ちてきたのは、蜘蛛のようなものだった。
それは身体は確かに蜘蛛であったが、顔の部分はライオンの顔をしていた。
周りは当然パニックになった。
我先にと逃げ出し進行方向にいる邪魔なものは突き飛ばし、突き飛ばされたものは転び、
転んだ所を逃げようとしているものから踏まれ、蹴り飛ばされ動けなくなったところを、
蜘蛛に捕まって捕食されていった。
幸い私は押されても転ぶことはなく無事に逃げることが出来た。
しばらく走ったあと、蜘蛛は他の人を追いかけて行ったことに気づき周りを見る余裕が出来た。
見渡す限りには建物や森などはなく、50m感覚で墓石がありその間には枯れた植木が生えていた。
今いる墓地参道の隣には枯れた植木の間を通る必要があり、実際何人かは間を通って別方向に進んでいった。
この墓地がどこまで広いのかは分からないが、あの蜘蛛に捕まらないようひとまず進むしかなさそうだ。
周りを警戒しながら頭にあったのは、何故自分はこんな所にいるのだろうということだった。
学校が終わり何処にも寄らずに家に帰ったような気がするが、記憶が曖昧だ。
他の人はここにいる理由が分かっているのかと、聞こうと口を開けた時前の方を進んでいた人達が
「このまま進んだら建物があるらしいぞ!」と教えてくれた。
私がいた所からはまだ建物が見えなかったが、建物があるということは誰かいるのかもしれないと周りからもほっとした雰囲気が漂っていた。