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第四乳 修行するっつったって

「真蓮流、奥義!百王拳!!」

 ぶるるるるるるっるうるるるうるうるるるるるっるるるぶるぶるうるぶるるぶる!ぶるるぶるぶるんぶるん!ぶるるー!ぶるるうん!ぶるぶる!


 "横乳"の名は、カーチェ。どこぞの高名な武道家の弟子で、僅か五歳で流派の技を全てマスターしたという天才らしい。そのぶん性格も苛烈で男勝り。その自信が詰まったおっぱいも常勝を誇るように、どっしりと構えている。鍛えられた筋肉に支えられ、ちょっとやそっとじゃ揺るがないつもりらしいが、やはりそこはおっぱい。激しい動きには抗えず、どうしても揺れちゃうっ……というところが良い。


 彼女が最も得意とするのは、どうやら今、オークか何か?の影に叩き込んでいるらしい、連続で拳を繰り出す必殺技だ。


 蹴り技も多彩しいが、それは観えないのでどうでもいいです。

 きっとすごくパンチラとかしてんでしょどうせ。興味ないね。


 その奥義は、あまりの高速で拳が見えなくなるのが自慢だと彼女は言う。しかしこちとら、初めっから観えてない。しかしおっぱいは、そうはいかない。連続で突かれる拳に連動して小刻みに震える横乳を、この俺の目はしっかりと捉えているのだ。



「カーチェ、どいてっ!」

「精霊さん、力を貸したまえっ……グラウンドファイアーっ!」

 きゅううん、ちらっ……ちらっ……ふるっ……ふごおおおお!!

 

 一方、すでにボコボコになってふらついているらしいオークか何か?の影を凄まじい火焔で焼き尽くしたのは、魔法使い”乳チラ”アオイ。


 複雑に入り組んだ黒布に様々な刺繍を施された黒いローブを纏う彼女が、(恐らくは)杖をぐるぐる回すたびに、衣の隙間からチラッチラ見える禁断の領域から目が離せない。あ!見えちゃう!危ない!と思ったら、眩い炎の灯りで丁度真っ黒な影になって見えない。ちくしょう。いい仕事しやがるぜ……!


 余談だけど、この二人はデキてるらしい。


 想像してみた。お互いを求めあう二つのおっぱいが重なって、押し付け合うように重なって、潰れて、絡み合って、溺れて……うん、悪くはない。けど俺にはちょっとカロリーが高すぎるかな。からあげにマヨネーズをかけるようなものだ。好きな人は好きなんだろうけど俺の好みじゃない。でもチキン南蛮は好きだよ。しかしあれは最初からソースありきだからちょっと話が違う――。


 

 ――現状の説明がまだだった。


 魔王討伐を掲げ街を旅立った俺達は今、ごつごつとした岩が連なる荒涼とした山道を進んでいる。バカ正直に真正面から進んで魔王の護衛軍の陣を中央突破するなんてのは流石に無謀だ。迂回して直接魔王の城に乗り込むルートはこの岩山だけ。勿論、馬車は乗り捨て、不安定な山道でランダムに揺れるおっぱいを楽しみつつ歩いていたのだが。


 この岩山を根城にするオークか何かに見付かったものの、カーチェとアオイが早速活躍して、さっさと片付けてくれた。


 勿論、我らがトルテちゃんもだ。


「ふうっ、ふう、はぁ、はぁっ……」

 くんっ、くんっ、くくんっ……。

 

 荒い息と共に上下する形のいいおっぱいが、艶めかしく蠢いている。汗をかいたのだろうか。ぴっちり具合が増しているような……そのせいで、膨らみの先端に、ほんのちょっぴり、ぷっくりした乳先が強調されている。しかし、そんないやらさしさを凌駕する程に、その弾みは健康的で爽やかだ。それはまるで一流スポーツ選手が素晴らしい試合を終えた時みたいな達成感を分け与えてくれるよう。



 三人三組のおっぱいの活躍は、現時点でも充分に褒め称えたい。

 だが、まだ理想ではない。この旅は、究極のおっぱいを求める旅なのだ。

 俺自身のオンリーワンを見つけるための!


 佇むおっぱい。

 揺れるおっぱい。

 躍動するおっぱい。

 喜怒哀楽おっぱい。

 森羅万象おっぱい。


 あらゆるおっぱいを探求し、目撃し、それを記憶に焼き付けていくのだ。

 


「カーチェ。途中で明らかに息切れして体幹が揺らぐ瞬間がある。正直百も要らないから五十程度にして体力の消耗を抑えた方がいい」

「えー。百だから格好いいのに。五十王!じゃ締まらないでしょ」

「ふむ、五十嵐いがらし拳乱けんらんという名前はどうだろう?」

 ―—格ゲーキャラの技のパクリだ。

「おっ、それいいじゃん!頂き。さっすが予言の導師。センスあるう」

 センスあるのはゲーム会社の人です。



「アオイ。君のローブはもうちょっと隙間を作った方がいい」

「えっ?」

「精霊の力を借りてるんだろ?それなら大気中に満ちる精霊の力を効率よく吸収するために、ローブは少し邪魔かもしれない。スリットか、切れ目を入れて、肌に触れる精霊力を多くすれば、もっと強力な魔法が使えると思う」

 そうすればもっと、パイチラ度が増す。げへへ。

「は、はいっ……!」

 

 しかし彼女たちは素直というか愚直というか。こちらの言う事はなんでもかんでも聞いてくれる。俺にとっては都合が良い事ばかりでも、ちょっと不安になってきた。



 

 更に岩山を昇ると、見るからに奥深そうな洞穴が俺達の前に現れた。


「……この穴は地下に続いています。魔王の城は地底にあるのです。そしてこの中には、強力なモンスターが沢山潜んでいる。今まで中に進み入り、生きて帰ってきたものはいない……」


 トルテちゃんのおっぱいが、きりりと。しかし微かに不安そうにぷるりと。


「でも、きっと大丈夫。私たちには導師さまが居るから……!」


 うん、頑張って。俺はおっぱいを見るのを頑張る。

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