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決裁

謁見の間には、呆れと失笑の雰囲気が漂っている。


それにも気づかずアロンは尚も弁解を続ける

「リリアは清らかな心を持ちとても聡明です。いつも私を気遣ってくれます。そんな彼女が私に嘘などつく訳がないではありませんか?」


「ほう? そんなに素晴らしい女性なのに、なぜ学園に通う生徒たちから、彼女を擁護するような証言が出てこないのかな?、ロザリア嬢に対しては数えられないくらいあるのだが…

レオン説明してやれ」



「はい。先程ボルドー公爵令嬢から言葉使い等で注意をうけたとありましたが、エルガー子爵令嬢はいきなりボルドー公爵令嬢の前に立ちふさがり、まくし立てるように話し出した所をまわりにいた令嬢に注意を受けたそうです。

その時の内容として、いきなり面識のないボルドー公爵令嬢をロザリア様と名前呼びしたので、他の令嬢が驚いて止めたとの事です。

ボルドー公爵令嬢本人も「ロザリアと名前で呼ぶ許可は親しい友人にのみ許しているので、やめてほしい」と言われたそうですがそれを聞いたエルガー子爵令嬢が私を虐めるのかと泣き出し走り去った。

これが事実ですね。

周りにいた十数名の生徒があきれ果てていたと聞いています」


またどこからともなくため息と失笑が聞こえてくる。


「それから、噴水に落ちた件ですが、これも噴水の縁に座っていたエルガー子爵令嬢が飛んできた虫に驚き自ら落ちたのをたまたま通りかかったボルドー公爵令嬢たちを見て、ロザリア様ひどいと言ってわめき出したと、近くにいた学園の護衛騎士から報告が上がっています。

その他にも見ていた生徒からも聞き取りはしています。それから…」


陛下が手をあげて止める。

「もうよい!これを聞いてもまだロザリア嬢が悪いというのか?」


「それは公爵令嬢の力を使ったロザリアが嘘の証言をさせているのです。」


「何を言っても無駄か… ここまで愚かだとは。」

何度目かの大きなため息を吐かれる陛下。


「リリア嬢が嘘を言った言わない、虐められた等はもういい。

問題はお前のロザリア嬢に対しての行いだ。

仮にリリア嬢の件があったとして、お前が婚約者を蔑ろにしていい事にはならぬ」


「お前がロザリア嬢に対してこの2年間贈り物もせずドレスも贈らず、エスコートさえしない。

にもかかわらず、反対にロザリア嬢に金品の要求をする。どう考えてもまともな婚約関係には思えんのだが?」


「えっと、それは…」


「そもそもこの婚約はお前の母が是非にとボルドー公爵に無理を言ったものだ。

にもかかわらずあまりに誠意のない態度ではないか、お前は王家の信頼を失墜させたいのか?」


「アロン、あなた私にロザリア嬢に贈りたいからドレス代を出してくれと言ってきましたよね?」


「ああ、クラウディア様 それはリリア嬢に贈られたらしいです。城下の服飾商会から連絡を受けています。」レオン殿下が説明する。


さすがのクラウディア妃も唖然としている。


「それから、西区の外れに貴族御用達の会員制の逢い引き宿があるんですが…」


みんながぎょっとする。まさかそこまで堕ちていたのかと。


「アロンとリリア嬢が何度か通うのを確認しています。ここは口が固いことで有名でそのため貴族が利用するらしいのです。

アロンもばれないと安心してたんでしょうが、まさか王家の馬車で乗り付けるとは…」

レオン殿下が残念そうに言います。


「馬車の御者に確認済みです。宿屋が口を割らなくても、さすがに王家に仕えるものが嘘はつけませんからね」


「婚約者に、対して1番失礼で最低な愚行だな」

陛下が今日1番の厳しい目を向けます。


「よもや婚約解消に異議などあるまい?」

「本来なら、公爵から破棄を言われお前は慰謝料、迷惑料を払わねばならぬ所なのだぞ!

それも分かっておるのか?」


さすがのアロンも膝をつき俯いています。


「ここまで愚行をしたお前をこのまま王家に置くことは叶わぬ」


「え?」

アロンは驚いて顔をあげた。


厳しい顔の陛下と目が合う。殺気すら感じそうな顔を見て、初めて自分のしてきた事の重大さに思い至る。


「アロンお前を、除籍処分とする」


「なっ! 父上お待ち下さい。私の話を」


「もういい、お前の思い込みにまみれた妄想話も自分の非を認めぬ言い訳も聞き飽きた」


「平民として城下に、いてもまた問題を起こしそうだから、北の辺境領へ預ける。サガン辺境伯爵にはもう話をつけてある。3日以内に荷物をまとめてサガン領に、向かえ!」


アロン元殿下はもう何も言えずに、震えています。

そこへ護衛騎士たちが動き、謁見の間をあとにしました。

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