アロン殿下
そもそも私の婚約は王家からのお願いでした。
私は公爵家の1人娘です。
いずれ婿を娶って、公爵家を継がなければいけません。
王家としては即位する第1王子以外の王子の将来を心配した結果なのでしょう。
父のボルドー公爵は王家からの婚約話にあまり乗り気ではなく、せめて第2王子のレオン様をとお願いしていたのですが、アロンの母である側妃様がゴリ押しをしてきたのです。
うちは、パルフィート国の五大公爵家の内でも一番の優良物件です。領地も大きいし、事業も成功して財産も多いのです。
側妃さまはボルドー家を狙っていたようですね。
でも、優良物件なだけに、これを維持するには領地経営も手腕を問われます。
私1人では大変だし、夫の力はとても重要なのです。
だからこそ、アホな王子なんてお断りだったのに…
側妃のクラウディア様はアロン様を溺愛して、甘やかしてます。
あんなオレ様高慢ちきの勘違い男に育ったのも、クラウディア様の所為であることは否めません。
学園でも成績はワースト10に入る程バカだし、腕っぷしも全然ダメで剣の扱いも下手。
せめて性格ぐらいと思ったら、もっと最低だった。
兎に角怠け者の上に何でも人任せで、他人の手柄は自分のもの。自分の非は他人の所為。というゲスヤロー
何の役にもたたないグズと結婚させられる私の身にもなってほしい。
その上私に対しても、このオレ様の婚約者にしてやっているんだと言いながら、雑用や面倒事を押し付けてきます。
私は何も出来ないグズと違って忙しいのですよ。
ホントに勘弁してほしいです。
絶対に婚約は解消してもらわなければ…と思えど、いい案は浮かばず、ずっと光明を見出だせずに悶々と
婚約が決まってからのこの2年我慢してきました。
それが数ヶ月前のある日、どこからともなくあの子爵令嬢が現れて、あのオレ様暴君のアロン様を手玉に取り出した時には、拍手喝采でしたよ。
ただ頭の弱い2人ですから、お互いの事を隠す素振りも見せず、アロン様に至っては私にデート代をたかる始末。
普通婚約者に浮気相手とのデート代出させます?
アロン様がそんな風に私を軽視するから、リリア様まで調子に乗って、何かと突っ掛かってきたりして面倒がふえました。
まあ、お陰で2人の逢い引きの証拠はいっぱい集めさせてもらいましたし、リリア様の下手くそな私への嫌がらせもしっかり証人を集めさせてもらいました。
そろそろ王家に直談判しようかな~と思っていた時にレオン様が教えてくれたのです。
アロン様が婚約破棄しようとしてるって。