それから
ボルドー公爵領・・・
「おかあしゃま、おはな」
「まあ、シャルロットお母様にくれるの?」
「そうよ、きれいでしょ?」
「ええ、とてもきれいね」
ボルドー領にある本宅で私は娘のシャルロットと庭を散歩中だ。
そろそろ夫が息子を連れて、帰って来るころかしら?
「ロザリア、ただいま」
「母上、ただいま」
「レオ、お帰りなさい、マークお魚釣れた?」
息子のマークがバケツを持って走ってきた。
「すごいよ、見て見て」
「まあ、本当だわ、すごいわね」
「にぃしゃま、おととすごいわね」
マークは7歳シャルロットは3歳になる
私とレオン殿下が結婚して早10年目になろうとしていた。
まだまだお父様は元気に王都でバリバリ働いている事もあり、私たちは領地経営に勤しんでいる。
何でも2人で相談して2人で決めてきた。
ボルドー領はさらに豊かになり、以前よりももっといい領になっている。
その間に2人の子供にも恵まれた。
お父様は2人に会いたくて、用事を作ってはボルドー領に帰ってくる。
お母様にいたっては、社交シーズン以外は領地に留まっている。
2人のじじバカとばばバカぶりは凄まじい。
特にシャルロットがしゃべれるようになってからは、もうメロメロだ。
レオンはとてもいい旦那さまだ。
いつも私を一番に考えて、影になり日向になり私を支え続けてくれる。
今、思えばあの時アロン殿下が婚約破棄を言い出してくれたから、私たちの行動を後押しする結果となったのよね。
そう思うとムカつく、くそ王子だったけど、感謝したくなる。
風の噂でアロン様は辺境伯領で今でも騎士として頑張っていると聞いた。
あのぐうたら王子が信じられないけど、本当らしい。
リリア様も元気に娼館で下働きとして働いているという。
2人ともたくましいな。
「ロザリア? どうしたんだい?」
「何でもないの、ちょっと昔の事を思い出しただけ」
「昔… そうだ、明日義父上がこっちへ帰ってくるって、
いい機会だから義母上と2人にマークたちを預けて遠乗りに行かないかい?」
遠乗り…レオンにプロポーズされたのも、アロンの企みを聞いたのも、2人で婚約解消の計画を立てたのもみんな2人で遠乗りに行った先での思い出だわ。
私たちに出会うきっかけをくれてたレオンの愛馬ノアはもう寿命をまっとうしてしまった。
今はノアの子供たちが私たちのまわりにいてくれる。
「そうね、久しぶりにレオンと2人っきりで行きたいわ」
そう言って笑うと
レオンは私を見つめながら、手をとった。
「君はかわらず僕を夢中にさせるね。
僕は君の笑顔を見るために生きてるようだよ」
「ふふふ、じゃあ私はずーっと笑顔でいようかな」
「ああ、君の笑顔が大好きだよ。もちろんマークとシャルロットもね」
笑顔でいられる今と言う人生に感謝しよう。
アロンが婚約者になってしまった時の絶望から、あきらめずに自分から未来を掴みとり、それを支えてくれたレオンと歩む私の人生はきっと最後まで最高なはず…
笑顔でいつまでも…
END
最後まで、お読み頂きありがとうございました。