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卒業パーティー(2)

「では、どうするのですか?」

私は気を取り直して口を開いた。


「決まっている!」アロン殿下は私を睨み

叫ぶ。


「ロザリア・ボルドー貴様との婚約を破棄する!」



この流れでは自分が浮気してますと公言しているようなものだけど…

まあ体面とか名誉とか気にする人ではないものね。


こっちも早く終わらせたいし、いいかしらね。

扇子で隠していた口許が緩むのをどうにか引き締め。

息を整えます。


パチン


私は扇子をたたみまっすぐ前を向き、口を開きます。


「それは無理ですわ」


「なに?」


「もう破棄出来ません。」


「な、何故だ!」


「それは…」


「それは?」


「それはね。お前とロザリア嬢は一週間前に婚約解消されているからだよ。」


私の後ろから、声をかけてくれたのは…


「あ、兄上!」

アロン様が目を見開き、固まってます。


そう、この事実を話したのは、第2王子のレオン殿下です。


レオン殿下は私に微笑みながら、頷く。


「レオン殿下の言う通り。

私たちはもう婚約者ではありませんわ。よって破棄もむりですのよ。」


「もう婚約者ではない…?」


「はい」


「破棄は無理」


「はい。もう解消は済んでますし、国王陛下からもご挨拶いただきました。」



「オレは…聞いてない…」


お望み通りに婚約はなくなったというのに、なぜそんなに困惑しているのかしら?


ちょっとだけアロン様の描いていた結果とは違ったからかしら?



「お前にも、ちゃんと知らせてあるだろ?

ああ、数日前に全ての手続きがすんだから、昨日辺り通知が届いていないかい?」


「通知?パーティーに来る前に執事が執拗に手紙を開けと言っていたが、あれの事か?」


「ちゃんとパーティー前に届いているじゃないか?

至急読むように言われていたはずだ。

なぜ見なかった?」


「そ、それは…」

ますます訳が分からなくなってますね~。

アロン様は想定外なハプニングに弱い方ですもんね。


アロン様の事ですから、リリア様とパーティーに来る事に夢中で執事の言うことなど、聞いてなかったのでしょうね。


まあ、こちらには情報は入っていたんですよ。

アロン様が通知を読んでないことも、パーティーで婚約破棄すると息巻いていたことも。


なのでこうしてレオン殿下がお見えになってるんですけどね。


私たちからすれば、想定内ですのよ。



「まあ、知っていたとしても婚約解消はすでに済んでたわけだから、結果は変わらないが…

少なくともこんなに大勢の前でお前の間抜けを証明しなくて済んだのに残念だったな」


レオン殿下は本当に悔やまれている…ように、、み、えま、、せんよ。

もう笑ってしまってるじゃありませんか。


釣られて私まで笑いそうです。


扇子を広げてゆるみそうな口許をかくします。



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