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リリアその後(3)

一週間たった。


やったこともない、湯を沸かす事が私の仕事だった。


ここはいろいろいろ普通の屋敷と違った。


邸にはとても大きなお風呂がある。部屋の中なのにポンプ式の井戸がおいてありその横に浴槽がある、そのポンプで大きな浴槽に水をたっぷり入れて、風呂部屋の外から薪をくべて火をおこすとお風呂を沸かす事が出来た。


普通は部屋に専用の小部屋があるそこに浴槽を置いてお湯を運ぶものだと思ってた。私の家もそうだったし。


部屋にお風呂もあるけど、そこにお湯を運ぶのは午後から夕方だ。


私は朝早くにこのポンプを圧して浴槽に水を満たす。

水汲みよりはるかに楽だけど、浴槽がバカみたいに大きいから、いくら圧しても終わらない。

毎日2時間以上かかる。


その後外へ回って3ヶ所並んでる釜に薪をくべていく。その後1ヶ所ずつ火をおこす。


これもここへ来て初めてやらされた。


でも、なぜか礼節やドレスのさばき方より難なく出来るようになった。

私にこんな才能があったなんて、びっくりだった。


一応私の家も子爵だから、召使いも何人もいた。

身の回りの事も自分でやった事なんてなかったし。


でも、ここでは誰も私に手を掛けてくれない。

手を掛けて着飾ってもらえるのは、大勢いる別の女たちだった。


ここの女主人は名前をアンネと言った。彼女は私がここにいる平民の女より、劣ると言った。

なんで、貴族令嬢の私より平民のが優れているのよ!

私は怒って抗議したが、アンネは何も言わず3人の女を連れて来た。


これが平民なの?

上級貴族のようなとても高級なドレスを着て、眩しいような宝石を身に着けて、優雅に微笑んでいる3人のこの女が本当に平民?


学園のパーティーでは年頃の本物の令嬢が大勢いる。でも、この3人に勝てる程の令嬢は数人いるかいないか… かもしれない。

悔しいけど、ロザリア様なら勝てるかも。


それほどに、美しくそして気品があるように見えた。


「あなたは彼女たちに勝っていると思う?」


悔しいけど、何も言い返せなかった。

なによ! 私だってもっともっと着飾れれば、あの人たちと同じ位になれるのに!

本当にに? そうだろうか?

私は生まれて初めて自分の事を客観的に考えた。


そしてロザリア様の事を思い出してみた。

いつも自分のことを優位だと信じて疑わなかった私だったけど…

今の私は彼女たちに勝てないと思う。

でも、ロザリア様なら対等に、いやそれ以上に振る舞えるだろう。

なぜかそれは疑いようのない事実のように思った。



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