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アロンその後

もう5日も馬車に揺られて、いい加減腰も、背中もギシギシいってる。

でも、体よりもオレの心が声を上げている。

なぜ?なぜこんな事になってしまったんだ?

オレはただ、真実の愛を貫こうとしただけだ!

生意気な婚約者に自分の立場を分からせてやろうとしただけだ!


なのに、なぜ?

なぜオレは王子でなくなった?なぜ平民になった?

オレはただ、愛する人にドレスを贈っただけだ!

お互いに好きあっている恋人同士が一緒にいただけで、何で愚行だと蔑まれなければいけないのだ!


もともとお高くとまって、いつもすましているロザリアなんかを婚約者などにした母上が悪いのだ!

私はそんなもの頼んでなんていない!


だいたい公爵家にいくら金があろうが、地位が高かろうが知ったことか!

あいつらは王子のオレに尽くすのは当たり前だ。

何が「殿下、王族として他のお手本となって下さい」だ!なんで、下のものの為にオレが努力などする必要がある?

オレの為に周りが頑張るものだろうが!


悶々とするなか、馬車は、辺境伯領へ到着した。


要塞のような武骨な伯爵の居城で馬車を降りると、

ウォルター伯爵が立っていた。

「ようこそ、わが辺境伯領へ」


「ああ、よろしく頼む」オレの憮然とした態度に伯爵は何の感情も読み取れない顔で言う。


「最初に言っておきましょうか、あなたはもう王子ではない。

ここではいち騎士団員として扱います。

陛下より絶対に特別扱いをするなと言われていますしね。」

そう言って辺境伯は私を見る。

そう、ただ見られただけなのに、なぜか背中に悪寒が走った。

後で知ったが、これが威圧と言うものらしい。


「第一騎士団副団長、こやつを案内してやれ!」


「は!」

熊のような大男が足早に近づいてくる。


「こっちだ!ついて来い!」

大声で言われて、ビックリする。

何て声だ!

「ちょっとまて!オレを置いてくな!

おい!聞いてるのか、それに、こんな近くで何て大声を出すんだ!」

大男はどんどん早足で歩いていく、殆んど走ってついていった。

「おい!まってくれ」


「はあー、まったくどうなるやら。」

後ろでウォルター伯爵が頭を抱えている

「陛下も面倒を押し付けやがって。」

いくら平民となっても、元は王族だ。

扱いには皆戸惑う。


それに、あんなにへなちょこで使い物になるわけがない。聞くところによれば、剣術も全くダメらしい。

間違って死なれてはかなわない。

後で文句を言われでもしたら、たまらない。


早めに陛下に一筆書いて、確約をもらわないとな、

あのもと王子が逃げ出したり、間違って死ぬまえに。



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