リリア嬢の行く末
「それから、あのリリアとか言う子爵令嬢には驚かされた。同じ国の同じ貴族として育ったとは到底信じられん。」
お父様はため息をつかれて、お酒を煽ります。
「それは、同意致します。あの方は全く話が通じない方ですから…
たまに私は考えていることと声に出した事が違っていたのか?と思いたくなる程話を湾曲されてしまいます。」
「いつもご自分に都合の言いように解釈なさって、よく殿下とは会話が成り立つなと感心しておりました。
まあ、お互いの話は聞いてなかったのかも知れませんが、お二人ともご自分が良ければそれでいい方ですから。」
「ああ、分かる気がするな。」
「陛下も呆れてしまってな、このような自分本位な考え方を子爵家では教えるのか?と問いただしていたよ」
まあ、そうなりますよね。国王陛下の前でもいつものリリア様だったとすれば、ある意味すごいです。
「エルガー子爵は青くなったり、赤くなったり、ちょっと気の毒な位だったが、自分の娘を野放しにし過ぎた罪はどうしようもない」
「リリアと言う令嬢は修道院にでも入れられるのですか?」お母様が聞きます。
「いや、それがな娼館に売られる事となった」
「え?」「はい?」
私とお母様はお互いに変な声をあげてしまいました。
「エルガー子爵にはロザリアが出した報告書の内容そのままを送ってあったらしい。公爵令嬢相手にとんでもないことをした。お詫びのしようもないと土下座されてな」
「自分は爵位を返上するつもりだし、公爵家への慰謝料も払いたい。
だが自分がお金を作りうちに払って、娘を修道院に入れても娘は改心するとも思えない、自分の仕出かした罪をちゃんと分からせたいから、娘本人に慰謝料を払わせると言い出したんだ。」
確かに、それは一理ありますね。
なんでも、貴族令嬢のような娼婦を売りにする専門の店があるらしく、そこへ売りに行き、そのお金に領地の一部を売ったお金を足して慰謝料にしたいと書類を作成してきたそうです。
そしてエルガー子爵の爵位返上は陛下が思いとどまらせて、男爵へ降位することで、決着がついたようです。
「でも、そんな貴族として自覚のなかった方が貴族令嬢の振る舞いが出来るのかしら?
そういった高級娼館を甘く見ていませんこと?」
とお母様が懸念を口にしました。
そしてお母様の言う通りでした。
子爵は少しでも高い金額でリリア様を売りたかったのかも知れませんが、リリア様は貴族令嬢であって貴族令嬢でないような方ですから、娼館では、客を取る娼婦としては使い物にならないと言われて、下働きの人間として、引き取られたそうです。
やっぱりどこまでも、残念なリリア様ですわ




