第八話「無実の証明」
第八話「無実の証明」
俺は休憩をやめて再びサッカーボールの片付けと、ボール磨きをしていた。
その時だった。「雨宮!!」誰かが俺の名前を呼んだ
振り返ると木下先輩だった。
「ごめんな、俺、今日生徒会の会議があって、部活に出れなかったんだ」
「ん?お前一人だけか?まだやってるのか?」
木下先輩は俺の横にあるボールがたくさん入った籠の山を指さした・・。
「すまない、雨宮、お前には迷惑ばかりかけて」
「俺も手伝うよ」そう言って荷物を床に置きボールと雑巾を手に
ボールを拭き始めた先輩。
暫くしてからふいに木下先輩はこう言った
「俺はお前を信じてるからな、だから俺がお前の無実を証明してみせるぞ」
その夜俺は夕方、木下先輩が言った言葉を思い出していた・・。
[俺がお前の無実を証明してみせるから]
木下先輩の言葉に戸惑いながらも嬉しさが込み上げてきた・・。
林先輩の事をあの事実を追及したとき、木下先輩は悲しそうな顔をした。
俺が「罪をかぶる必要なんかない」と言ったからだ。
実際そんな必要はないと思った俺は木下先輩にみんなに本当の事を
言って木下先輩の部長の復帰を提案したが先輩は何も言わなかった・・。
何で言わないのか、何故そこまでして林先輩を庇うのか俺は分からなかった
だけど、一つだけ分かる。今回の窃盗事件で木下先輩は俺を信じてくれている・・
そのことが凄く嬉しかった。帰るときに「本当に何もしてないなら
何を言われても堂々としていろ」と言われたのが印象に残った・・。
そう、俺は本当に何もしてない・・だから堂々としていよう
そう思った・・。やっぱり木下先輩は俺にとって憧れで尊敬出来る
先輩だった・・・。
けれど木下先輩はどうやって俺の無実を証明するつもりなんだろう?
そう俺は思った
つづく




