第三十三話「林と不良との出会い」
第三十三話「林と不良との出会い」
木下先輩は俺を見ながら話しの続きをした。
「多分、今回の事もすべては一年前に起きた暴力事件と合宿事件がサッカー部の
印象を悪くして教員から問題の多い部活だと思われた一番の要因なんだと思う
だから部員も少ない上、問題が多い、廃部になるのも無理ないのかもしれない・・
その元々の原因は林だが俺にも責任があったと思う
アイツをここまで追い詰めてしまったのは俺だから。
木下先輩の何時になく深刻な表情
重苦しい空気の中俺の心も苦しくなった
「先輩・・これからどうするんですか?」
俺は口を開いた
「アイツを説得するしかないよ。林はもとはいい奴なんだ
俺の実の弟だからな、さっきの会話で言ったけど俺達が昔した約束
一緒に将来プロのサッカー選手になるって・・」
アイツは昔身体が弱くて病院に通っていたくらいなんだぜ」
「嘘だあ~、本当ですか??」俺は思わず驚いて聞いてしまった。
それもそのはず、林先輩も運動系で体育では常にリーダー的な
存在だった。長距離や短距離でも足はそれなりに早かった
なんでもテキパキとしていた、部活でのプレーも綺麗に決まっていて
とても病人には見えなかった。
「ああ、でも今はもう大丈夫みたいだから正直安心した」
木下先輩は少し微笑んだ・・。
「サッカー部を廃部に追い込んだ根本は一年前の事件なんだと思う
一年前に起きた・・いや、正確には俺が起こした事件・・
一年前さっきの話にもあったけど林と同じ施設の不良が部室に
入ってきたんだ・・あの時初めて弟の洋平(林)がうちの学校に
転校していた事実、昔の洋平の事とかを聞いた。俺と離れからの弟に起きた悲劇を
その不良から聞かされたよ。アイツは施設でも実の母親にも言えない
孤独や辛さとかを全部そいつに話していたらしい。
施設にも悪はいたけどその不良は最初は町でのキャッチをしていて
洋平にいい金儲けがあるといい誘っていたけど
そのうちこいつは使えると思ったんだろう
それからよく施設の方にも顔をみせるようになりつるむようになった・・
母親からの虐待を受けてその母親がある中毒で病死してから
施設に入ったアイツは毎日ただ何もせずにいたそうだ
何をするでもなくただうつろな表情でいたそうだ。
生きる気力もないような状態・・そのアイツに最初に声をかけたのが
不良グループのリーダーで今回金をアイツに貸した一人だったそうだ。
偶然街を歩いていたアイツに声をかけた
施設になじめずにいたアイツを誘い窃盗や恐喝を繰り返していたそうだ・・。
つづく




