第三十話「暴力事件」
第三十話「暴力事件」
「俺は施設に入ってからは母親の暴力から解放されて本当に自由だったよ
色々な今迄出来なかった事をたくさんしたよ。俺と同じく周りは、
身寄りのない奴らばかりだったからそいつらとつるんで悪さをしたな
その中でスピードしていた奴もいたな。まあ、今となってはいい思い出だが・・。
その後、金借りて逃亡した俺を追いかけて・・・
お前には仲間がそういえば去年世話になったなw
俺にとってこの18年間は本当に地獄そのものだったよ。
・・育てられた環境も何もかも違っていた・・出来の良いお兄ちゃんと違ってな」
林はそれだけ言うと何も言わず暫く黙ったままだった。
それでも、目だけはしっかりと木下を見据えていた。
でもその木下を見据える瞳の奥は悲しそうな寂しげな何かを訴えているようにも
思えた。
「あの暴力事件か・・」木下がやっと口を開いた。
木下の声の語尾が震えていたのが湊にも分かった。
「そうさ、あの事件の事だよ。幸い俺はあの時、不登校でその場にいなかったけど
次の日、学校に行ってみてお前のおかげで面白いものが見れたよ。校内新聞でな(笑)」
「二年B組木下大地君、部室で他の学生と乱闘!!!だっけ?(笑)
随分と派手にやったそうじゃないか?
学校新聞にバッチリ写っていたぜ。金属バッドを取り合いしてるお前の姿がな・・
それでそのバッドで殴り合いして相手に怪我させたんだろ?お前もよくやるよな(笑)
写真を目にして最初驚いたよ。なにせ、もう一人は俺の仲間だった奴だったからさ
俺がお金を借りた元施設の不良仲間君じゃん?とか思ってさ。
まさか、学校を突きとめて追いかけてくるとは思わなかったけど・・
お金の力ってすごいよな~。」
林の顔からはさっきの悲しそうな瞳はなくなっていた。
「・・・・あれはあいつが振り回していたから危ないから取り上げようと
したんだ・・。そしたらはずみで・・・」木下は次の言葉を飲み込んだ・・・・
「はずみであんな大怪我になるかよ。最初からやっちまうつもりだったんじゃねーの?
最もお前にそんな度胸はねえか・・」林は冷たく木下に言い放った。
つづく




