第十八話「窃盗事件」
第十八話「窃盗事件」
「なんなんだね!この放送は!」
「生徒会役員は誰だ!!今すぐこの放送をやめさせろ」教師のそんな声が鳴り響いていた
そんな中もっとも驚いてるのは教師たちでも、生徒たちでも湊でもなかった
缶コーヒーを片手に持ち、この昼休みに屋上で騒いでいた彼ら。
そう、いきなり校内放送で流れてきた自らの昨夜の晩の会話を
今また聞いている青木たちだった・・。
「ところで例のもの持ってきたか?」青木の声だった
「ああ、今の時代ネットがあれば闇ルートで簡単に手に入る、ちゃんとお金持ってきただろうな」佐々木の声だ。
「今度はもっと強力なやつだぜ」また青木の声だ。
「お前ら!何やってんだよ!」この声木下先輩か?
「やっぱりお前たちだったんだな」
「だったらどうなんだよ。先輩」青木の声だ
「俺は最初からお前たちがやったと思っていたよ
雨宮が盗みなんかするわけないからな。それにお前らが雨宮がサッカー部に
入部してきてからアイツに敵対心を持っていたことなんてお見通しだぜ
お前ら、前から思ってたけど学校では煙草は禁止だぜ?
生徒手帳よく見ろよな・・それにそれ覚せい剤だろ」木下の声だ。
誰かが叫んだ「マジかよ、アイツら・・」
放送は続いた
「お前らこんなことやっていてどうなるかわかってるか?
お前ら不良グループのことだ。他にもいろいろ悪さをしてるんだろうが
覚醒剤だけは別だよ。覚醒剤は犯罪なんだよ!!絶対やってはいけないことなんだよ」
「へえー、そういうお前はどうなんだよ!
お前こそ泥棒じゃないか。人のこと言えるのかよ つい・・この間のことだよな・・・先輩
俺達さ、まだあのこと怒ってるんだよね。
お金は返してもらえたけどさ、結局合宿には行けなくなったし
なんで木下先輩がまだここの部活にいるのか不思議だよな~
あの時は先輩がまだ部長だったんだよな。でも林先輩に今年の部長の投票率が
交代になったんだよな。そりゃ~、部活の合宿費用を失くされちゃたまったもんじゃねーよな。こっちは、高いお金払ってるのにさ、しっかりしてくれよ先輩(笑)
あのあとあんたは暫くの自宅謹慎処分だけで済んだけど、消えたお金の行方は
どこにいったんだろうな?なあ、先輩俺達あんたが盗んだとしか思えなくて
普段は優等生ぶっているあんたにも腹が立ったし
丁度、林先輩がこの学校に、転入してくれてサッカー部に入ってくれて助かったよ
あれであんたの信用は丸潰れだよな。それに去年の暴力事件の事もな。
あの事件も悲惨だったよな、あの時はまだ雨宮はいなかったけどな
あんたさ、もう部長でもなんでもないんだからほっといてくれよ
あんたに説教される言われなんてないし。っていうか俺達を責める前に
さっさと退部しろよ、目障りなんだよ!!」
「俺達さ、先輩にあとでベラベラしゃべられると困るんだよね
大体さ、覚醒剤の闇ルートを教えてくれたのは林先輩なんだよ
だから俺達だけを責めるなよ!大体自分のやった事を棚にあげてさ
後輩の説教なんて迷惑なんだよな、マジでウザい!!消えろよ!」
青木の声だ。そして・・・
「こら!お前らここで何している!」「やべー。警備員だぜ」
「うわあ、なんだこの煙は」そこでプツリと音声は終わった。
俺は今までの会話は昨日の事だと確信した・・。
―お前の無実を証明するから―
確かにその通りだった。生徒たちだけでなく、教師たちすべてにこれで
俺は無罪だと、無実だと証明されたことだろう・・
ただ、俺には胸騒ぎがしていた・・・
暴力事件って何だ?そんな事件木下先輩から聞いたことはない
でも、この放送は木下先輩が俺を救う為に勝手に流したことなんじゃないか?
でもなんで木下先輩がボイスレコーダーなんて持っていたのだろう・・・。
でもこんなに騒ぎになってしまってただで済むわけない・・・。
すでに放送室のドアの前にはたくさんの教師と生徒がいて混乱していた
―木下先輩!!!!―
キーンコーンカーンコーン
俺の耳に今、現在の記憶が蘇ってきていた・・。
つづく




