4. 猫莫迦上等!
こちらから、短歌グループに入り、機関紙に投稿し始めた歌になります。
やはり、自分の苦しみを歌の言葉で叩きつけていた感のある、1、2、3、の歌たちとは、テイストの違う歌になっています。機関紙に投稿し始めると、他の同人の方の歌にもどんどん影響を受けました。
挿絵はまさにこの短歌を詠んだ頃のものです。お絵かき掲示板とかに描いたもの。一番上のは、これで判子を作ったんです。その版下としていただいたものです。
その一.猫の来た夏
蝉時雨野良にゃんT子ゴロゴロと軒下に在る温いしあわせ
暗闇の黒いガラスが纏わせた猫の翼が見えた気がした
囃子聞く蚊取り線香煙追い足下温くS字描く猫
夜哭いて飲んで狂ってしゃがんで泣いて外猫T子、背中佇む
金色の猫の横顔のぞき見て知らぬ惑星見る水晶体
夜型の廃人さえも朝型に変えちまうとは待ち猫強し
その二.ふかふか、ふうちゃん
投げてくれ手作り玩具ぼろぼろでおまえは犬かよ、ふかふかふうちゃん
ふうちゃんの背中に変体仮名がある冥界からの贈り物だよ
目の色が琥珀色なの見とれちゃうネコバカスキーでも咬んだら咬むよ
いぢめいぢめ好きな子いじめ知らなかったよふうが来るまで
何なのさ!ふかふかふうちゃん取り柄なし白い鰻のニカニカな猫
桜咲く!可哀想だがふうちゃんは見られないのね窓から遠い
温かいただただ痛くてふわふわのガブリつくキス、ディープふかねこ
あたたかいざらざら痛くてヒリヒリでガブリつくキス、ディープエロ猫
その三.垂れ垂れは白い毛皮の猫の腹毛の枕詞ぞ
垂れ垂れのまふまふが原真白にゾにゃごにゃご山はいい匂いだな
起きろコラ!すりすりするぞ顔踏むぞ垂れ垂れが原で窒息だ
猫の腹~振り上げ見れば垂れ垂れの〜歌を詠むならオマエバカダナ
その四.三匹で生きていた
光射す今は爽やか窓の内、目元涼しや熟れ猫母子
ちゅうちゅうと柔い毛皮を抱き寄せてそのときだけは暑くはないの
副作用、己はだるくてふらふらさしかし猫ちゃん君は食うなあ
ぬくぬくの寝床で股に挟むのは生んだ覚えのない三キロの猫
芝刈りだ虫が出る前シャキシャキとしゃがんだ尻に猫くっつけて
見えないが花びらだけで桜来る拾って載せよう猫の額に
ふかふかと歌しぼり出す暇人の尻でうごめく猫うどんかな
ぽんぽんと白梅の木々咲きそろい温くなまなま猫は丸顔
あのひとの猫の息子が逝きました初夏の緑が濡れる朝です
わたくしの息子は猫と人前で言えない気持ち嫌い負け犬
降れる日に湿気ったみどり押し分けて帰っておいで猫息子たち
言ったのさ受胎告知のような日にキャットウエアを着込みなさいと