友達がほしい
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洞窟から出たパイ太郎とチチ姫は、鬱蒼とした森の中を歩いていた。
「母から教わったんだ、森を歩くときは一番でかい獣道を歩けってな。」
『なんでだ?歩きやすいからか?』
「それもあるけど、強い獣が作った獣道には中途半端な獣は近寄らないから余計な遭遇を避けれるらしいんだ、そしてデカイ獣はたいてい強い!」
『な、なるほど…でもそんな強い獣に会ったらどうするんだよ?』
「倒せばいい!そうすれば快適な森のお散歩だ!」
二人は、合理的なのかなんなのかわからない歩き方をしていたが、どっちにしろスメルのおかげで獣も魔物も寄ってこないため広さが歩きやすいかそうでないかくらいの違いしか無かった。
『な、なるほどな…?ところで俺たちは今どこへ向かっているんだ?』
「わからない!そもそも今自分がどこにいるかもわからないからな!はっはっはっはっは!」
『どうする?とりあえず街へでるか?』
「ああ…うん…そうするか…。」
『どうした?』
「いや、私には夢があってな、友達だったり、仲間が欲しいんだ。そして、一緒に旅をするのが憧れだったんだ、母の武勇伝を聞いて、ずっといつか自分も!と思っていたんだ。だけどこんな体質だ、半分諦めていたけど、パイ太郎のおかげでその夢が叶うかもしれない。そう思ったんだ!だから街へ行ってみよう。」
『そうだったのか……よし!そうしようぜ!どうやって行くかが問題だけどな!』
「獣や魔物を…手懐けられないだろうか…恐らく私の力では寄せ付けず、近づいたとしても気絶させてしまうだろう。だがパイ太郎、お前がなんとかして私の力を調節できないか…?」
『なるほど……うん、やってみよう。今はスメル解放0%だ、それを100%にするんじゃなく細かく刻む感じだな。』
パイ太郎は意識を集中させ、乳を感じた。そうすることでモチベが上がりイケそうな気がした。
『できた!スメル解放3%だ!』
「おお!!よくやった!これでなにか寄ってくるはずだ!」
チチ姫の言葉通り、獲物の臭いを察知した獣達が近づいて来た。
『チチ姫!何か近づいてる!後ろだ!』
チチ姫は振り返る、しかし後ろの茂みには何も姿も気配も無い。
「いないぞ!?」
『巧妙に隠れてる!なんか投げろ!』
「わかった!」
チチ姫は足元の石を茂みに向かって投げつけた。瞬間、己の存在が気づかれたことを察知した獣は茂みから飛び出した。
『めちゃめちゃデカいな!?狼か!?』
茂みから飛び出したのは、針金のように太く、鈍い銀色の毛を携えた狼であった。四足歩行であるにも関わらず顔の位置が人と同じ高さにあるほどの大きさで、その姿に二人は息をのんだ。
「これは…銀色の毛にこの大きさ…恐らくギンイロデカスギウルフだ!パイ太郎!10%ほど解放してみてくれ!」
『かしこまりィ!スメル10%解放!』
チチ姫の声に合わせてパイ太郎は力の解放をした。するとギンイロデカスギウルフの仕草が明らかに変わった。獲物を狩る狩人の眼と今にも飛びかからんとする姿勢から、何かを恐れ警戒するように一定の距離を取り始めた。
「よし!今だ!」
狼狽える狼に対しチチ姫は、狼の眼を真っ直ぐと睨みつけ、堂々とした足取りで一歩ずつゆっくりと狼へ近づいていった。
「狼!!!私はお前よりも強い!!!この眼を見ろぉ!!!私が上だ!!!!わかるかぁ!!!」
チチ姫は声で威圧し、眼で狼を制していた。狼の野生の本能に叩きつけられたこの威嚇により、己が目の前の小さき者に敵わないことをうっすらと感じ始めていた。そしてチチ姫はパイ太郎に小さく囁いた。
「パイ太郎、私がこのあと狼に一際大きな威嚇をする。その瞬間に30%力をまで解放してくれ。」
『了解。』
パイ太郎は小さくうなずいた。乳もちょっと揺れた。
そして、狼とチチ姫の間の、両者の緊張が最大まで高まったその瞬間。
「うぉぉぉぉおおおおおおらぁぁああぁああああ!!!!!!」
チチ姫は思い切り全身全霊の威嚇をかました。その声は森中にこだまして響いた。そして狼は突如自分に入り込んできたあまりの情報量に目を回し、視界が揺れ世界が回ったように感じた。
「クゥ〜〜〜ン」
「よし!いい子だ!!!」
狼はその一瞬で敗北を悟り敗北のポーズ、お腹を見せて敵意がないことを示すポーズをとっていた。
「毛が硬いな!チクチクする!だけどまあ乗れないことはないだろう!こいつに乗って移動したら速そうだ!いい仲間ができたな!」
野生の本能に無理矢理訴えて仲間を増やしたチチ姫は、とりあえず狼を撫で回していた。
『だけどこいつ言うこと聞くのか?そのへんの野生の狼だぜ?』
「大丈夫!行きたい方向に行かなかったらスメルを解放すればいい!そうやってしつけていけばいいのさ!この狼……うーん、名前があったほうがいいか?」
『ギンイロデカスギオオカミだから…ギンデスはどうだ?』
「ギンデス…そこからもじってギンビスとかどうだ?いい響きだろ!」
「待て、ワシはそもそもギンイロデカスギオオカミではない。」
『そうなのか?でもチチ姫はそう言ってたぞ。ん?』
「ん?」
「人間がギンイロデカスギオオカミと呼ぶのはせいぜいワシの半分くらいの大きさじゃ、しかも奴らは群れで動く。高潔なワシは一人で行動しとる。」
『へえ〜〜〜〜〜〜〜…そうなんだ………………お前喋れんの?!!!!!?!?!?』
「狼が喋ってる!!!!!!なんと!わあ!!」
「喋る獣くらい珍しくないじゃろ、それよりその破魔の加護をワシにも寄越せ、呪い臭くてかなわんわ。」
『え?これあげれんの?』
「娘がワシに触れている間は臭いを感じんかった。触っていれば恐らくワシも呪いから守って貰えるようじゃ。」
「わかった〜!!」
チチ姫は狼が喋ったことに驚いて撫で回すのを一旦やめていたが、再び撫で回し始めた。
「娘、お前のその呪いや加護をもたらす喋る武具についても色々と聞きたい、ワシに聞きたいこともあるじゃろう。落ち着いて話せるとこへ行こう。乗れ。」
『へえ〜お前の巣とか?あ!名前決める会議もしような!!』
チチ姫を乗せた狼はゆっくりと走り始めた。鬱蒼とした森の中をスムーズに走る狼、されど多少揺れる狼の上でチチが揺れていた。
パイ太郎はチチ揺れを全身で感じ、それを支えているのが自分であると再認識し、まことブラジャーである自分が誇らしくなった。
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