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出会い

 ブラジャーに圧殺されたおっぱい太郎は、暗闇の中で意識を取り戻した。そこがどこなのかもわからず、光も感じず、自分が今どのような状態にあるのかもわからなかった。


「…………」


 声を出そうと思うも声の出し方がわからない。今までどうやって出していたかも、どこから出していたかもわからなくなっていた。


 おっぱい太郎は自身の全身に感覚を集中させる。自分の体がどうなっていて、どういう形をしているのか、それを全力で感じ取ろうと試みた。


 果たしておっぱい太郎は、自分の体がどうやらブラジャーのようなモノになっていることに気づいた。


「………………!!!」


 おっぱい太郎は大きく感動した。

 これで乳を支えて生きてゆける!と。


 しかし、同時に今いるここには誰もおらず、否、何の乳も無いことにも気づき、大いに落胆した。


 おっぱい太郎はひたすら自分が乳を支える妄想をして暇を潰すことにした。







 チチスメルヤバスギ姫は、オソロシ大陸の南端で悪天候に見舞われていた。


「ウアーーーーー!!ウヒーーー!!!ッピィィィィイイイ!!!アメガァ〜〜〜〜〜!!!スゴイ!!」


 チチスメルヤバスギ姫は、あまりに誰とも接触していなかったので、奇声をあげながら走ることで平静を保っていた。

 雨宿りをするため、適当に目についた洞窟へと姫は入って行った。


「ナンカスゴォ〜〜〜ク!!オクガフカイッ!!!ヒ〜〜〜ン!!!」


 奇声と共に、洞窟の奥が通路になっていることに気づいたチチスメルヤバスギ姫はそのまま中を進んで行った。行き止まりには、精緻な装飾の施された扉があった。


「ギョーギョーナトビラッ!!アケマス!!!!!」


 姫は何の躊躇も無くその扉を開けた。


 直後、姫は殺気を感じとっさに後方に飛びのけた。


「……?!殺気…?!」


 しかし直後には殺気は消え去っていた。


「これはゴーレム…?」


 姫の目の前には微動だにしない機械人形、ゴーレムが立っていた。


「もう…動かない…?」


 このゴーレムは本来この洞窟の最奥を守る者だった。しかし、どんな相手にも対応できるようにゴーレムは五感を持たせされていた。嗅覚を司る部分がチチスメルヤバスギ姫のスメルを処理しきれず、内部で故障してしまったのだ!


「奥に…ナニカ…アルッ!!!!」


 ゴーレムの向こうには、入り口よりさらに精緻な装飾の扉があった。姫は迷わず開ける。


「ダレカ、イマスカアアアアア!!!!」


「…………………」


 姫がそう問いかける。姫は何者かの気配を感じた。姫は持っていた松明で辺りを照らす。すると正面には台座、そしてその上にはブラジャーが有った。


「ブラジャー……?」




 おっぱい太郎は突然の来訪者に驚くと共に心躍らせていた。頼むから巨乳であってくれ、と。おっぱい太郎は必死にコミュニケーションをとろうとした。声で無くとも!!テレパシーのようなもので!!伝われ〜〜!!!


『ウオオオ〜〜〜!!貴方は巨乳ですか!貴方は巨乳ですか!貴方は巨乳ですか!』


「いかにも!私は巨乳である!!!」


『……?!聞こえてる!!??』


「聞こえているぞ!!姿を見せたらどうだ!!」


『ブラジャー!あなたの目の前のブラジャーだよ!!』


「…!?なんと…噂には聞いたことがあるが…これはまさかダンジョンや遺跡の最奥に稀にあるという魂を持った武具!?」


『武具っていうか!下着だけど!魂はあるよ!!』


おっぱい太郎は歓喜した!巨乳であると!そして同時になんとかしてつけて貰おうと思った。


『貴方はそのダンジョンか遺跡とやらを制覇したんだろう!つける権利、いや義務がある!!』


「ただ歩いて来ただけなのだけれどな……まあいい!!つけよう!きっと凄まじい力を秘めているに違いない!!!」


 チチスメルヤバスギ姫はブラジャーを手に取り、装着した。


 そして、驚き、感動した。あまりのフィット感。全く締め付けることは無く、だか緩むこともない。そして完璧な形に乳を保ってくれる。動いても乳が大きく揺れることが無く、走っても乳に痛みなど全くない。


「さすが…魂を持つ魔法の武具だ。つけ心地がこの世のものとは思えない…」


『あ、ああ、つけたんだな?今、もうつけているんだな?』


 おっぱい太郎は困惑していた。乳を支えている感覚、触覚がないのだ!!!

 確かに自分が今乳を支えていることは、なんとなく周りの様子が頭に入ってくることからわかる。おっぱい太郎はこれを魔力をなんとかして把握しているのだろうと推測していた。しかし、肝心の触覚が無い、乳を感じることができない。


『しかし!乳を支えている事実に変わりなし!!!』


 だがおっぱい太郎は真におっぱいを崇拝していた。故に自分が乳を支えているという事実だけで十分なのだ。ちょっと悔しいけど。


『気をつけろ!何か来るぞ!』


おっぱい太郎は辺りの気配が歪み、何かが現れたことに気づいた。


「ム………あれは……蘇った死者(アンデット)の中でも魔法を使う者、リッチ(童貞のまま30歳)だ!!」


『なんか…!不穏な空気を感じる!』


「ああ!奴は呪いを使う!かけられたら最後皮膚が爛れ精神は歪み、解呪しても大きな後遺症が残る!」


 そのリッチが続々と現れ、次々と呪いのオーラを飛ばして来た。


「クソっ!避けきれない!あっちょっとあたったかも!」


『おい!避けろ!次右!左!ほら足元気ぃ抜かない!』


 チチスメルヤバスギ姫はおっぱい太郎のサポートを受け、ちょくちょく当たりながらも頑張って避けていた。


「おかしい…けっこうあたってるのに…全然効かない……」


 何かに気づいたチチスメルヤバスギ姫は次々と飛んでくる呪いのオーラを無視して、リッチに近づき抱きついた。


 その瞬間、リッチは弾け飛び霧散した。


「やはりそうだ…ブラ、お前には呪いを弾き打ち消す効果がある!お前はきっと"あらゆる呪いに打ち勝つブラ"」


『何ッ!俺そんなすごいのか!やったな!』


「ああやったな!しかし、リッチの数が減らない!いくら抱きつくだけとはいえこの数は骨が折れるぞ!」


『行きはどうしたんだ!どうやって来た!』


「来るときにはこんな奴らはいなかった!お前を着けてからだ!」


『最奥の武具が奪われたからじゃないか?!俺をもとの位置に戻してみろ!』


「ああ!わかった!」


『馬鹿ッ!戻ってから俺を取れ今ここで取るな!』


 チチスメルヤバスギ姫は台座の近くでなく、リッチのすぐそばの入り口付近でブラを取ってしまった。


 瞬間、呪いのオーラは姫の乳を中心に打ち消され、リッチも弾け飛んだ。


『おい…全て消えたがどういうことだ?何をした?』


「何も…特にしていないぞ。」


『何か特別なことや、人と変わったことはないか?』


「いや…そんなことはない…強いて言うなら重度のワキガであるくらいだ……」


 その後2人(?)は"重度のワキガ呪いを打ち消す説"の実験の為、何度もブラをつけたり外したりした。




「どうやら私のワキガは魔の者すら退けてしまうようだ…道理でおかしかったんだ…本当なら私は恐ろしい魔物が跋扈する地域に今いるはずなんだ。」


『なるほど……そしてそのワキガはあまりの強さに呪いと思われ俺が打ち消してしまっているのか…。』


 古来より匂い、臭いというのは魔術にとって重要な要素の一つとして扱われてきた。おっぱい太故郷でも、鰯の臭いが鬼を除けると信じられていた。臭いとは魔法やそれに類する呪いにとって関係の深いものなのだ。そして、あまりに強い臭いともなればそれは呪いにも匹敵し、それを退けることすらあるのだ!!!!!


「とりあえず…あんなに囲まれてはうっとおしい…お前は外してここから出るか…」


『あっいや待って…ンッ…なんかいけそう!呪い打ち消しモードオフにできそう!………できた!!』


「ありがたい!つけ心地が最高なんだ!できることならつけていたかった!」


『それはブラ冥利に尽きる言葉だ!そういえばアンタ名前は?俺はおっぱい太郎』


「チチデカール=スメラギ=ヤバルート=スギールだ。皆からはチチスメルヤバスギ姫と呼ばれている。」


『なるほど…………じゃあ…長いからチチ姫でいいか?これからよろしくな!』


「ああ!頼むぞパイ太郎!」


こうして世にも奇妙なコンビが産まれた。


そして、この洞窟が、そもそも辿り着ける者がおらず入った者も決して帰って来ないという、母親が子を脅かすときに使われるおとぎ話として信じられていた、この世界で最も恐ろしい場所の一つである「死の洞窟」であったことは、この二人は知らないことである。

にゃーでもワンでもッピィィィィイイーー!でもなんでもいいのでコメントを頂けたら励みになります。ぜひコメントください!

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[良い点] ギャグと萌えを併せ持った感じかな? と思って読み始めましたが、(良い意味で)予想を裏切られました! [一言] 次回も楽しみにしております!
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