或る乳のデカい乳の臭い女の話
これはある世界にてある王国、チチデッカ王国の第三王女が産まれた際の話である。
歴戦の王、チチデカール12世が隣国から迎えたスメラギ姫との間に子を授かった。その出産に立ち会ったのは王はもちろんのこと、助産師、メイド、側付きなど総計28名。その全員で姫と産まれてくる子の命を守るために万全の体勢を整えていた。
出産とは実に長丁場になることも珍しくは無く、半日で済めば短く終わったと思えとも言われている。しかしそこは第四王子を産んだという出産経験もあり、その武勇を買われてチチデッカ王国へ嫁いだスメラギ姫である。一息力む。
「フッッッッ!!!!」
「オギャーーーーー!!!!!!」
実に15秒の出産であった。
姫が産声を上げた瞬間、助産師、メイド、側付き27名全員が気を失った。バタバタと人が倒れる。王だけは辛うじて気を保っている。しかし王の口からは血が垂れている。己の舌を噛んで無理矢理に意識を保っているのだ。
「この臭いは……グッ………毒……か……?」
「何を言ってるんだ?この子のニオイだろ?」
王の声に姫がそう答える。周りの者が倒れ意識を失う中、姫だけが平然としている。そう、姫は"重度のワキガ"であった故に臭いに慣れていたのだ。そして産まれた赤子はその"重度のワキガ"を色濃く、強く、その何倍もの力を遺伝で受け継いだのだ!
人の意識を奪うほどの強烈な臭いを発するワキガを持って生まれたこの赤子は、チチデカール=スメラギ=ヤバルート=スギールと名付けられ、後に「チチスメルヤバスギ姫」と呼ばれるようになる。
姫はそんな悪魔も裸足で逃げ出すような呪いと共に産まれたが、ワキガに耐性のある母スメラギ姫に大切に育てられた。そのおかげで真っ直ぐ育ち、性格も明るく容姿も美しく、そしてチチデカッカ王族が皆そうであるように、見事な巨乳になった。
チチスメルヤバスギ姫17歳の誕生日、17歳になったチチスメルヤバスギ姫は隣国ビンカン王国の王子との結婚が決められた。
「ジーヤ、相手の王子はどんな奴なんだ!」
「姫様、ご結婚なさるのでしょう、もう少し丁寧な言葉遣いをしなされ」
「お相手の王子はどんなお奴ですの?!」
チチスメルヤバスギ姫は戦場にいる時間が長かったスメラギ姫にそだてられ、少々元気過ぎに育っていた。またチチスメルヤバスギ姫の身の回りの世話を一身に受けてるのは、戦場で鼻を失い嗅覚も失なってしまったジーヤという男である。
「そうですな…繊細で美しく優雅、五感すべてが敏感でとても素晴らしい感性を持った方だと伺っております。」
「へえ!!それは楽しみだな!」
結婚式や諸々の儀式の間は姫専用の特注の素材に王国の魔法技術を総動員して開発し、作り溜めておいた吸臭の魔法道具を用いてなんとか乗り切った。しかし問題は初夜である。この初夜も神聖な儀式の一部である為避けることはできない。またそのときは必ず両者一糸纏わぬ姿にならなければならないのだ。
特注の素材でできた強力な防臭効果のある服を脱ぎ王子と対面する。儀式の部屋はこれでもかというほどお香が焚かれ、王子の直前の食事には嗅覚を弱める作用のある薬すら混ぜてあった。
しかし、ただでさえ"強力なワキガ"に敏感な王子の五感。
王子は一瞬で気を失ってしまった。
この事件が隣国ビンカン王国ではチチデカッカ王国の姫が王子に毒を盛ったと広まってしまい。事態を収束させる為、チチデカッカ王はチスメルヤバスギ姫の流刑を決断した。
流刑先は王国のある大陸の南端、魔物共や荒くれ者共が巣食う悪魔の領域、通称オソロシ半島である。しかしそれは表向きの決定であり、実際は流刑の執行人は王国の腕利き騎士達による護衛であり、オソロシ半島に一度は入った後は脱出して王の所有する島へ移送させ、そこで生活を送らせることになっていた。
しかし、姫の"重度のワキガ"は移送にも影響を及ぼした。移送に使う馬車を引く馬が、最初は大丈夫だったものの、常に悪臭にさらされついに耐えることがでくなくなってしまったのだ。また、運悪くオソロシ半島の中での出来事であった。馬を失った一行は、馬車と積み荷の物資を捨てざるを得なかった。大量の魔物避けを積んでいたが、持てる分だけを持って移動する。当然魔物避けの量が足りない為、多少の量の魔物避けは意に介さない強大な魔物だけが襲ってくる。王国の腕利き達はその程度ではやられない。しかし、あるとき敵の装備だけを溶かす「ツゴウノイイスライム」の攻撃によって、一瞬の油断のすきをつかれ、姫の装備が溶かされてしまった。
その瞬間恐ろしい臭いがあたり一面に広がり、騎士は全員気絶、スライムは本能的恐怖からその場を逃げた。
姫は、自分のことを理解していたので、書き置きを残し、最低限の装備と、服を整えその場を去った。
その後!チチスメルヤバスギ姫は荒くれ者に襲われること18回!内荒くれ者が近づいた瞬間に気絶すること15回!なんとか耐えた者も巨乳に興奮し服を脱がせてしまい「直・スメル」を浴び、気絶させること2回!本能的恐怖から荒くれ者が逃げだすこと1回!
チチスメルヤバスギ姫は、そこそこ元気にやっていた。母の教えのおかげで、ある程度のサバイバルもこなせた。
そして、その剥き出しのスメルのせいで魔物はまったく近寄らず。本来なら人間では到底敵わないような魔物が跋扈するオソロシ半島の南、そに奥地へと姫は進んでいくのであった。
にゃーでもワンでもッピィィィィイイーー!でもなんでもいいのでコメントを頂けたら励みになります。ぜひコメントください!