乳の光
おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい。
果たして祈りが届いたのだろうかおっぱい太郎は爆発に巻き込まれながら考えた。しかしそのおっぱい太郎の意識を現実に引き戻すように声が響く。
「逃げろ〜〜!!!!」
おっぱい太郎のブラックな職場、そう違法ブラジャー製造工場の現場のラインの責任者でありタイムキーパーの、通称「ブラクローザー本田」が叫んだ。
「どうした!どうしたどうしたどうした!どうした!」
「うギャーーーーーー!!」
「おっぱいの神の力だ!」
最初の叫び声は同じ工場で働く、誰とも会話をすることのない、しかし独り言が多い検品のプロ「ブラ送りのサブロー」のものだ。そして認知症が始まりかけており人を呼ぶときに兄弟と呼ぶ「ブラザーすーさん」と、最後のものがおっぱい太郎の叫びである。しかし、日本語がまだイマイチわからないフィリピン(?)出身の「ブラジリアン遠藤」は一言も声を発さなかった。
工場中がパニックになり、皆工場から脱出することを第一に考えている。
しかし、爆発の影響か出入口がブラジャーの山で塞がれてしまったのだ!!!
そうなれば皆一心不乱にブラの山を掘る。ブラジャーの山をとにかくどかさなければならない。
しかし、すすにまみれてしまい世に出ることはもうなくなったであろうブラ達を憐れみ、追悼の意を捧げるおっぱい太郎。
そして爆発の後にブラの山ができたこの状況が、故郷の伝承とまあまあ一致してしまっており思わず祈りを捧げるブラジリアン遠藤の二人だけはブラを掘らず、掘っている周りの人達をただ祈りを捧げつつ傍観していた。
「ちくしょう!全然だめだ!どうなってやがる!」
「兄弟!うギャーーー!!」
ブラを掘り始めてから10分が経ったが一向に山は削れない、それどころか大きさを増しているようにも見える。
実はそう、在庫の倉庫からブラが漏れ出ているのだ!!
おっぱい太郎とブラジリアン遠藤は依然祈りを捧げている。
そうこうしてるうちに爆発で弱った工場の壁や天井がミシミシとたてる音が徐々に大きくなってきた。周りのブラジャーの在庫に工場が圧迫されているのである!
そして、耐えきれなくなったある一本のワイヤーロープが切れた。壁が崩れ天井が落ち、ブラジャーの波がやってきた。
壁と天井に潰された者は居なかったが、その場の全員がブラジャーにより押しつぶされ、痛みを感じる間も無く死んでしまった。