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武闘都市コロナ5

ボンバイエは巨体に似合わぬ身軽さで飛びかかって来た。

アイリは寸でのところで躱すが、踏みつけられた場所が音を立ててひしゃげる。


「どうだ! これこそが私の力だ! 勇者でも絶対に止められはしない!」


 ボンバイエは力任せに拳を振るい、床や天井に次々と穴ができる。


「おい、俺を降ろせ! そうしたら戦えるだろ⁉」

「ビルくん大丈夫なの?」

「足の速さなら負けねえよ!」

「――わかった信じるね」


 アイリに降ろされ、すぐさま二手に分かれて走り出す。

 時間が経って効果が薄れたのか、痺れていた身体は思っていた以上に軽かった。


「逃げてばかりではどうにもならないぞ!」

「追いついてからほざきやがれのろま野郎!」

「貴様!」


 逆上したボンバイエが俺めがけてボディプレスをかますが、ぎりぎりの所で大きく飛びのきそれを躱す。

 そして起き上がろうとしたボンバイエの背中に短刀を突き立てた。


「痛い! やるではないか!」

「ぐっ!」


 体を起こした際に吹き飛ばされてしまった。

 しかも背中の傷がもうふさがってやがる。

 

「ワハハ‼ 私は最強なのだ! 何をしようが無駄だ!」

「貴方は最強なんかじゃないよ!」

「何ぃ?」

「他の人から力を奪い取って威張っているだけの人、それが貴方!」

「私を愚弄するな!」


 ボンバイエはアイリを踏み潰そうと片脚を振り上げる。

 しかしアイリは聖剣を床に差し、その足に飛びついた。


「何を!」

「てえい!」


 信じられねえ、勢いそのままにボンバイエの巨体を押し倒しやがった。

 

「まだだよ!」


アイリは倒れたボンバイエの腰を掴み、バックドロップを叩き込む。

そして、そのまま空中に放り投げると止めとばかりにパワーボムを決めた。


「んぎゃ‼ 参った」


 こうしてボンバイエは倒され、闘技大会は終わりを迎えた。



「ごめんなさい……財布はお返しします」


 グレスの野郎が頭を下げながら財布を差し出してくる。その横には姉と思われる女性がいた。

 

「話は聞いたよ、ボンバイエに脅されて辛かったね」


 アイリが頭を撫でると、わんわん泣き始めちまいやがった。助けを求めるように視線を送ってきても無駄だ、お前のまいた種だからな。


「いやあ、部屋に閉じ込められていたら全部終わっているとは、申し訳ない」

「ほんとだぜ、でくの坊が」

「返す言葉もない。この汚名は必ず晴らしてみせるよ」

                            

 全てはボンバイエが最強になるため始めたことだった。

 優秀な格闘家だったボンバイエは、自身が最強の存在になるため、財産の全てをつぎ込み、他者から力を吸い上げる装置を完成させた。

 そして大会の主催者となり、自身に力を与える生贄を集めていたというわけだ。グレスのように家族が捕まり、人質にされていた奴も少なくない。

 捕まったボンバイエがどうなるかはわからないが、ろくなことにはならないだろう。


「お金も一杯もらえたし、これでしばらく安泰だねビルくん」

「てめえに財布は二度と渡さないけどな」


 アイリは優勝トロフィーを抱えながら、謝り続けた。


武闘都市コロナ編完結

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