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第二章 ~『有力候補と潰す作戦』~


 モーリーを都市長選挙の候補者にする。そう決めた三人はレオナール商会でさっそく選挙対策会議を始めた。


「坊や、モーリーを都市長にするにはまず顔をどうにかしないと」

「なんだとっ!」

「モーリー、あんたの顔は品がなさすぎるんだよ。その禿げた頭をカツラで隠すところから始めるとしようかい」

「メリッサ。男は顔じゃねぇ! 中身だ! 中身が一番重要なんだよ!」

「私はモーリーの言うことを否定するつもりはないよ。けどね、中身を知ってもらうのはそう簡単じゃないんだよ。それに女は禿げた親父に投票しないよ。スマートで品のある候補者に投票するもんさ」

「そんなことねぇよ。レオ坊からも何か言ってやれ」

「僕はメリッサの言うことに一理あると思うよ。モーリー、君だって能力が同じ候補者が二人並んでいて、片方がゴリラのような女性で、もう片方が美女ならどちらに投票する?」

「後者だ……」

「それに顔は重要さ。なんたって十年近く尽くしてきた幼馴染に、顔を理由に捨てられた男がいるくらいだからね」

「うっ、レオ坊が言うと説得力が違うな……分かったよ。カツラを被る」

「あとモーリーはもう少しスマートになった方が良いねぇ。あんたは筋肉も凄いけど脂肪も凄い。シュッとしたマッチョになれば、きっと今以上に魅力的になれるはずさね」

「女にもモテるか?」

「再婚相手も見つかるかもね」

「よっしゃあああっ、任せておけ!」


 モーリーはまだ見ぬ再婚相手を思い浮かべ、嬉しそうに頬を緩める。表裏のない素直な笑顔だった。


「モーリーの肉体改造は私に任せな」

「メリッサ。お前……」

「まず酒は禁止だ。食事も私が作る。あとジョギングを一日三時間の日課にしようかしら」

「うげええっ」

「安心おし。モーリー、あんたの肉体改造、私も付きあってあげるわ」

「いいのかよ?」

「あんた一人だと続かないでしょう」

「メリッサ、本当、お前は良い女だな」

「褒めても何も出ないよ」


 それから三人はモーリーの肉体改造計画を細かく詰めていく。選挙日当日までには引き締まった肉体が完成している予定だった。


「そういや選挙の投票日はいつだった?」

「約三か月後だね」

「それまでに公約も決めねぇとな」

「公約は平民に媚びるようなモノを打ち出して欲しい。モーリーの支持層は平民だからね。あと実現可能性なんかは考えなくていいからね」

「そんな適当でいいのかよ?」

「公約は守る義務はないからね。重要なのは、都市長になった後に何をするかだよ。だからモーリーが叶えたいと思っている夢があれば、実現性なんか気にせず純粋にそれを伝えるといいかもね」

「夢か?」

「例えば税金を少なくしたいとか、犯罪者を減らしたいとか。なんでもいいよ。何かないの?」


 モーリーはしばらく考え込むと、ふと思いついたように顔を上げた。


「医療費の無料化でどうだ……俺は娘が病気の時に薬代が稼げなく死なせるところだった。あの時はレオ坊が助けてくれたが、もし俺と同じような境遇にいる奴がいるなら、今度は俺が助けてやりたい」

「いい公約だね。病気で苦しむ平民は多いから、きっと心を打つよ」

「そうか?」

「きっとそうさ。さて、これで公約は決まった。ここからが一番大事なところだ」


 レオナール先ほどまでの柔和な笑みを崩して、口元に不気味な円弧を描く。そしてはっきりと口にする。


「有力候補の二人を潰す作戦を開始しよう」



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