表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/84

プロローグ ~『成り上がった商人』~

商人が復讐を果たして成り上がっていくお話です。

最初は主人公が酷い目にあいますが、後ほど仕返しをしますので付いてきて頂けたらと思います

「レオナール国王陛下万歳! 王国に栄光あれ!」


 圧倒的な力を有する国王レオナール。周辺諸国を震え上がらせるその偉大な王の名を、王国騎士団は尊敬の念を込めて称える。


「諸君、僕がいる限り王国は不滅だ!」


 レオナールの一言で民衆が歓声をあげる。彼らは自らの王に対して絶大な信頼を持っていた。それは厄災と評される巨大なドラゴンを前にしても変わらない。


 黒い鱗のドラゴンは口から吹き出す炎だけで街を一つ吹き飛ばす。そのドラゴンが羽ばたけば、一個師団が壊滅する。そういう敵を前にしてもレオナールはいつもと変わらない平穏な表情を浮かべていた。


「一撃で眠らせてあげよう」


 レオナールは雷の最上位魔法を唱える。するとドラゴンの真上に黒い雲が現われ、雷の雨を降らした。雷はドラゴンの鋼の肉体を突き破り、体内から感電させる。ドラゴンは甲高い悲鳴を上げると動きを止めた。民衆は我らが王の勝利だと、まるで神を崇めるような声をあげる。


「レオナール国王陛下万歳! 王国に栄光あれ!」


 民衆の歓声が王国中で響き渡る。その声にレオナールは笑顔で答えると、傍にいた側近に自室へと戻ると告げて、転移魔法で移動する。


 レオナールの自室。それは王城にある絢爛に飾り立てた部屋ではない。彼がマスターを務めるダンジョンの最下層に位置する質素な部屋だった。


「旦那様、戻られたのですね」


 レオナールの配下が頭を下げて主人の帰りを出迎える。長い耳と整った容姿を持つエルフ族の女性だった。


「やはり地上よりもダンジョンの方が落ち着くね。ここで暮らした時間の方が長いからかな」

「色々ありましたものね」

「本当にたくさんのことを経験した。パーティから追放され、ダンジョンマスターとなり、復讐を果たした。それから僕は王になった。ここまで成り上がれたのも、すべてエルフ族のおかげだよ」

「そんな。旦那様の力があってこそです……」


 レオナールはこのエルフの女性と話す時間が何よりも幸せだった。絶大な信頼と盲目的な愛情。向けられる好意は彼が何よりも求めたモノだった。


「旦那様。そういえば部屋を整理していて、気になるモノを見つけたのです」

「気になるモノ?」

「こちらです」


 エルフの女性は一冊の本をレオナールに差し出す。その本に彼は見覚えがあった。


「これは僕の思い出を記録した半生記だね。何があったかを忘れないように記しておいたんだ」

「どんなことが書かれているのか、私、気になります」

「なら一緒に読んでみるかい?」

「是非お願いします!」


 レオナールが半生記の最初のページを開くと、エルフの女性は彼の隣に座る。穏やかな雰囲気が二人の間に流れた。


「僕の最初の物語は復讐から始まるんだ」


 レオナールは記された物語を語り始める。エルフの女性は猫が甘えるようにベッタリと彼に寄り添い、物語に耳を傾けた。


ここまでが未来の話です。

次の話から本編の復讐譚が始まります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍第一巻が11月29に発売予定!!
本編に大幅な改稿を行い、WEB版よりもパワーアップしているだけでなく、
WEB版では未公開の特別編も収録しております。
今後の執筆活動を続けていくためにも、よろしくお願いいたします
i364010
画像をクリックして頂くなろうの書評サイトに移動できます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ