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【フム】  作者: ガイア
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おかえりなさい。

そして今回が最終回。

あぁ、今日は早く帰って来たんで勢いで最終回まで突っ走りました。

半狂乱だった僕とランコを皆で落ち着かせてエレベーターの中で、マルカが話してくれた。

牢屋にいたフム、ランコ、レイミーだったが、すぐにフムがマスターが心配だここから出せと、マルカに言ったらしい。

マルカは、勿論応じなかったが、フムは


「マスターが、危ない」


目を赤く光らせ、本気の力を出しぐぐっと牢屋の鉄格子を曲げたらしい。

鉄格子は、絶対にイアンビリー家の血筋を逃さないように作られた特注品で絶対に曲がったり壊れたりしないように作られているらしい。


「ハゲの男のロボットにフムが捕まった時の方がまだ大変だった。あのロボットは力量が圧倒的すぎて逃げられなかったけど、この牢屋ならフムが本気を出せば」


それを曲げてしまったフムは、その後疲れてしばらく動けなかったが、恐怖に思ったマルカが太ももに隠していたナイフをフムに突き刺そうとしても、フムはナイフを片手で曲げ、銃を取り出して打っても軽々と交わし、ついにマルカを拘束した。

だが、牢屋のある部屋が開かないので、鍵を出せと言ったが、マルカが鍵の場所を吐かない。

レイミーが、まず説得を試み、ランコもそれに協力した。

フムは、筋肉を強化し牢屋を曲げた疲労が腕にきていてしばらく動けなく、鍵の説得を少しだけ座って待つことにしていたらしい。


そこで聞いたマルカの過去。

ホムンクルスとしてイアンビリー家の復讐の為だけに生まれ、そう洗脳されて生きてきたこと。

自分は、父親を恨んでいる反面父親がいないと生まれなかった。自分を必要としてくれている父親に依存していることを。

そして、気がついたら依存の方が勝っていた事。

それを泣きながら聞いていたレイミーとランコに、心が折れて鍵を渡してしまうふりをして、襲いかかったところを回復したフムのチョップで気絶させられた事。


フムは、いつも僕の事を一番に考えて助けようとしてくれた。

僕は......フムに、助けられてばかりだ。


ピコンと赤いランプがついて、エレベーターが動いた。

エレベーターは徐々に上昇する。


「フムちゃんが......やってくれたんだ」


ランコが天井を見上げ、涙を流した。

エレベーターから出ると、外は火の海だった。


「ます....たぁ」


館内放送でフムの声がした。


「フム!!!フム!!」


僕は、火の海を見回して叫んだ。


「また....爆発があるかもしれない。急いで....玄関の扉...開くようにしておくから....お願い....生きて.....右を向いて真っ直ぐ進むと非常階段のある通路があるから、その階段を上がって、二階に上がった後は、そのまま玄関が見えるから、真っ直ぐに」


「嫌だ!嫌だ!フム!!僕は、フムを待つ!!ここでフムを待つ!折角....折角助けたのに、これから一緒に居られると思ったのに.....」


僕が火の海に向かって泣き叫んだ。

突然頰に鋭い痛みが走る。


「バカ!!!アーサー、フムちゃんが折角助けてくれたんだよ!?何でここで待つとかいうの!?そんなことしたら...意味がなくなっちゃうじゃない」


行くよ!と僕の腕をきつく痛いくらいに握りしめ、走り出したランコは、僕と同じで泣いていた。

レイミーは、マルカの手を引き、皆で火の波の被害が少ない非常階段を必死に駆け上がった。

息が苦しい。

死んじゃいそうだ。

いや、だ。フム.....苦しいよ。痛いよ。助けてよ。行かないでよ。僕を、一人にしないでよ。もう二度とあんな思いはしたくないよ。


「ますたぁ、生きて。あーちゃんは、生まれてこれてよかったよ」


そんな放送が途切れ途切れでぽつりと流れた。

シトさんは、フッと微笑んで呟いた。


「ありがとうな....」


そして、僕達は、熱い炎をかき分け、フムが命がけで開けてくれた玄関を出たのだ。

玄関を出た途端、ドゴォッという爆音がして、建物が豪快に崩れ落ちた。


「フム!!!!!!!!!!!」


「フムちゃん!!!!!」


「フムちゃん....!!!」


僕は、涙が止まらなくて、頭が痛くて、フムと過ごした日々が、走馬灯のように流れた。

大好きなフム。

祖父が死んで、ひとりぼっちだった僕を助けてくれたフム。

僕にはお母さんがいなかったから、フムは僕のお母さんみたいだった。

そういえば、マーチスが言っていた。


僕の母親は、最初全く笑わなかったって。

一緒に過ごすうちに少しずつ笑顔を見せてくれるようになったって。

フム....お前は。

いや、何でもない。



***


そして、その事件の後────。

幸い消防がすぐ到着して火は消し止められた。

ただ、建物は完全に壊れてしまった。


シトさんは、消防を呼んで来てくれた改造された子供達を自分の手で治すと、子供達と一緒に過ごす道を選んだ。


レイミーは、復讐のためだけに育てられたマルカに、生きる事の素晴らしさを教えるんだ。なんて言って、マルカと共に旅に出てしまった。


一方、僕は────。


「アーサー、ご飯よ」


フムがいなくなった僕は、ショックで抜け殻のようになってしまった。

そんな僕をランコは、献身的に支えてくれた。


「よかったのか?」


「いいよ。アーサーを頼むと言われたのは、ファゾラじゃなくてランコだもの。これからもランコと呼んで」


なんだかんだ慣れてしまってずっとランコと呼んでしまっていたが、ランコは、そう言って笑ってくれた。


「私は、フムちゃんに変わってアーサーをこれからも支えるよ。発明家としても、1人の男性としても」


ランコは、僕の手をとった。

まめだらけの手だったが、まめはもう固まってしまっている。


「あぁ......ごめんな。ランコ」


「だめだよ。それじゃ。言ったでしょう?アーサー。ごめんなさいより、ありがとうって言った方がいいって」


ランコは、そう言って微笑んだ。


「.....あぁ、あぁ...ありがとうランコ」


そして、僕は退院し、ランコと小さな小屋でとある発明をしている。


「できた.....」


病院で過ごしている日々だったが、ある日警察から言われた。

焼け焦げた地下室から何やら鉄の部品のようなものが残っていたと。


それは、フムの脳の記憶チップだった。

僕とランコは、その話を聞いて、大泣きしながら抱き合った。


それから僕達は、二年間一つの発明に全てを費やした。

二年間2人は、物凄い速さであるものを発明し続けたのだ。


***


ぱちりと目を覚ました金髪の少女に、僕とランコは微笑んだ。

隣には、レイミーとマルカ、シトさんと子供達もその少女を覗き込んでいる。


「おかえり、フム」




本日も、今までも読んでくださり本当にありがとうございます。

実は三話くらいで完結だったんですよこの話。

でも、もっと続きが読みたいって言ってもらって、それで書き続けてたらまさかの10倍30話まで続いていたという。

一ヶ月で完結させるはずでしたが、それまたカクヨムで書いたり、仕事で忙しかったり年を開けてしまいました。

でも、私こんなに長く長編を書いてしかも完結させるほど続いたことがなかったので、やりきったなと思います。

異世界ファンタジーで、こんなに真面目な話を書いたことがなかったので、皆さんも読みにくかったり、ん?ってなったところがあったかもしれませんが、読んでくださった方がいたからこれだけ続いたのだと思います。

本当に、ありがとうございました

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