ペンダントの写真
お久しぶりです最近なかなか更新できず申し訳ないです。
というわけで二話更新します。
「まぁ、座りたまえよ」
マーチスに案内された部屋は、とても豪華だった。
部屋の真ん中には黒光りするソファと、紅と金の刺繍の施されたテーブルクロス。
誰が描いたのかはわからないが、高価そうな名画。
赤い薔薇の生けてある琥珀色の花瓶、金色の姿見。
外見は完全に病院だったのに、中身は牢屋があったり、こんな地下にこんな豪華な部屋があったり、どうなっているんだ?
マーチスは、黒いソファに座って僕を前に座るように促した。
僕は、辺りを警戒しながらふかふかのソファに腰掛ける。
「君は、私に何が聞きたいのかな?何でも話そう」
手を広げ、にっこり微笑むマーチス。
顔色は相変わらず悪いのに機嫌は良さそうだ。
「......本当に、何でも嘘偽りなく話す保証は?」
「愛する息子に嘘をつく必要がないからだ」
「....僕はお前の息子という証拠はないだろう!」
マルカを改造し、子供達を殺人鬼に改造するような奴が突然自分の父親を名乗ってきたらどうしたらいいのだろう。
心底気味が悪い。認めたくない。
「証拠ならあるよ。ほら、これを見なさい」
マーチスは、隠れた襟元からペンダントを取り出し、開いて僕に見せた。
そこには、若い頃の金髪のマーチスと美しい青い髪の女性が、赤ちゃんを抱いている写真だった。
「ほら、君の目は彼女に似ているね。髪色は僕に似ている。ほら、こんなに似ているのになんで君は逆に親子だと思わないんだい?」
ペンダントの写真を指し示しながら僕に嬉々として話すマーチスに、僕はぞっとした。
僕は大人になったらこんな痩せ細った骸骨みたいな男になるのだろうか。
最初に思ったのは写真の感想よりそれだったが、写真をよくよく見てみると確かに似ている部分もあるのかもしれない。
若い頃のマーチスは、今と違いイケメンだった。
隣の女性はランコにどことなく雰囲気の似ている大人しそうな青い髪を三つ編みに結った美しい女性だった。
ペンダントを眺めていると、ぽつりと雫がペンダントに落ちる。
顔を上げるとマーチスは涙を流して悲痛な顔をしていた。
思わないんだい?って。
思えるわけないだろう?泣きたいのはこっちだ。
「思わない....思いたくない」
思わず顔をそらして目を伏せる。
これ以上何もききたくないし認めたくない。
僕は、本当は自分の過去を聞きたかったはずなのに。
自分の父親が実は殺人鬼のマッドサイエンティストの最低な奴だったなんて、聞きたくなかったに決まっている。
僕は、そもそも祖父に育てられてきたのだ。発明家の祖父に。愛されて二人であの小さな家で。
祖父が亡くなって寂しくて寂しくて、フムを発明して一緒に過ごした。
僕の家族は、祖父とフムだ。
「そもそもお前は父親だったとしたら、おかしいじゃないか!僕はお前に初めて会ったんだぞ!?」
思わず怒鳴ってしまった。
だがマーチスは、然程気にした様子もなく
「ふむ.....それには色々事情があったのだ。私からはお前に会えなかった事情が」
「どんな事情だよ!だいたいなんだよお前!突然現れて父親とか!それに」
マーチスは、優しげな表情を浮かべ僕を見て微笑んだ。
予想外の反応に思わず口を噤んでしまった。
「大丈夫だ。全て話そう。アルト、お前の過去。どうしてこんなことになったのか。私の兄...ルーカス・イアンビリーがどれだけ酷い事を私に、私達にしたのか。私達家族がバラバラになったのも、全てあのルーカス・イアンビリーのせいなのだ」
拳をギリギリと握りしめさっきとは打って変わって憎しみと狂気に満ちた表情を見せ豹変したマーチスは、語り出した。
僕の過去を。イアンビリー家と僕との繋がりを。
本日も読んでくださりありがとうございます。
4000pv行きました!
最終話までに5000pv行くくらい面白い話を書いて行きたい




