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【フム】  作者: ガイア
22/30

混乱

3話完結するはずの話がいつのまにか20話以上書いていた件について

マルカに案内されてついたのは、大きな病院だった。


「この建物の地下にランコがいるよ」


マルカは、エレベーターを動かし僕達を地下に連れていってくれた。

無邪気なマルカと違い僕達の前をつかつか歩く。

大変頼もしい限りだ。

エレベーターを降りると、薄暗い長い廊下がかかっていた。

薄気味悪いな。病院の地下とはいえ、見た目は立派なものなのに。


「こっちだよ」


こちらを振り向かずマルカは僕達を案内する。


「本当にこんなところにランコがいるのか....?」


レイミーは、マルカを疑っているわけではない事はわかるのだが、そう言いたい気持ちもわかる。

疑いではなく驚き。から出る言葉だ。


「大丈夫だよ」


廊下を歩きながらマルカは元気に答えた。

ただし廊下の方を見ながらだ。


「.......ここ...おかしい」


フムが、ふと立ち止まった。


「どうした?フム」


「今調べて見たけど、ランコはこの先の牢屋の中にいる」


「調べた?」


マルカが、ここで初めて首だけこちらを振り向いた。


「あぁ、フムは僕の作ったロボットだからな。見ただけでこの階について把握もできるんだ」


「...ロボット!?この子が!?ほぇー...怪力パンチ機能とか、ついてるの?」


マルカがかなりの興味を示した。

やはりこんなに人間らしいロボットをみたら誰でも驚くものなのだろうな。

だが、そんなことよりランコが牢屋の中にいるという事実の方が僕は大切だ。


「力は強いと思うぞ。フムは誰かを殴った事がないからわからないな。それより牢屋ってどう言う事だフム!」


「.....ランコは牢屋で倒れてる」


「なんだって!?」


フムが、震えながら無表情に言うとマルカも前を向いたままだが立ち止まった。


「すぐに助けに行かないと」


「牢屋にいるのね。大丈夫あたしが案内するよ。こっそり皆で牢屋まで行って、助けよう」


マルカは、頼もしく前を歩きペースを少し上げた。

僕達も自然とペースが上がる。


「走っていったほうがいいんじゃないか?」


僕とレイミーが同時に言ってマルカを見た。

レイミーも焦っている。当然だ。


「この人数でドタドタ走って牢屋まで行ったらすぐにバレてしまうよ。あたしが誤魔化しきれればいいけど、ランコを連れ去る侵入者達だってバレたら皆が危ないからね」


マルカは、真剣な面持ちで言った。

マルカはマルカなりに僕達の事を考えてくれていたらしい。


「歩くペースは早めるけどあくまで静かにね。ここから部屋が増えるから」


廊下には、度々白い扉が見られる。

この中にイアンビリー家を恨んでいるマルカの父親もいるのだろうか。

そうだ。僕は彼に話を聞かなくてはいけないんだった。

僕とイアンビリー家の家族が写っている写真を彼は持っていたらしいからな。

だが、ランコを誘拐して殺そうとしているような頭のおかしい男に話が通用するだろうか?

ランコを連れて急いで逃げたほうがいいのではないだろうか?

見つかって厄介な事になるよりは、いいのではないだろうか?


「何を考えているんだ?」


レイミーに小声で聞かれた。


「あぁ...いや、なんでもないよ」


「ランコの事か、もしくはマルカの父親の事か」


「なんでわかるんだよ」


「今考える事といったらそれくらいしかないだろう?」


確かにそうだ。


「マスター、何か悩んでる。深刻そうな顔してる」


フムが僕の顔を覗き込む。

悩んでいる...か、すぐにフムにはばれてしまうな。


「あぁ....そうだな。実は」


「ついたよ」


ずっと俯いて考えていたがマルカの一言で顔を上げる。

目の前には重そうな鉄の扉。


「ここを開けたらランコがいる」


見るからに重そうな扉をそうっと音を立てないように一人で開けるマルカに僕は目を見開いた。

マルカはこんな怪力を持っていたのか。

いや、少し前に父親に体をいじられたという話をしていた。

その時に改造されて怪力になってしまったのだろうか。

開けられた扉を目を細めて見つめた。

なんだか、言葉では言い表せない気持ちになった。


「ランコ!」


部屋に入ってすぐ右側の牢屋にランコが倒れていた。


「待ってて!今鍵を開けるから」


マルカが、ウエストポーチから鍵を取り出し牢屋の鍵を開けてくれた。

かちゃりと音がして牢屋が開く。


「ランコ!」


僕達は、倒れているランコに駆け寄る。

レイミーが、ランコの首に触れ、


「温かい。生きてる....これは眠ってるだけかな?」


と言ってふうと安堵のため息を吐いた。

僕もランコを抱き上げて安堵した。

よかった。無事だったんだな。ランコ...よかった。


かちゃり。


後ろで何か音がした。

振り向くとマルカが無表情に僕達を見下げていた。


「マルカ?」


僕の声にマルカは、反応しない。

ただただ、無表情に僕達を見下げている。


「何で鍵を閉めたんだ?マルカ?」


僕の質問にも答えない。


レイミーが、目を見開き小さい声で呟いた。


「まさか」


そしてゆっくりマルカを振り返り。


「もしかして.....マルカ..君は」


どういう事だ?

レイミー、なんだ?もしかしてって。

僕は、薄々今のレイミーの反応でわかっていた。理解してしまった。

でも認めたくなかった。

僕の言葉に反応しないマルカ。

牢屋で寝ているランコ。

すんなりアジトに僕達を招き牢屋まで案内し、鍵をかけたマルカに....僕は、言葉を失い彼女をみた。


「イアンビリー家って馬鹿ばっかなんだね」


マルカは、吐き捨てるように言った。


「ちょっと前にはイアンビリー家の兄がこの牢屋に入ってたんだよ」


「シトさんが!?」


シトさんが、牢屋に入ってたってどういう事なんだ!?

シトさんは、殺人鬼の子供達と一緒に復讐に来たんじゃなかったのか?

まさか.....いや、そんなはず。


「計画通り改造された子供達と来たよ。まんまと騙されてね」


「騙された....?」


嘘だろう?.....まさかあの子供達は、シトさんをここに連れてくる為の──。

じゃああの手紙も僕達を連れてくる為に用意したものなのか?

どこからどこまでが本当で、子供達が来たのは計画的だったのか?

マルカは、最初から僕達を牢屋に閉じ込める為にここに連れて来たのか?

わからない。頭の中がぐちゃぐちゃだ。


「これでイアンビリー家の子供達は全員揃ったのかな。父さんを呼びに行ってくるから大人しくしてて」


マルカは、無慈悲に告げると僕達を見ず重い扉を開け出て行ってしまった。

薄暗い部屋に僕達は残された。


マルカは、僕達を牢屋に閉じ込めた。

イアンビリー家への復讐って何なんだ?

マルカの父親は何を恨んでいるんだ?

シトさんは、殺されたのか?

わからない。わからない。


僕達は、これからどうなってしまうんだ────?





本日も読んでくださってありがとうございます。

今回グッと話が進みました。

明るい女の子が闇を抱えているシチュエーションがすきです

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