表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/41

再会

 時は経ち、僕は学校へ入学する歳になった。

精霊の世界でも学校に通うのだなと感心しつつ、この世界ではどのような学校生活が送られるのだろうと期待もしていた。

前世では神童ともてはやされ、学校生活も味気ないものだった。(この世界でも神童と言われているが)

だから、新しい気持ちで学校に通えるのは楽しみだ。


 ここで精霊の世界での学校とはどういうものか説明したいと思う。

学校は6年間通うことになる。

この世界では高校や大学など無い。

この6年間で人間の世界で言う大学院博士課程の内容を修了するのだ。

いや、内容的にはそれ以上だと両親は言っていた。

両親曰く世界のことわりを6年間で習得しなければいけないのだそうだ。

精霊というものはこの世界で一番賢くなければならないそうだ。

その知識量は神に匹敵するぐらい持たなければならないそうだ。

もちろん、この世界は人間の時の常識など通用しない。

とてもハードな6年間になりそうだ。


 それと僕の生まれた村では30年ぶりの学校の開校になるそうだ。

そして、学校に入学するのは僕を含めて2人ということになっている。

つまり、同級生がたった1人しかいないのだ。

もちろん、僕はその同級生の素性を知らない。

両親曰くその子も神童で、2つの能力を持つ女の子だと言っていた。


 精霊というものは毎年子供が誕生するわけではない。

子供が生まれること自体、珍しいのだ。

精霊はある程度いくと成長しない。

村の人たちも見た目はみんな子供だ。(もちろん中身は責任感を持つ立派な大人です。)

不老不死の存在だ。

子供が毎年のように産まれると精霊だけでこの世界は満たされてしまう。

だから、むやみやたらに子供を作ることは許されない。

だから、本当の子供というのはきわめて少ないと言うことになる。

ちなみに大人として認められる年齢は100歳からだ。

もちろん僕の両親も100歳以上の歳だ。

人間の世界とはスケールが違うのだ。


 入学式当日、僕は学校に行った。

初めて見た学校の感想は30年ぶりの開校と言うことでまるで廃墟に来ているように思えた。

入学することが分かっていたのに一切綺麗にした形跡がない。

一緒に来た両親もあきれかえっていた。

僕たちが一番乗りだったらしく僕たち以外そこには誰もいない。

一瞬場所を間違えたのかと思えるぐらい静けさが広まっていた。

しばらくすると先生らしき人が走ってやってきた。

その見た目は少女のようだった。

しかし、同級生ではない。

はっきりと大人だと分かった。

精霊の世界では見た目はみんな子供なのだけど、なぜか大人と子供の区別が付く。

理屈は分からない。

多分、本能で見分けているのだろう。

そして、しばらくすると僕たちとは違う見知らぬ家族がやってきた。

恐らく、ていうか間違いなく家族の真ん中に位置する女の子が同級生だ。

その女の子が僕に気がついたようで僕の目の前に駆け寄ってきた。

その女の子はいきなり、

「久しぶりだね、元気してた?」

と僕に話しかけてきた。

僕は意味が分からない。

この女の子と会うのが初対面だからだ。

僕が戸惑っているとその女の子が

「あ、ごめん。この姿だと分からないよね。覚えているかな、前世で私はあなたと同じ研究室にいた雲然くもしかり 星科せとかです。同じ研究室にいたと言っても私は20歳、あなたは10歳だったけどね。」

それを僕は聞いて思い出した。

そして、あまりの出来事にビックリした。

何せ僕の元いた世界の住人、しかも近くにいた人が転生してきたのだ。

驚くより他にない。

しかも、僕が密かに憧れていた人。

ていうか、好きだった人なのだ。

そう回想していると、彼女は

「私たちはこの世界ではそう年齢は変わりません。だいたい、あなたが前世で死んだ3ヶ月後に私は死にました。一応、言っときますが、自殺とかじゃありません。あなたが死んだ後、まあ、いろいろとあったんだけどね。それと私はあなたが好きでした。年の差は10も離れていたけど。あなたが大好きでした。まあ、ぶっちゃけ男の子が好きなんだけどね。生まれ変わってこの世界を見たとき、一瞬この世界は天国かとも思ったほどに。」

え〜!!と僕が若干引き気味になると彼女は

「あ、今のは余計だった!!でもあなたを今でも好きでいることは本当です。それだけは信じてください。」

突然の告白である。

僕も今の告白には引いたが両思いだったことを知って嬉しかった。


 そこで先生がコホンと咳払いをして

「感動の再会は後にして今から、入学式を行います。入学式と言っても教師が1人、生徒が2人の慎ましい入学式です。まずは自己紹介をしてください。といっても前世の名前ではなく今の名前での自己紹介です。」

と言った。

僕は

「僕の名前はユワンと言います。炎と水の属性を持つ精霊です。」

と自己紹介をした。

続いて彼女が

「私の名前はリャカヤと言います。雷と氷の属性を持つ精霊です。」

そして最後に先生が

「私はディクシアだ。これから6年間君たちの担任をする。そして全ての授業を担当する。よろしく。」


一通り自己紹介が終わり、入学式も終わった。

これから6年間、たった3人の学校生活が始まる。





 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=906122788&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ