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 僕が3歳を迎えてから月日が経ったある日、それは突然起こった。


 僕はいつものようにのほほんと過ごしていた。

いつも特に何もすることが無く、そこら辺に置いてあるものをおもちゃの代わりとして遊んでいた。

前世では子供らしいことは何もしていない。

(前世の)3歳ぐらいから天才児と呼ばれいろんなことを勉強させられた。

(前世の)6歳ぐらいで高卒程度の学力が付いていた。

そして(前世の)10歳で国内最高峰の大学に受かった。

世間では僕に対するプレッシャーが非常に強かった。

当然遊んでいる余裕など無かった。

だいたい、子供らしい遊びなどわかりもしない。

おもちゃも買ってもらったこともないし、遊園地に連れて行ってもらった記憶なども無い。


 しかし僕の生まれ変わった世界ではおもちゃという概念がない。

精霊というものは生まれた段階で大人びているものだと両親は言っていたが、僕にとっては知ったことではない。

僕は前世では幼くして亡くなったけど、子供時代といったものが無かったのだ。

だから、今、僕は子供時代を謳歌したいのだ。

でも、おもちゃが無いので木の枝や石ころなどを代用品として遊んでいた。

そんな様子を見て両親は普通じゃないと心配していた。


 その日もいつものように遊んでいた。

遊び初めてしばらく経った頃、それは突然起きた

急に手が燃え始めたのだ。

はじめは指先から火が付いたようだった。

火の気など何も無い場所で。

その火は指先から手のひらに燃え移り始めたのだ。

そしてしばらくするとその火は右腕全体に燃え移ったのだ。

僕はパニックになった。

「熱い、熱い、熱い・・・。」

僕は七転八倒だ。

自分の部屋で悶え苦しんでいると父親が駆けつけてきた。

父親は部屋に入ってくるとなぜか笑みを浮かべていた。

しかし、すぐに笑みは消え慌てたように僕に近づいてきた。

父は僕に

「いいか、気をしっかり持て。まずは深呼吸をするんだ。」

と言った。

僕はとりあえず深呼吸をしたが、それで状況が変わるわけがない。

父は僕に

「おそらく人間の時の記憶が邪魔をしているのだと思う。いいか、まず、精霊というものは熱さというか温度を感じないはずなんだ。」

そう聞くと僕は驚いた。

確かに冷静になってみると炎から熱さは感じない。

そして冷静になってみるとこの炎はどこから出現したのだろうかという疑問を持った。

僕は率直に

「お父さん、この炎はどこから出てきたの?」

聞いてみた。

「いいか、良く聞け。その炎はお前の中のものだ。つまりお前の体の中から出てきたのだよ。だからその炎はお前がコントロールできるものなんだよ。」

僕はビックリした。

それと同時に今、この場にある炎を消したいと思った。

「じゃあ、お父さん、この炎はどうやって消すの?」

と僕は父に聞いてみた。

「じゃあ、まずは深呼吸をして精神を統一するんだ。深呼吸と言っても我々は呼吸をしないのだけれども。まあ、人間の頃を思い出してだけど。次に精神を統一したら、腕の中に炎を吸収するイメージをするんだ。そうしたら炎は次第と消えるよ。」

僕は父の言うとおりのことをした。

そうすると炎が次第と小さくなり次第に消えていった。

そして消えていくとともに腕がひんやりすりするような気がした。

父からするとそれも気のせいだとのことだそうだ。


 一連のことが終わると父はうれしそうに母に報告したようだった。

父は

「よっしゃ!!(お金は賭けていないけど)賭けは俺の価値だな。息子は俺と同じ炎の精霊だった。水の精霊であるお前の霊力は受け継がなかったようだな。」

と言い、小さくガッツポーズをした。


僕は本当にあきれた両親だと思った。






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