人間の世界に来るまで(リャカヤ視点)
(注意;この話はリャカヤ視点でお送りします)
今回は学校の話をしますね。
私は学校に行けるのを首を長くして待っていた。
それは私の今の夫であるユワンに会えるのが分かっていたため。
なぜかって聞かれると困るのだけど。
なんとなく女の勘て言うか。
とにかく会えることは分かっていた。
入学式当日、私は両親に付き添われ学校に向かった。
学校は30年ぶりの再開だそう。
そのぐらい私の村では精霊の子供は生まれてこなかった。
だから入学式は村中の行事となった。
それは私にとって恥ずかしくもあった。
そして念願のユワンにあった。
彼は私のことを初めは気づかなかった。
私が自己紹介をしてやっと気づいたぐらいだから。
彼の驚きと言えば追ってきた甲斐があったものだ。
彼と出会ってから再実感したことがある。
やはり彼は聡明で私なんかよりもずっと天才だと言うこと。
彼の授業の理解度は舌を巻くぐらいだ。
実際学校の授業内容は私が大学院で勉強したレベルを遙かに超えていた、
国語、数学、理科、社会全てが恐らく大学院レベル以上だ。
いやそれ以上か。
精霊は自然界の全ての理を理解しなければいけないとディクシア先生は言っていた。
そのディクシア先生は世界7大賢精霊の1人だ。
私たちは彼女の素晴らしい知識を教わったのだ。
父や母は羨ましいぐらいだと言っていた。
そうそう、私の大好きなユワンにも残念なところがある。
それは頭は良いのだけど運動神経がないことだ。
全く体の動かし方がなっていない。
そのくせ精霊の能力である炎と水は物凄い。
なのに精霊の基本的能力の1つである飛行能力を入学するまで全く知らなかったことに驚いた。
だから最初の授業はユワンの飛行訓練だった。
彼は1日で飛べるようになったと自慢しているがまともに飛べるようになったのは1週間後。
しかも精霊の飛び方とはほど遠いものだった。
そして彼は今も出来れば飛ばない生活を望んでいる。
飛ばない精霊なんて彼以外聞いたことがない。
普段のご主人様を含む人間との会話は飛ばないと成立しないだろうし。
彼はことあるごとに高いところに登って会話しているようだ。
そっちの方が疲れると思うのだが。
話を戻すとディクシア先生はいろんな所へ連れて行ってくれた。
絶対に人間では行けないような所へ。
今となっては良い思い出だったと思う。
卒業後、私たちは長旅に出た。
私たちにとって大事な旅だ。
目的地は「風の国」。
元々はディクシア先生に言われての旅だったのですが。
その旅は過酷を極めました。
私自身は大丈夫だったのですが天才のユワン君が問題でした。
彼は頭でっかちで運動神経がない。
本当は飛んだ方が全然楽でしたがユワン君は飛ぶことを拒否。
歩くことを選択したのです。
そして彼はいろんな所でピンチに陥る。
その度に私が助ける。
彼は周りになんて言っているか分かりませんがこのたびの9割は私の活躍で持っています。
彼は一割ほどしか活躍していません。
それは「風の国」でも一緒。
間違いなく彼は私無くでは修行は完成しなかったはず。
少しは私に感謝してほしいものです。
人間の世界に来てからも結構私は活躍しています。
彼は気づいていませんが。
ちなみに人間の世界に来てからも精霊の修行は欠かしません。
毎日8時間は精霊の修行をしています。
彼はよくサボっていますが。
ちょっと言い方が悪かったかも知れません。
フォローすると彼はいろいろと調べ物をしています。
彼は元々研究肌でいろいろなことを知るのが大好きです。
だからよくご主人様と一緒に図書館に出かけています。
つまり人間の書物をよく読んでいるのです。
そうです、小さい体で頑張って読んでいるのです。
ご主人様はそれが可愛くてしょうがないと言っていました。
まぁ、体が小さいので一日一冊が限度。
毎日読んでいる訳ではないのでそれでも数百冊は読んだと言っていた。
彼はたいそうな読書家だ。
さて、ここまでが私が経験してきた全てです。
まだ語っていないことも沢山ありますがそれはユワン君に任せます。
何しろ彼は私よりも聡明で私よりも多弁だからです。
彼はしゃべるのが大好きで夜は彼の読んだ本の説明会になっています。
だから、彼の読んだ本は全て知っています。
そして恐らく彼の経験したことも私は全部知っています。
まぁ、夫婦と言うこともあるのだけど。
そういえば、近くご主人様は旅に出ると言っていた。
竜討伐のために。
ご主人様の能力は精霊の力を使って初めて成り立つものだと聞いた。
今回は私たち風の精霊を連れて行くのだと。
そういえばご主人様の能力を見たことはない。
ご主人様のお仕事モードも。
ご主人様は風の精霊の能力を見るための旅だとも言っていた。
恐らく長い旅になるだろう。
旅の間はご主人様の旦那様が店を切り盛りするのだとか。
あの職人気質のぶすっとした顔で本当に大丈夫なのだろうか。
しかもうちはドールハウスだ。
ちゃんと店はやっていけるかは不安です。
(ご主人様曰く何回もやってきたことだし大丈夫とのこと。
彼はイケメンだから結構女性のファンも多いのだとか)
とにかく今はご主人様との旅が楽しみでしょうがありません。




