精霊転生(リャカヤ)
(注意;今回の話はリャカヤの視点でお送りします)
私はいろんな事があり精霊に転生しました。
好きな人の後を追ってでもありますが。
ついでに私の両親を紹介します。
私の父は氷の精霊です。
いつもクールな性格でした。
何事にも冷静で慌てたところを見たことがありません。
ていうか、感情があるのか謎です。
私の母は雷の精霊です。
いつも怒っている感じです。
文字通り雷を纏いながら。
私は母が笑っているところを見たとこがありません。
この2人の相性は最悪でいつも会えば喧嘩をしています。
ただ、喧嘩の内容は大体、娘である私のことや夫婦間の思いやりのすれ違い。
本当は2人は愛し合っているのにお互い愛情表現が苦手なのだと思います。
だから本当に仲が悪い訳ではありません。
私が能力に目覚めたのは恐らくこの世界に転生して3年目だと思う。
冬のある日、何かに触った途端に手がビリッときた。
最初は静電気の類いだと思っていた。
あまり気にすることなく過ごしていたと思う。
ただ、ものに触る度に静電気が発生する。
それも全てのものだ。
父や母に触る時もだ。
だからスキンシップも出来やしない。
これがかなりの苦痛だった。
しばらくすると何も触らなくても手が痺れるようになってきた。
これが結構きつい。
だから出来るだけ手を使わないように苦労した。
両親は不審に思いながらもあまり気にしていなかったと思う。
それから数ヶ月経ってから両親に相談した。
そして両親からそれが能力だと知らされた。
それから毎日体の電気を放電させられた。
手から空に向けての放電なのだがこれがかなり痛い。
しかも日に日にその放電量は増していく。
激痛に悲鳴を上げたことも何度かあった。
しかし、本来精霊は痛みを感じないらしい。
そんなことは知ったこったない。
現実に痛いのだからしょうがない。
そんな日常が半年間続いた。
ちなみに精霊というものは時間の感覚がない。
長生きのせいか本当にルーズなのだ。
だから年齢の表記は恐らくとしか言いようがない。
次に氷の能力に目覚めたのは4歳ぐらいだろうか。
これははっきりいって分かりやすかった。
朝、起きたら私の部屋の中が冬景色だったから。
その日は真夏。
昨日までかんかん照りのかなり暑い日だったらしい。
雪なんか降りようがない。
ましてや私の部屋はある意味密室空間。
上からも横からも雪が入る余地なんてない。
そしてやっぱり寒い。
非常に寒いのだ。
風邪でも引きそうな感じだ。
両親がいつものように起こしに来てくれた時はさすがに2人とも驚いていた。
2人が驚いた様子はこれが最初で最後。
しかもすぐ元の2人に戻っていた。
何事もなかったかのように。
いやいや、娘が大変なことになっているのに何事もなかったかのように戻るのはおかしいでしょう。
私は心の中でツッコんだ。
それから氷の能力を自由に扱えるようになるまでやはり半年間かかった。
父は本当にスパルタで母の比ではなかった。
正直、かなり辛かったことを記憶している。
私は元来、頭で考えることが好きだ。
しかし、父は見た目とは違い肉体派だ。
母の時は疑問に思ったことを聞くとすぐに答えてくれた。
その時の訓練は非常に分かりやすく私も納得して修行した。
しかし、父は違う。
理論派ではないのだ。
だから私が疑問に思ったことを聞いても
「そんなのはやってみれば分かる。
理屈で考えるな。
体で考えろ」
と身も蓋もないことを言っていた。
そのことを母に言っても専門外だからと何も答えてくれない。
正直、理解するのに大分時間がかかったと思う。
しかし、転生前の記憶があるからといってこの教え方はない。
とにかく寒いし冷たい。
父にそのことを言っても
「精霊は暑さ寒さを感じない。
気のせいだ」
と言って取り合ってくれない。
とにかく厳しいのだ。
ちなみに同じ時期に空を飛ぶ方法を父から教わった。
もちろんスパルタ式で。
「精霊は崖から落ちたぐらいで死なない。
こんな所で怖じ気づくな。
根性を付けるためにもここから飛べ!!」
一応女の子なんだけどと心の中で思い父に従った。
100メートル以上有ろうかという崖。
精霊は人よりも小さいのだから実感として1キロ以上ある崖を飛び降りるのだ。
かなりの恐怖だった。
私はそこを何10回、何100回と飛び降りた。
本当に死にものぐるいで。
だから、学校に行く年齢になるまでには自由に飛ぶことが出来るようになっていた。
父の訓練の後の母は非常に優しかった。
いつもは怒っている母が優しく私に構ってくれるのだ。
その時は1番の至福の時だと思うほど。
しかし、その後父にはいつも以上に怒っている。
多分、私を思ってのことだ。
母はいつも父に説教をしている。
しかし、父には母がなぜ怒っているのか理解できないらしい。
普通のことなのにといつも愚痴っていた。
私はある意味、籠の中の鳥だった。
私は両親以外の精霊を知らない。
もちろん、学校に行くまではの話だが。
だから、初めての(精霊の)学校は非常にドキドキした。
そして学校に入る一週間前に私は初めて精霊世界というものを知った。
世の中にこんなにも精霊がいるのかと。
そして初めての学校に胸高く躍らせていました。




