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リャカヤ

(注意;今回の話からリャカヤの視点でしばらくお送りします)


 私は気がついたら精霊の世界に転生していた。

今回からはしばらく私の過去についてお話ししようと思う。

おっと、自己紹介するのを忘れました。

私の名前は精霊名リャカヤ。

前世の名前は雲然くもしかり 星科せとかと申します。


 前世のことを話します。

前世は大学生でした。

それもピッチピチの女子大生。

(死語かも知れませんが)

これでも私はモテたのですよ。

いろんな人から申し出がありました。

ただその時の私は恋愛というものに疎かったのです。

学業優先と言いますか。

それに私とつきあいたい男性が魅力的に見えなかったのもあります。

なんかチャラいというか。

そういう訳でなんだかんだで国内でもかなりレベルの高い大学に受かりました。

周りにはガリ勉と蔑まれながらもやっと難関大学に受かったのです。

それから大学デビューをし自分で言うのもなんですが優秀な成績を修め研究者の道へ進もうとしていたのです。


 ところが、大学2年生の時に異変が起きたのです。

なんと小学生が我が大学に入学してきたのです。

その子の名前は科部しなべ 研志けんじ君、後のユワン(主人公)君です。

私よりも一回り下の彼に私たちはビックリしました。

もちろん、マスコミも連日のように彼を追いかけます。

そんな中で私たちの研究室に入ることになります。

(大学に入学したてで研究室に入ることはかなりの異例です)

しかし、その喧噪の中でも彼は私よりも優秀な実績を修めていったのです。

最初は一回りしたの彼を見くびっていました。

しかし、彼は紛れもない天才です。

そんな彼を私たちは認めざるを得ないのです。


 しかし、彼が入学してから1ヶ月、事件が起きます。

彼が緊急入院したのです。

私はあれだけ騒がれれば心労もたたるだろうと思っていました。

まさか不治の病とはこのとき思いも寄りませんでした。

私は彼を何度も見舞いました。

彼は病室の上でも研究を止めませんでした。

私が見舞う度にその研究の話で持ちきりでした。

そもそも彼は研究室でも私としか話しません。(必要以外は)

それに彼は天才過ぎて話が合うのは私だけでしたから。(教授ですら彼の話を理解できませんでした)

そして彼はそれから1年後に急逝してしまいました。

享年11歳でした。

私たちは若すぎる彼の死を悼みました。


 しかし、それからが大変でした。

彼が生前提示した理論はどれも画期的でした。

但しそれはあくまでも理論であり実証されていません。

まずは彼が提示した理論を教授たちに噛み砕いて説明をし研究室のみんなに問題を共有しました。

そして私はその理論を実証するために昼も夜も研究に明け暮れていました。

食事も寝るのも惜しんで。


 そして、1ヶ月後私は事故を起こすのです。

その日は梅雨の合間でした。

私は大学に行く途中でした。

ちなみに自動車通学です。

1ヶ月間、碌に寝ていなかったのが原因です。

つい車の中でうとうとしてしまったのです。

スピードも知らずに出ていたのだと思います。

曲がり角を曲がりきれずにフェンスに激突。

そのまま私は死んでしまいました。

幸い単独事故だったので良かったです。

(他の人を巻き込まなかったので)

それに研究もある程度めどが立っていたので心置きなく死ねました。

(もちろん、悔しさや心残りもあります)


 そして、私は気がつくとあの世にいました。

女神様が私の目の前に立っていて私のために泣いてくれていました。

「あなたがこうなることは運命だったのです。

とても悲しいことですが。

これからあなたは転生することになりますがあなたの希望はなんですか?」

突然の出来事に私が呆然としていると女神様は

「時間はたっぷりあります。

あなたの人生をたっぷり述懐、回顧して下さい。

そしてあなたが来世で何をしたいのかを考えるのです。

私はあなたの願いを叶える義務があります」


 私はそれから自分の人生を顧みた。

そして気づいた。

彼といた期間が1番楽しかったことを。

恋愛という感情を知らない私だったがもしかするとこれが恋という感情なのかも知れない。

子供だからと思っていたが私は彼に恋をしていたのだなと思った。


 私は決心した。

そうだ、彼が転生した世界に行こう。

私は女神様にそう申し出た。

女神様は

「それも運命なのでしょう。

彼のいる世界に転生させましょう。

しかし、彼のいる世界は幾つもの困難が待ち受けています。

前の世界のように安穏とは暮らせません。

それでもいいのですか?」

私は静かに頷いた。

女神様は

「あなたの決心は固いようですね。

それでは準備します。

あともう一つ、私はよく運命という言葉を使いますが運命とは決められたものではありません。

あらゆる不確定要素があるものです。

そしてあなたが切り拓くものがあなたの運命なのです。

つまりあなたの人生はあなたの選択によって成り立つのです。

来世では前世以上にに理不尽なことも沢山なあるでしょう。

あなたにとっての良き来世を期待し旅立ちを祝します。

あっ、それともう1つ大事なことを伝え忘れました。

あなたの記憶は来世にも受け継がれますのでそれだけはご安心を。

それでは良き来世を!!」


 そして私はこの精霊の世界に生まれたのです。




 


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