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山火事

 今日も1日さわやかな日だ。

聞くと季節は夏らしい。

この精霊の体になってから暑さ寒さは感じない体になっていた。

昨日は熱帯夜だったらしいが僕らはそれを感じることが出来なかった。

そして僕たちがいるこの地域は夏になると乾燥する地域らしい。

気温も日平均40℃を超すらしく僕らのご主人イザルラはかなりこの時期はしんどそうだ。

 

 しかし、僕ら精霊は気温はあまり気にならない。

僕ら精霊は物理法則を超越した存在なのだそう。

自然現象は影響を受けないのだ。

しかし、今日は気になる精霊ひとがいる

ある精霊が朝からそわそわしているのだ。

その精霊とは炎の精霊であるロバムとメロニアだ。


 ちなみにロバムは男の精霊で自分のことを「俺っち」と言うヤンキー口調の精霊。

メロニアは女の精霊で自分のことを「あたい」と言うこれまたヤンキー口調の精霊なのだ。


僕はあまりにもこの2人がそわそわしているのでどうしてそうなのか聞いてみた。

ロバムは

「なんでそわそわしているのかって?

それはな、この時期になると乾燥して気温も高いから山火事が起きやすいんだ。

どうも近くで山火事が起きたらしい。

俺っちたちはそこにいつ行くべきか相談していたわけよ」

僕は思わず

「炎の精霊だからってまるで野次馬みたいにその山火事を見に行くのかい」

と思わず口を滑らせてしまった。

するとロバムは気色きしょくばんで反論した。

「別に野次馬根性で山火事を見に行くんじゃないよ。

てめぇも精霊だろ!!

精霊の常識ぐらい知っとくんだな」

彼があまりにも怒り出したので僕は訳も分からずとりあえず謝った。

そうしたら彼の機嫌が直り山火事のことを説明し始めた。

「俺っちらは炎の精霊。

普通の精霊は別に食事をしなくても生きていけるが上位の精霊ほどバージョンアップしなければならない。

つまり上位の精霊は食事をしなくちゃいけないんだ。

と言っても年に一回ぐらいだけど

食事つっても人間がやるものとは違う。

俺っちら精霊は自然のエネルギーの上で成り立っているんだ。

ちなみに俺っちら上位の精霊はそれぞれの国で「たまご」に入る訓練をする。

それは「たまご」と言うエネルギーの塊の中に入り自らを急激にバージョンアップさせる行為。

言うなれば究極の食事だ。

俺っちらは年に1回、この世界でも炎の中に入りバージョンアップをさせなければならない。

そうしないと上位の精霊としての力を失うことになる。

と言ってもそんなに簡単に失うものじゃないからついこの間まで食事をしていなかった精霊もいるみたいだし。

話を戻すと俺っちらはその山火事に向かう必要がある訳だ。

それも1番燃えさかっている時間帯に。

俺っちらが食事をする山火事にも条件があってまずは自然発生であること。

人為的な発生源だとエネルギーを吸収できないからね。

そして人里離れていることだ。

これは人間の住んでいる近くだと人間にも被害が及ぶ可能性があるからすぐ消火される。

俺っちも人間には迷惑かけたくないからね」


 ここまでの話を聞いてもどうも精霊の「食事」というものに実感がない。

ロバムは

「まぁ、よく分からないようだったら俺っちらにいて来い。

お前のパートナーも興味があるみたいだしな」

僕がリャカヤの方を見ると彼女はメロニアとなにやら話し込んでいた。

どうやら女同士気が合うらしい。


 僕ら2人はとりあえず炎の精霊たちにいて行くことにした。

人里離れていると言っても直線距離で30キロ、意外と近い。

聞けばこの場所は人間が立ち入ることが出来ない危険な場所だとか。

僕ら精霊には関係ないけど。

それにしても結構うまく飛べるようになったものだ。

今回はしっかりとみんなにいていける。

と思っていたらみんなは僕に合わせてくれたらしい。

現地に着いたらめっちゃ愚痴を言われた。


 現地は炎であふれていた。

普通だったら厚いんだろうけど僕は何も感じない。

精霊とはかくも便利な生き物だ。

僕たちを連れてきたバロムとメロニアは何も言わず真剣な顔で炎の中心地に向かった。

僕は彼らにどうやって食事をするのかと聞いた。

彼らは見ていれば分かると答えた。


 炎の中心地に着いた。

恐らく発火源であろう。

バロムは恐らく枯れ枝がこすり合って摩擦で火事が起きたのだろうと言っていた。

そしてバロムたちはそこで何かの作業を仕出した。

それは黙々と続いた。

何か寝床を作っているみたいだ。

バロムは

「これから数時間ここで寝るから起こさないように。

これが俺っちらの食事だよ」

と言って本当に2人は寝てしまった。

こんな炎の中で。


 僕らは数時間何をすればいいのか分からずにいた。

僕らはさすがにここでは寝ることが出来ない。

彼らが起きるまでこの山を探検することにした。

迷わないように目印を付けて。

周りは本当に火の海だ。

僕らは数時間かけて山の中を探検した。

もちろん、遊びと暇つぶしを兼ねて。


 彼らが眠りについて5時間後、ようやく彼らは目を覚ました。

ロバムは

「久しぶりの食事は最高だったぜ。

ちなみに俺っちらは寝て食事をするタイプだったけど精霊によって食事のスタイルは違う。

お前らはまだ食事はまだらしいな。

風の食事はどういうものか知らないが早くスタイルを決めることだ。

精霊として一段上がることになるしな」


 僕はまだ精霊としての「食事」とはどういうものかイメージが湧かない。

恐らく自然のエネルギーを何らかの形で摂取するものだとは思うけれど。

僕にそれをする時が来るのだろうか、そう思うと少し楽しみでもあり少し不安である。







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