精霊の掟
この街に来てから規則正しい生活を送るようになってきた。
元来、精霊は眠る必要性がないそうだが僕らトリプルの属性を持つ精霊は眠る必要性がある。
僕らトリプルの精霊は前世の記憶に由来しているだからそう。
だから眠たくなるのだそうだ。
と誰かが言っていたが真実は分からない。
僕は眠ると言うことが好きだ。
この世界では眠るのが一番の幸せだといっても良い。
思えば「風の国」での「風の卵」での修行、僕らは10年以上不眠不休だった。
まさに地獄。
だから今は眠れる幸せをかみしめている。
さて、今日は早朝から僕と同居人のリャカヤはあるところに呼び出されている。
まだ太陽も出ていない午前4時、眠い目をこすりながらその場所に向かった。
向かったのはある精霊の家だ。
こんな暗い早朝に呼び出すだなんてなんて非常識なんだと思う。
まぁ、精霊にとって時間の感覚はあってないようなものだけど。
噂によると僕らを呼び出した精霊たちは僕らトリプルの精霊の中で一番眠らないらしい。
はた迷惑な話だが。
僕がその精霊の家のドアをノックするとその精霊が顔を出した。
「こんな朝早くにすまんな。
よぅ来たな、風の精霊。
でも光陰矢のごとしや。
思いついたら吉日なんや。
と言うことで君たち新入りにいろいろと話したいことがある」
と口早に言い出した。
僕らを呼んだのは雷の精霊。
「まずは自己紹介からや。
僕はカナール、知っての通り雷の精霊や。
能力を順に言うと主能力は雷、第1能力は水、第2能力は風や」
「うちはライーズ。
主能力はこの人と一緒で雷、第1能力は炎、第2能力は氷よ」
つられて僕らも自己紹介した。
「僕はユワン。
風の精霊で第1能力は炎、第2能力は水です。」
「私はリャカヤ。
同じく風の精霊で風の能力の他には第1能力は雷で第2能力は氷です」
ここで解説をしておかなければならない。
僕らトリプルの妖精は1番最初に身についた能力を第1能力、その次に身についた能力を第2能力という。
そして一番最後に身についた能力を主能力と言う。
なぜ1番最後の能力を主能力というか言うと1番最後に身につける能力が圧倒的に強いからだ。
僕らにおける最後の能力はいろんな事を経験してから身につけるので圧倒的に成長スピードが速いのだ。
だから僕らは最後に身につけた能力を自分の冠に付ける。
話を戻します。
僕らを招いたカナールたちは僕らを居間へと通しそして語り始めた。
「君たちを呼んだのはこれから僕たちと暮らす上でのいろんな規則を話したいと思ったからや」
と言ってもここに来て1ヶ月以上も経つんだけど
カナールは
「とりあえずは僕らはここの人間に従属している立場や。
と言っても奴隷やない。
例えるなら社長と従業員の関係や。
まぁ、もっとフラットな関係やけど。
僕らは年に何回かのクエストで人間の手助けをしなければならない。
その時は身を挺して人間を守らなければならないのや。
と言っても全員を連れて行くことはないし、だいたい1年に1回程度の出来事や。
期間も長くて1ヶ月、後はただの自由時間や。
好きにしたらええ」
と言うと1人で頷いた。
(突然ですがここから表記が変わります。雷の精霊カナールとライーズの会話しばしご歓談下さい)
ライーズ ; 何1人で頷いてんの、他にも説明することがあるでしょ。
カナール ; 何人の頭小突いとんのや。
まぁ、いいや、後いくつかの注意事項があります。
絶対に人間には危害を加えんこと。
ライーズ ; 当たり前のことやろ。
もっとためになる事を言いや。
カナール ; 後、僕たち精霊と仲良くすること。
ライーズ ; 他には?
カナール ; 鳥にはさらわれないこと、特に大形の鳥には注意。
ライーズ ; あんたはしょっちゅうさらわれてるもんなって、アホ。
そんな精霊はおらんわ。
精霊はあらゆる動物を従えての精霊やから。
カナール ; 後、野犬には食べられないこと。
ライーズ ; あんたはしょっちゅう食べられているさかいな。
ってそんな精霊はおらんわ。
カナール ; 池では溺れないこと。
ライーズ ; あんたはしょっちゅう溺れとったからな。
カナール ; ・・・・・・
って否定せんのかい。
まぁ、ほんまのことやからな。
最初、水中で息をする必要がないって分からなかったねん。
今では笑い話やけどな。
(ここから表記を戻します)
2人の掛け合いは怒濤のような感じだった。
僕は生前、漫才を見たことはないけど多分こんな感じなんだろうなと思い、思わず笑ってしまった。
隣を見てみるとリャカヤも笑っていた。
僕らの笑っている様子を見て彼らのトークも加速した。
そんなこんなで2,3時間笑いっぱなしだった。
カナールは
「こんなに笑ってくれたのは久しぶりや。
僕らもやりがいがある」
と喜んでくれた。
僕らも非常に楽しかった。
精霊の人たちの中にもこんな明るい人たちがいるのだと言うことを初めて知った。
何しろ笑かそうとする人は僕にとって初めてだから。
彼らも僕らに気を遣っていたのだろう。
今回の漫才に1週間も練習したそうだ。
そういえば他の精霊の人たちにも会ってはいない。
1ヶ月以上もここにいて話をしたことがないのだ。
ここに来てしばらくは見たことのない景色を探索するので精一杯だった。
今度は他の精霊の人たちにも話しかけてみようと思う。
と言っても精霊は基本気まぐれ。
近くに住んでいてもなかなか会えないのだが。
どんな精霊の人たちがいるのか楽しみである。




