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「風の国」

 僕は目を覚ました。

そういえば僕は倒れたのだ。

風の国に行くために精根尽くして。


 ここは何処だろう?

どこかの民家みたいだ。

隣には愛するリャカヤが寝ている。

しばらくすると

「大丈夫?」

と言う声がした。

ディクシア先生の声だ。

と言うことは今まで夢を見ていたのだろうか。

そう思っていた。

それともこれが夢なのだろうか。

そう思っているとその声がだんだん大きくなってくる。

「本当に大丈夫?

まだよく分かってないみたい。

いい、これは現実よ。

隣にいるリャカヤも起こして!!」

僕はディクシア先生の声にビックリし目を覚ました。

そしてリャカヤも慌てて起こした。


 ディクシア先生は

「あなたたちが来たこの国は私の地元の国なの。

私自身、帰省するのは何百年かぶりなんだけど。

でも全然変わってないわ、ここは。

精霊は時間に縛られないものだけど本当に変わっていない。

時間が止まったみたいに」

僕は

「「風の国」に着くのに本当に大変な思いをした。

先生も帰る度に試練を受けなければいけないの?」

と聞いてみた。

ディクシア先生は

「そんなわけないじゃない。

試練を受けるのはここに初めてくるものだけ。

それ以外のものは、例えばここで私みたいに生まれたもの、そして初めてじゃない精霊ひとは試練を受けなくていいから。

もちろん、ここは普通のルートでは来ることが出来ない。

「迷いの森」も資格のあるものだけにしか出現しないしね。

普通に来ようとするといろいろな条件をマスターしなければいけないの。

あなたたちはそれをマスターしていたわけだけど。

私はただ単にここ直通の専用のゲートをくぐっただけ。

あなたたちが旅に出たその日にこの国に着いたわ。

ちなみにこのゲートは登録制だから、「風の国」の住人、あるいはここに来たことのある人しか登録が出来ないの。

特に「風の国」は外部の者には厳しいからね。

ある程度の能力が備わっていない者はこの国に入ることも許されないわ。

だからあなたたちは「風の国」に入る資格を得たってこと。

心からおめでとうと言うわ」


 先生は感慨深げのようだが、僕には腑に落ちないことがあった。

先生が「風の国」で待っているだけだったならわざわざ旅に出る必要性があったのか。

先生がこれからも指導して下さるのならわざわざ旅に出る必要性があったのか。

その疑問に先生はこう答えてくれた。

「私はあなたたちを出迎えるまでが仕事。

これからいろいろなところへ行かないといけないし。

あなたたちの面倒を見ている間に本来の仕事が大分たまっていたの。

私の本来の仕事は神様と精霊の綱渡し。

あなたたちは転生する時に神様の恩恵を受けたの。

そして私は神様からあなたたちの面倒を見るように言い渡された。

これでも私は精霊界の中でも偉い方なんだから。

村では身分を隠していたかれど。

ちなみに私の上司である神様はウィードという女神様、あなたたちも転生する時に会っているはずだわ。

私の上司である神様は風を司る神様。

つまり、この国で風の能力を取得することであなたたちは精霊としてワンランクアップできるの。

私たちの世界には5人の神様がいるのだけど、残念なことに精霊に転生する前に神様の恩恵を受けた人はその神様の属性を先天的に付けるのは禁止されているの。

だから、後天的であるけれど、あなたたちが風の能力を付けるのは大事なことなの。

しかも最後に身につける能力が一番強力な能力になるしね。

それにこのことであなたたちは3つの能力を授かることになるの。

これは全世界で8人の精霊しか存在していない。

あなたたちも含めればちょうど10人になる。

これは凄いことなのよ」


 いろいろと初めてのことなので僕たちは圧倒されていた。

先生は続けて

「私の役目はこれで全てお終い。

この国では私のお祖母ちゃんがあなたたちを指導してくれるわ」

そう言うとドアから可憐な少女が入ってきた。

(精霊の世界では見た目では年を取らない。

見た目は少年、少女(小学生ぐらい)そのものだ)

その少女は入ってくるなり

「話が長いわ。

これでも年寄りなんじゃぞ。

そしてまた子供の面倒を見ろとは」

声もかわいいが、非常に古めかしいしゃべり方だ。

ディクシア先生はおどおどしていた。

少女は続けて

「まぁ、いいわ。

わしはヴィンダーといい、この村で一番の長老でこの娘の祖母だ。

どのくらいの期間になるか分からないがあんたたちの指導教官と言うことだ。

厳しいことを言うけどくじけることなくついていくように。

取りあえず今日は観光ついでにこの村を見ていらっしゃい。

孫が案内するから」

ディクシア先生の方を見ると「忙しいのに」と小声でぼやいていた。

少女は「1日や2日ぐらいどうってことない。この村を案内するぐらいの時間はあるはず!!」と一喝していた。

先生は仕方なくその命令に従った。


 僕らはいろんな所を回った。

基本、僕らのいたところとあまり変わりないところだ。

ビックリしたのは「風の船」だ。

この国には「風の海」というところがありそこを渡るのには「風の船」が必要だ。

簡単に言うと空飛ぶ船だ。

空飛ぶ船といっても浮き上がるのではなく港は崖にあり崖と並行に進む感じだ。

僕らはそれに乗って観光名所である「風の卵」という所を船で回った。

「風の卵」という所は常に風が吹いているところで風の精霊にとっては聖地と言える場所らしい。

そこには膨大なエネルギーが渦巻いておりそこに入ることは並の精霊では不可能に近いと言われているらしい。


 結局は観光名所を巡るだけで一週間以上かかった。

先生は忙しいと言っていたわりに結構丁寧に回ってくれたように見える。

そして先生は風の国を出て行った。

明日からは可憐な少女からの指導を受ける。

リャカヤからは早速激しい嫉妬を受けているところだ。

年齢はかなり上ながら見た目は可憐な少女。

明日からは目を奪われないように頑張らなければ。

そう思って僕は今リャカヤの激しい嫉妬に耐えるのであった。









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