砂漠越え最終日
アタシは、砂漠というところには初めて来たのだが。早くも、アタシは砂漠が嫌いになった。
理由は色々だ。
一、昼は暑くて、夜は凍えるほど寒い。
二、砂ばかりでつまらない。
三、生き物が厳しい環境に対応して巨大化してる。
四、水がなくて死にそうになる。
そして、最後に。
とある事件があったからだ。
事件は、砂漠都市まであと一日という日の夜に起きた。
「ロウ!こいつを見てくれ!なんか、すげぇ可愛いの捕まえたぞ!」
「おお!良いのを捕まえたな。そいつは、砂ウサギだ。」
料理の準備のついでに火を起こしていたロウは、アタシの腕に抱えている動物を見て言った。
「へぇ、そんな名前なのか。にしても可愛いなぁ!こいつ!」
「だろ?よく捕まえたな。」
「こいつがアタシに寄って来たんだ。うりうり。ほぁ~、可愛い❤」
「そうか、でかしたな。ほれ寄越してみな」
「?、わかった。何するんだ?」
「お前もちゃんと見て覚えとけよ?」
「だから何をだ――」
ロウの言ってることに疑問を覚えて、質問しようとした、その時だった。
ポキッ――「クェッ!」
ロウは、ウサギの首を折った。
「ウワアアアアアァ!何すんだアホ!」
「なんだよ?美味いんだぜコイツ」
「何てことしてんだ!あぁ、ウサギが・・」
アタシは、首を折られて口から血を流して動かなくなったウサギを前に、うなだれた。
「うぅ、うっ、うあぁ」
「何を泣いてんだ?早く食おうぜ?」
ロウは、ウサギの皮と内臓を手早く取り除き火で炙り始めた。
「よくも、よくもウサギちゃんを」
「別に、普通のことだろ?生き物食べる位。この前だってサソリちゃんを食べただろうが。」
「そういう事じゃない!」
「じゃあ、何だ?ウサギは食べちゃ駄目でサソリは食べて良いなんて、そんなの不公平だろうが」
「サソリは可愛くないだろ!もう寝るっ!」
「おい!飯食ってからにしろよ!」
「いらん!」
と、そんな事件があったのだった。アタシは、可愛い動物を見つけても不用意に見せびらかさない事を誓った。
そんなこんなで翌日も砂の上を歩き続けるだけの時間が過ぎて行った。
「もうそろそろ着きそうか?」
「ああ、あそこに見えているのが砂漠都市だ」
「あれか!」
砂漠都市は、都市の中心に巨大な宮殿のようなものが建っていて、砂漠というわりには、所々に青く輝く湖がみえた。
「砂漠って言っても、水は沢山ありそうだな」
「砂漠都市は所謂オアシスだ。砂漠の中でも、ここだけ水が多くあり重宝されている」
「見えてるなら早く行こうぜ」
「そうだな」